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第05章 偽装
第075話 喜びのアーニャ
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三人は大広間を出て、自室に戻るため廊下を歩いている。
アーニャはレイとマーサが並んで歩いている様子を後ろからじっと見ていた。レイは機嫌がいいのか、マーサを見つめながら楽しそうに話している。こんな風に言葉を交わし合っているのを見るのは初めてだ。アーニャはなんとなく不思議に感じた。
「そういえば、レイ様。いつもあのように使用人達に見られて、居心地は悪くないのでしょうか?」
マーサがレイに話しかけると、レイはマーサの顔を覗き込む。
「あれ? もしかして妬いてくれてるの?」
「……はい……少し」
「ほんと? 嬉しいな。大丈夫だよ。俺、マーサさんしか見てないから」
二人の会話、微笑み合う二人。
アーニャは眉間に皺を寄せた後、ハッと目を見開いた。
「え? えええ!?」
アーニャが大きな声を上げると二人が振り向いた。アーニャは慌てて口を塞ぐ。
「も、申し訳ございません。突然大声を上げてしまいました……。ですが、その……お二人は……」
顔が熱い。
アーニャはドキドキしながらも疑問を投げかけた。
「あははは、そんなに驚いた? うん、俺達そういう関係だよ。ね?」
レイがマーサの手を取り同意を求めると、マーサはレイに微笑みを返した。
「あわわわわ! それはおめでとうございます! ああああ、私、すっごく嬉しいです!! 大好きなマーサさんのお相手がレイ様のような方なんて本当に嬉しいです!! ああああ、この喜びを誰に伝えたら~~~!!!」
喜びで興奮気味のアーニャを見ていると二人はチクリと心が痛んだ。
アーニャの叫び声で何事かと廊下を歩いていた使用人や見回りの騎士がちらちらとこちらを見ている。
「アーニャ、ここは廊下ですよ?」
マーサは小声でアーニャを窘める。
「あああ、ごめんなさい。一人で騒いでしまって……。このことは秘密にした方が良いのですか? 嬉しすぎて誰かに話したくって!」
「特に秘密にしているわけではないですよ。ですがレイ様は人気者ですから……」
「でもでもでもぉ。マーサさんならお似合いですもん! 私、皆は納得してくれると思いますっ!」
両手を握りしめ、力強く言い放つ。
アーニャは誰よりもマーサを尊敬し慕っていた。
「アーニャちゃん、ありがとう。もし何かあったら俺にも教えてくれる? マーサさんに何かあったら俺嫌だし」
「は、はい! 勿論です!! 私、マーサさんのためならなんだってしますっ!!」
憧れの二人のために自分は何が出来るだろう? アーニャはとても高揚した。
◇
翌朝、使用人達の間でレイとマーサの話が勢いよく出回っていた。
エリー王女が移動中も城内がどこかざわついているように感じ、アランに視線を送る。
「レイとマーサさんの件です……」
アランの答えに視界が一瞬歪んだ気がした。思わず立ち止まり目を閉じる。
「大丈夫ですか?」
気遣わし気な声が聞こえ、エリー王女は胸に空気を取り入れて前を向く。
「問題ありません。わかりました。では参りましょう」
「はい」
今やるべきことをやるのだと、エリー王女は心に言い聞かせた。
まずはその第一歩。
エリー王女はシトラル国王の私室に向かった。
アーニャはレイとマーサが並んで歩いている様子を後ろからじっと見ていた。レイは機嫌がいいのか、マーサを見つめながら楽しそうに話している。こんな風に言葉を交わし合っているのを見るのは初めてだ。アーニャはなんとなく不思議に感じた。
「そういえば、レイ様。いつもあのように使用人達に見られて、居心地は悪くないのでしょうか?」
マーサがレイに話しかけると、レイはマーサの顔を覗き込む。
「あれ? もしかして妬いてくれてるの?」
「……はい……少し」
「ほんと? 嬉しいな。大丈夫だよ。俺、マーサさんしか見てないから」
二人の会話、微笑み合う二人。
アーニャは眉間に皺を寄せた後、ハッと目を見開いた。
「え? えええ!?」
アーニャが大きな声を上げると二人が振り向いた。アーニャは慌てて口を塞ぐ。
「も、申し訳ございません。突然大声を上げてしまいました……。ですが、その……お二人は……」
顔が熱い。
アーニャはドキドキしながらも疑問を投げかけた。
「あははは、そんなに驚いた? うん、俺達そういう関係だよ。ね?」
レイがマーサの手を取り同意を求めると、マーサはレイに微笑みを返した。
「あわわわわ! それはおめでとうございます! ああああ、私、すっごく嬉しいです!! 大好きなマーサさんのお相手がレイ様のような方なんて本当に嬉しいです!! ああああ、この喜びを誰に伝えたら~~~!!!」
喜びで興奮気味のアーニャを見ていると二人はチクリと心が痛んだ。
アーニャの叫び声で何事かと廊下を歩いていた使用人や見回りの騎士がちらちらとこちらを見ている。
「アーニャ、ここは廊下ですよ?」
マーサは小声でアーニャを窘める。
「あああ、ごめんなさい。一人で騒いでしまって……。このことは秘密にした方が良いのですか? 嬉しすぎて誰かに話したくって!」
「特に秘密にしているわけではないですよ。ですがレイ様は人気者ですから……」
「でもでもでもぉ。マーサさんならお似合いですもん! 私、皆は納得してくれると思いますっ!」
両手を握りしめ、力強く言い放つ。
アーニャは誰よりもマーサを尊敬し慕っていた。
「アーニャちゃん、ありがとう。もし何かあったら俺にも教えてくれる? マーサさんに何かあったら俺嫌だし」
「は、はい! 勿論です!! 私、マーサさんのためならなんだってしますっ!!」
憧れの二人のために自分は何が出来るだろう? アーニャはとても高揚した。
◇
翌朝、使用人達の間でレイとマーサの話が勢いよく出回っていた。
エリー王女が移動中も城内がどこかざわついているように感じ、アランに視線を送る。
「レイとマーサさんの件です……」
アランの答えに視界が一瞬歪んだ気がした。思わず立ち止まり目を閉じる。
「大丈夫ですか?」
気遣わし気な声が聞こえ、エリー王女は胸に空気を取り入れて前を向く。
「問題ありません。わかりました。では参りましょう」
「はい」
今やるべきことをやるのだと、エリー王女は心に言い聞かせた。
まずはその第一歩。
エリー王女はシトラル国王の私室に向かった。
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