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第05章 偽装
第064話 手始め
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「……とは言ったものの、付き合うというものがどういうことなのかわかりませんので、とりあえずお仕事をお教えしますね」
マーサは少し恥ずかしそうに微笑む。
「んー、そっかぁ。じゃあ、俺が好きでくっついている感じにするよ。マーサさんはいつも通りで大丈夫だから」
レイは潜入捜査などを行うこともあったため、演技力の訓練も行っていた。上手くやるにはそれらしくしなければならない。
「えっと……少しくっついちゃうこともあるけどいいですか? ああ、そんなに変なことはしないよ!」
「ええ、構いません。恋人に見えなければ意味がありませんので。本当にいつも通りでよろしいのですか?」
「うん、自然な方がらしく見えるからね」
レイはにこにこと笑顔を振りまき、いつも以上にマーサの視界に入ってきた。
確かに好意を寄せられている感じがする。
マーサもレイに合わせて視線を絡め、微笑んでみた。
「ははは、マーサさん。それをやったら誰でも落とせちゃうね」
「……? そうでしょうか?」
仲睦まじい雰囲気を出しつつ調理場に向かっていると、その途中で三人組のローンズの騎士達に出くわした。
「あ、レイ! 今から休憩なの? 良かったら一緒にご飯食べない?」
その中の一人がレイを見付けると嬉しそうに駆け寄り、レイの腕にしがみついた。
「アリス。んー、実は……」
「レイ様、私が一人で行いますので休憩されても構いません。ゆっくりしていてください」
マーサはレイとアリスを見つめ微笑み、一礼をして立ち去ろうとした。
「待って待って! 手伝うって約束したでしょ? 一緒に用意させて。あー、ごめん、アリス。これからエリー様の食事の用意を手伝うんだ」
レイがアリスに苦笑いをしながら断ると、アリスの隣にいたローンズの騎士の一人がアリスの肩を叩く。
「残念だったな、アリス。レイ、また時間できたらこっちにも顔出せよ! アリスが寂しがっているからさ!」
「ちょっと! そういうのやめてっていつも言ってるでしょ!」
顔を赤くしたアリスが騎士を押す。
「き、気にしないで! じゃあ、お仕事頑張って」
アリスがそそくさと二人の騎士を押して立ち去ると、マーサはレイを見上げた。
「……さすが、おモテになりますね」
「妬いてくれるの? 嬉しいな」
マーサを覗き込むように見つめ微笑むと「そうですね」とマーサも微笑んだ。
◇
調理場につくとマーサがテキパキと仕事をこなしていった。
「へ~! こういう風にやっていたんだね!」
レイは無邪気な笑顔で楽しそうにマーサの動きを横から見ていた。
マーサが盛り付ける前の食器に毒が付着していないかをルーペのような道具で調べ、問題がないと判断するとマーサの指示のもと、調理者に毒味をさせる。確認が終わると盛り付けをマーサが行った。盛り付け終わったものから配膳台の上にレイが置いていく。
「レイ様、ありがとうございます。では、冷めないうちにエリー様のお部屋へ運びましょう」
毒見についてはやり方を知っておいて良かった。何処で何があるのかわからないのが現状だ。
「マーサさん。今まで毒が見つかったことはありますか?」
廊下を出て二人っきりになると、レイは声を潜めて尋ねた。
「いえ、まだございません。もしものことがないよう、私がしっかりと阻止いたします」
「うん。お願いします」
エリー王女の命を狙うものは確かにいる。
暗闇から潜む影を睨み、レイはまっすぐ歩いた。
マーサは少し恥ずかしそうに微笑む。
「んー、そっかぁ。じゃあ、俺が好きでくっついている感じにするよ。マーサさんはいつも通りで大丈夫だから」
レイは潜入捜査などを行うこともあったため、演技力の訓練も行っていた。上手くやるにはそれらしくしなければならない。
「えっと……少しくっついちゃうこともあるけどいいですか? ああ、そんなに変なことはしないよ!」
「ええ、構いません。恋人に見えなければ意味がありませんので。本当にいつも通りでよろしいのですか?」
「うん、自然な方がらしく見えるからね」
レイはにこにこと笑顔を振りまき、いつも以上にマーサの視界に入ってきた。
確かに好意を寄せられている感じがする。
マーサもレイに合わせて視線を絡め、微笑んでみた。
「ははは、マーサさん。それをやったら誰でも落とせちゃうね」
「……? そうでしょうか?」
仲睦まじい雰囲気を出しつつ調理場に向かっていると、その途中で三人組のローンズの騎士達に出くわした。
「あ、レイ! 今から休憩なの? 良かったら一緒にご飯食べない?」
その中の一人がレイを見付けると嬉しそうに駆け寄り、レイの腕にしがみついた。
「アリス。んー、実は……」
「レイ様、私が一人で行いますので休憩されても構いません。ゆっくりしていてください」
マーサはレイとアリスを見つめ微笑み、一礼をして立ち去ろうとした。
「待って待って! 手伝うって約束したでしょ? 一緒に用意させて。あー、ごめん、アリス。これからエリー様の食事の用意を手伝うんだ」
レイがアリスに苦笑いをしながら断ると、アリスの隣にいたローンズの騎士の一人がアリスの肩を叩く。
「残念だったな、アリス。レイ、また時間できたらこっちにも顔出せよ! アリスが寂しがっているからさ!」
「ちょっと! そういうのやめてっていつも言ってるでしょ!」
顔を赤くしたアリスが騎士を押す。
「き、気にしないで! じゃあ、お仕事頑張って」
アリスがそそくさと二人の騎士を押して立ち去ると、マーサはレイを見上げた。
「……さすが、おモテになりますね」
「妬いてくれるの? 嬉しいな」
マーサを覗き込むように見つめ微笑むと「そうですね」とマーサも微笑んだ。
◇
調理場につくとマーサがテキパキと仕事をこなしていった。
「へ~! こういう風にやっていたんだね!」
レイは無邪気な笑顔で楽しそうにマーサの動きを横から見ていた。
マーサが盛り付ける前の食器に毒が付着していないかをルーペのような道具で調べ、問題がないと判断するとマーサの指示のもと、調理者に毒味をさせる。確認が終わると盛り付けをマーサが行った。盛り付け終わったものから配膳台の上にレイが置いていく。
「レイ様、ありがとうございます。では、冷めないうちにエリー様のお部屋へ運びましょう」
毒見についてはやり方を知っておいて良かった。何処で何があるのかわからないのが現状だ。
「マーサさん。今まで毒が見つかったことはありますか?」
廊下を出て二人っきりになると、レイは声を潜めて尋ねた。
「いえ、まだございません。もしものことがないよう、私がしっかりと阻止いたします」
「うん。お願いします」
エリー王女の命を狙うものは確かにいる。
暗闇から潜む影を睨み、レイはまっすぐ歩いた。
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