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第03章 告白
第045話 光の中
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暗闇の中で小さな緑色の光が点滅しながらふわふわ浮いている。それが無数に広がり、まるで夜空の星の中にいるようだった。幻想的な光景にエリー王女は瞬きするのも忘れて見入っている。
「どう?」
「あの……すごく、凄くキレイです。この光は何でしょうか?」
初めて観るその景色に、エリー王女が目を輝かせながら隣にいるレイに尋ねた。
「これはハッコウチュウって言って、体全体から光を放っているんだよ。ほら」
レイは飛んでいた一匹ふわりと捕まえ、手の中にいるハッコウチュウをエリー王女に見せる。
「本当ですね、光っております。……凄い、初めて目に致しました」
嬉しそうなエリー王女を見つめ、最初に案内をした者が自分で良かったとレイは思った。今回、このようなことがなければリアム国王がここを案内していただろう。そして自分は後ろからその様子を眺めるだけ。
そんなことを想像しただけで、胸がキリキリと痛みが走った。
「レイ? 景色、見てますか?」
じっと見つめていたからか、エリー王女は首をかしげ嬉しそうに微笑みを浮かべる。
こんな可愛い表情をしたエリー王女を近くから見たら、エリー王女を王妃として迎えるつもりがないと言っていたリアム国王でも気が変わるかもしれない。
レイの中で他人には渡したくないという欲望が生まれる。
「あ……あの……」
気が付くと腕の中にエリー王女がいた。離したくない。そう思いながら距離を取った。
「ごめん。つい……」
「いえ……」
あの小屋で最後と決めてからエリー王女とはなるべく距離を取るようにしていた。近づけば欲が増えるに決まっている。そして案の定、欲が出た。
独占欲。
しかし、抑えなくてはいけない欲望だ。レイは瞳を閉じ、小さく深呼吸をした。
「そうだ! 確か奥にベンチがあったはず。そこで陛下を待とっか。きっとすぐ来られると思うけど」
レイは明るい声で話をそらす。エリー王女はそれを残念に感じてしまった。声などかけず、そのまま抱き合っていたら良かった。触れ合うことは求めないと言ったが、レイから求めてくれるのなら拒否はしないのに。
二人の心はお互いを求め合っていた。
「はい……そうですね」
しかし、心とは裏腹な言葉を交わし合う。
ベンチを見つけ、エリー王女を座らせた。レイは隣には座らず側に立つ。
「えっと……、ここはリアム陛下の母、亡き王妃様が建てられたんだって。王妃様は毎晩のようにこちらに足を運んでいらっしゃったみたい」
「確かに落ち着く場所ですものね。優しい光……」
目の前の景色を二人でゆったりと眺めていると、前からリアム国王とハルの二人がやってきた。
「お待たせしてすまない。体調はいかがですか」
「お気遣い感謝いたします。こちらの景色を見ておりましたらすっかり良くなりました。ここはとても素敵な施設ですね。すっかり見入ってしまいました」
エリー王女が立ち上がり、リアム国王に微笑んで応えた。
「気に入って頂けて何より。ここは私が心穏やかにいられる場所だった……」
リアム国王は懐かしむように目を細める。
「母とセインと三人で過ごした思い出の場所、とでも言えばいいだろう。二人ともこの場所が好きだったからな。セインがあんな風になってからは、なんとなく近付くことはなかったのだが……」
「では、あまり来たくなかったのでしょうか……」
エリー王女の問いにリアム国王はふっと笑みを浮かべた。
「いや、今日は久し振りに大勢で見ることができて嬉しい。ありがとう」
それはとても優しい笑顔だった。その笑顔はレイにも向けられたので、レイは頭を下げた。
リアム国王は初めて会った時から側近であるアランやレイにも優しい。先ほども親切に色々と戦い方について教えてくれた。強く優しく容姿端麗。国をたった数年で大きく成長させるという王としての器。
リアム国王こそエリー王女に相応しいのではないか。
レイはそんな風に感じた。
それなのに、エリー王女がリアム国王に対して微笑むと胸がちくりと痛んだ。
「どう?」
「あの……すごく、凄くキレイです。この光は何でしょうか?」
初めて観るその景色に、エリー王女が目を輝かせながら隣にいるレイに尋ねた。
「これはハッコウチュウって言って、体全体から光を放っているんだよ。ほら」
レイは飛んでいた一匹ふわりと捕まえ、手の中にいるハッコウチュウをエリー王女に見せる。
「本当ですね、光っております。……凄い、初めて目に致しました」
嬉しそうなエリー王女を見つめ、最初に案内をした者が自分で良かったとレイは思った。今回、このようなことがなければリアム国王がここを案内していただろう。そして自分は後ろからその様子を眺めるだけ。
そんなことを想像しただけで、胸がキリキリと痛みが走った。
「レイ? 景色、見てますか?」
じっと見つめていたからか、エリー王女は首をかしげ嬉しそうに微笑みを浮かべる。
こんな可愛い表情をしたエリー王女を近くから見たら、エリー王女を王妃として迎えるつもりがないと言っていたリアム国王でも気が変わるかもしれない。
レイの中で他人には渡したくないという欲望が生まれる。
「あ……あの……」
気が付くと腕の中にエリー王女がいた。離したくない。そう思いながら距離を取った。
「ごめん。つい……」
「いえ……」
あの小屋で最後と決めてからエリー王女とはなるべく距離を取るようにしていた。近づけば欲が増えるに決まっている。そして案の定、欲が出た。
独占欲。
しかし、抑えなくてはいけない欲望だ。レイは瞳を閉じ、小さく深呼吸をした。
「そうだ! 確か奥にベンチがあったはず。そこで陛下を待とっか。きっとすぐ来られると思うけど」
レイは明るい声で話をそらす。エリー王女はそれを残念に感じてしまった。声などかけず、そのまま抱き合っていたら良かった。触れ合うことは求めないと言ったが、レイから求めてくれるのなら拒否はしないのに。
二人の心はお互いを求め合っていた。
「はい……そうですね」
しかし、心とは裏腹な言葉を交わし合う。
ベンチを見つけ、エリー王女を座らせた。レイは隣には座らず側に立つ。
「えっと……、ここはリアム陛下の母、亡き王妃様が建てられたんだって。王妃様は毎晩のようにこちらに足を運んでいらっしゃったみたい」
「確かに落ち着く場所ですものね。優しい光……」
目の前の景色を二人でゆったりと眺めていると、前からリアム国王とハルの二人がやってきた。
「お待たせしてすまない。体調はいかがですか」
「お気遣い感謝いたします。こちらの景色を見ておりましたらすっかり良くなりました。ここはとても素敵な施設ですね。すっかり見入ってしまいました」
エリー王女が立ち上がり、リアム国王に微笑んで応えた。
「気に入って頂けて何より。ここは私が心穏やかにいられる場所だった……」
リアム国王は懐かしむように目を細める。
「母とセインと三人で過ごした思い出の場所、とでも言えばいいだろう。二人ともこの場所が好きだったからな。セインがあんな風になってからは、なんとなく近付くことはなかったのだが……」
「では、あまり来たくなかったのでしょうか……」
エリー王女の問いにリアム国王はふっと笑みを浮かべた。
「いや、今日は久し振りに大勢で見ることができて嬉しい。ありがとう」
それはとても優しい笑顔だった。その笑顔はレイにも向けられたので、レイは頭を下げた。
リアム国王は初めて会った時から側近であるアランやレイにも優しい。先ほども親切に色々と戦い方について教えてくれた。強く優しく容姿端麗。国をたった数年で大きく成長させるという王としての器。
リアム国王こそエリー王女に相応しいのではないか。
レイはそんな風に感じた。
それなのに、エリー王女がリアム国王に対して微笑むと胸がちくりと痛んだ。
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