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はじまり

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「休憩入ります。」

センベツはいつもの日常で、いつものお昼を迎えていた。学園の外を歩いていると、急に背後からコクリの声がした。

「センベツ!」



センベツを見つけ猛スピードで向かってきたコクリは、センベツの背後から逆さまになって嬉しそうにセンベツを呼び止めた。センベツは何事かと歓迎しない表情であったが、コクリはお構いなしに逆さの体勢のままセンベツをガッと抱き上げ、びゅーんと勢いよく空まで連れて行った。

「放せ放せバカ!飛ぶな!落ちる!」

「まじないをかけてるから、落ちないわ。」

センベツは似合わない悲鳴をあげながら抗議したが、コクリには通じなかった。

「センベツー、あたし合格したよ。」

コクリからの突然の報告に、それまで宙に浮いて恐怖に怯えていたセンベツは、急に正気を取り戻した。

「まじでか!おめでとー!」

センベツからの祝福の言葉を聞いて嬉しくなったコクリは、センベツにお礼を述べようと目を合わせに行ったが、

「ありが…」

途中で気が付いた。

「え。」

センベツも逆さまになったコクリに背後から抱き抱えられていた感触が消え、気が付いた。

「言わんこっちゃねー!」

勢いよく落下するセンベツは、コクリに向かって叫んだ。

「ごめん!」

コクリは謝ると猛スピードでセンベツの両手を掴みに行き、無事に着地をした。
センベツは一息着くと、自分の隣をホウキに乗ってお行儀良く移動するコクリに向かって言った。

「お祝いに何か作ってやるよ。」

「え。」

「何か食べたいものあるか?」

「わあぁああーーーー!」

コクリは目を輝かせ、センベツを見つめるが、

「なんだ、なんだ。」

センベツはコクリからの喜びの視線に戸惑い、目を逸らす。
コクリは急に空へ急上昇し、時計回りにびゅんびゅん旋回しながら言った。

「あたしね、あたし!お友達とケーキが食べたいわ。」

センベツの隣に急降下し、センベツのサイドをびゅんびゅん高速移動しながらコクリは更に言う。

「魔女もね皆と同じご飯を食べるの。」

センベツはその場に固まりながら、返答した。

「知ってる。」

「魔女も「おめでとう」って言われると嬉しいの!」

センベツはこの状況に慣れ、高速移動をするコクリの目を捉えた。

「おめでとう、コクリ。僕もコクリのようにがんばるよ。」

コクリは花の様な笑顔を浮かべ、センベツに微笑んだ。

これは後に皇帝の料理長を勤めることになるセンベツと、女性初の国王になるコクリの、まだ始まったばかりの2人の物語。

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