4 / 4
はじまり
しおりを挟む
「休憩入ります。」
センベツはいつもの日常で、いつものお昼を迎えていた。学園の外を歩いていると、急に背後からコクリの声がした。
「センベツ!」
センベツを見つけ猛スピードで向かってきたコクリは、センベツの背後から逆さまになって嬉しそうにセンベツを呼び止めた。センベツは何事かと歓迎しない表情であったが、コクリはお構いなしに逆さの体勢のままセンベツをガッと抱き上げ、びゅーんと勢いよく空まで連れて行った。
「放せ放せバカ!飛ぶな!落ちる!」
「まじないをかけてるから、落ちないわ。」
センベツは似合わない悲鳴をあげながら抗議したが、コクリには通じなかった。
「センベツー、あたし合格したよ。」
コクリからの突然の報告に、それまで宙に浮いて恐怖に怯えていたセンベツは、急に正気を取り戻した。
「まじでか!おめでとー!」
センベツからの祝福の言葉を聞いて嬉しくなったコクリは、センベツにお礼を述べようと目を合わせに行ったが、
「ありが…」
途中で気が付いた。
「え。」
センベツも逆さまになったコクリに背後から抱き抱えられていた感触が消え、気が付いた。
「言わんこっちゃねー!」
勢いよく落下するセンベツは、コクリに向かって叫んだ。
「ごめん!」
コクリは謝ると猛スピードでセンベツの両手を掴みに行き、無事に着地をした。
センベツは一息着くと、自分の隣をホウキに乗ってお行儀良く移動するコクリに向かって言った。
「お祝いに何か作ってやるよ。」
「え。」
「何か食べたいものあるか?」
「わあぁああーーーー!」
コクリは目を輝かせ、センベツを見つめるが、
「なんだ、なんだ。」
センベツはコクリからの喜びの視線に戸惑い、目を逸らす。
コクリは急に空へ急上昇し、時計回りにびゅんびゅん旋回しながら言った。
「あたしね、あたし!お友達とケーキが食べたいわ。」
センベツの隣に急降下し、センベツのサイドをびゅんびゅん高速移動しながらコクリは更に言う。
「魔女もね皆と同じご飯を食べるの。」
センベツはその場に固まりながら、返答した。
「知ってる。」
「魔女も「おめでとう」って言われると嬉しいの!」
センベツはこの状況に慣れ、高速移動をするコクリの目を捉えた。
「おめでとう、コクリ。僕もコクリのようにがんばるよ。」
コクリは花の様な笑顔を浮かべ、センベツに微笑んだ。
これは後に皇帝の料理長を勤めることになるセンベツと、女性初の国王になるコクリの、まだ始まったばかりの2人の物語。
センベツはいつもの日常で、いつものお昼を迎えていた。学園の外を歩いていると、急に背後からコクリの声がした。
「センベツ!」
センベツを見つけ猛スピードで向かってきたコクリは、センベツの背後から逆さまになって嬉しそうにセンベツを呼び止めた。センベツは何事かと歓迎しない表情であったが、コクリはお構いなしに逆さの体勢のままセンベツをガッと抱き上げ、びゅーんと勢いよく空まで連れて行った。
「放せ放せバカ!飛ぶな!落ちる!」
「まじないをかけてるから、落ちないわ。」
センベツは似合わない悲鳴をあげながら抗議したが、コクリには通じなかった。
「センベツー、あたし合格したよ。」
コクリからの突然の報告に、それまで宙に浮いて恐怖に怯えていたセンベツは、急に正気を取り戻した。
「まじでか!おめでとー!」
センベツからの祝福の言葉を聞いて嬉しくなったコクリは、センベツにお礼を述べようと目を合わせに行ったが、
「ありが…」
途中で気が付いた。
「え。」
センベツも逆さまになったコクリに背後から抱き抱えられていた感触が消え、気が付いた。
「言わんこっちゃねー!」
勢いよく落下するセンベツは、コクリに向かって叫んだ。
「ごめん!」
コクリは謝ると猛スピードでセンベツの両手を掴みに行き、無事に着地をした。
センベツは一息着くと、自分の隣をホウキに乗ってお行儀良く移動するコクリに向かって言った。
「お祝いに何か作ってやるよ。」
「え。」
「何か食べたいものあるか?」
「わあぁああーーーー!」
コクリは目を輝かせ、センベツを見つめるが、
「なんだ、なんだ。」
センベツはコクリからの喜びの視線に戸惑い、目を逸らす。
コクリは急に空へ急上昇し、時計回りにびゅんびゅん旋回しながら言った。
「あたしね、あたし!お友達とケーキが食べたいわ。」
センベツの隣に急降下し、センベツのサイドをびゅんびゅん高速移動しながらコクリは更に言う。
「魔女もね皆と同じご飯を食べるの。」
センベツはその場に固まりながら、返答した。
「知ってる。」
「魔女も「おめでとう」って言われると嬉しいの!」
センベツはこの状況に慣れ、高速移動をするコクリの目を捉えた。
「おめでとう、コクリ。僕もコクリのようにがんばるよ。」
コクリは花の様な笑顔を浮かべ、センベツに微笑んだ。
これは後に皇帝の料理長を勤めることになるセンベツと、女性初の国王になるコクリの、まだ始まったばかりの2人の物語。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】能力世界で無能の「黒眼」の俺が最強の「黒ノ能力」で無双する!
地蔵くまねこ
ファンタジー
その男には誰にも言えない秘密があった。
能力世界の無能力者の証である「黒眼」として虐げられていたその男はひょんな事からこの世界で最強の「帝王」に紹介され、最高峰の能力学園に入学する。
そこでキャラの濃いクラスメイト達に翻弄されつつも何とかして彼は自身の「目的」のために戦い続ける…
学園内でストーリーが進んでいきます。主人公が中二病ぽい感じなので苦手な方は注意です。シリアス多め。伏線が多いのでそこも注意です。
完結しました!感想によっては外伝が作成されます!
面白いと思ったらお気に入り登録、感想、「第16回ファンタジー大賞」ヘの投票お願いします!
乙女ゲームのヒロインなんてやりませんよ?
メカ喜楽直人
ファンタジー
一年前の春、高校の入学式が終わり、期待に胸を膨らませ教室に移動していたはずだった。皆と一緒に廊下を曲がったところで景色が一変したのだ。
真新しい制服に上履き。そしてポケットに入っていたハンカチとチリ紙。
それだけを持って、私、友木りんは月が二つある世界、このラノーラ王国にやってきてしまったのだった。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】選ばないでください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
豪華で綺麗な人達の中に紛れ込んで、
偽物の私が、何食わぬ顔で座っている。
私が、この場所にいるべきでない事は、私が一番知っている。
私に資格がない事は、私が一番知っている。
なのに、誰よりも高貴な貴方は私だけを見つめてきて、
あの時のように微笑みかけてくる。
その微笑みに見とれながら、
私はこの場所から逃げたくて仕方がない。
貴方には私より、もっとふさわしい人がいる。
本当はこの場所に来れるはずがない私だけど、
貴方に出会う事ができた。
貴方の笑顔を目に焼き付けて、
私は、何事もなくここから解放される時を待つ。
だから、、、
お願い、、、
私の事は、、、、
選ばないでください。
8月26日~続編追加します。不定期更新。完結→連載へ設定変更となります。ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる