61 / 71
大人への階段
しおりを挟む
ただいまリビングには、赤毛美少年リスペルと眼鏡っ娘フリーレが、並んで無言のまま待機中。
残りの五人は、台所にて夕食の準備という名目で、何やらごそごそとやっている。
まずはアージュから。
「それじゃ、こういう段取りでいくか」
続けてクラウスがうなずく。
「そだね、そっちの方が面白そうかも」
楽しそうにしているベル。
「どっちに流れるかなあ」
呆れた表情のフント。
「お前らマジでやるのか?」
話が見えていないナイ。
「え、何するの?」
「ナイねーちゃんはいつもどおり食事を楽しめばいいさ。それじゃあメシにしようぜ!」
ということで、五人はアージュが用意した夕食やら飲物やらを一斉にリビングに運び込んだ。
「ナイねーちゃんがたんまりと肉料理をもらってきてくれたからな。今日は肉尽くしだ」
アージュが料理を披露するのに合わせて、同居人たちは大きな皿を並べていく。
ローテーブルには、フリーレはともかく、リスペルにはなかなかお目にかかれない贅沢な料理が並べられていく。
肉はナイがヴァントから奢ってもらったステーキとシチューの二種類が並ぶ。
それらにアージュが用意した山盛りの生野菜と温野菜、薄くスライスされたパンなどが添えられている。
それからこの世界では、特に子供も禁止されていないが、高価なので結果的に子供には殆ど与えられることのない飲物も出された。
その香りがナイの鼻をくすぐる。
「あら、甘くていい香りだわ」
そう、果実酒である。
緊張するリスペルとフリーレの前にもタンブラーが当たり前のように並べられ、当たり前のように果実酒が注がれた。
「それじゃ、ナイねーちゃんの就職を祝って乾杯!」
アージュの掛け声にクラウス、ナイ、ベルは当たり前のように、フントは一テンポ遅れて、リスペルとフリーレはタンブラーを持ち上げたまま制止している五人に、早くしろとばかりの視線を送られてから、おずおずとグラスを手に取った。
さあ、宴会開始である。
「こんなに上等なのをごちそうになってもいいのかい?」
おずおずと申し出るリスペルにアージュは上機嫌で答えた。
「構わないさ。肉はタダだしな。それに祝いの席だから果実酒も楽しんでいってくれよな」
そんなアージュのおすすめに合わせて、クラウスとベルも、果実酒の瓶を抱えながらリスペルとフリーレの後ろに回り込んだ。
「ほらリスペルおにーちゃん、タンブラーが空だよ」
「フリーレさん、これからは僕のこともよろしくね」
などと調子のいいことを言いながら、クラウスはリスペル、ベルはフリーレのカップに照準を合わせている。
一方でフントは場の空気を読まずに、ナイにヴァントと二人きりで何をして過ごしたのかについて、根掘り葉掘り聞き出そうとしている。
「なあナイさん。ヴァントとは何をしてきたんだ?」
「先に商人組合のハーグさんのところに寄ってから市場を回って、その後に細工組合が出している店に案内してもらったわ。そこで鎖につけられた石を買ってあげるって言われたけれど、興味がないからお断りしちゃった」
どうやらヴァントはナイにネックレスでも贈ろうと画策したらしい。
ところが当のナイはそうした装飾品への欲求が皆無なので、プレゼントは空振りに終わったようだ。
思わず胸をなでおろすフント。
そんなものを誇らしげに胸に飾っているナイの姿を毎日見せつけられたら、嫉妬でたまらないであろう。
「それから、かぼちゃの甘露煮亭に出かけて、焼いたお肉と煮込んだお肉をごちそうになったの」
ナイは幸せそうにその時の光景を思い浮かべた。
どうやらナイの視線にはお肉しか映っていなかった模様だ
「で、野菜は食ったか?」
ナイの耽美な表情がすべてお肉に向かっていたと安堵したフントの横から、突然アージュが横やりを入れてきた。
アージュの指摘に対して、ナイは反射的にしどろもどろになってしまう。
「えっと。今から食べるから……」
「それじゃあ今からたっぷり食え」
ナイの目の前から、彼女が確保したステーキとシチューが撤去され、代わりに専用の皿に盛られた生野菜と温野菜に、シチューのソースが申し訳程度にかけられたものがアージュの手によって置かれてしまった。
目の前の景色ががらりと変わったことにより、ナイは落ち込むも、念のためアージュに確認した。
「ねえアージュ、これを食べたらさ……」
「好きなだけ肉を食っていいぞ」
「頑張る!」
ということで、ナイはフントとの会話も忘れ、彼から注がれた果実酒の存在も忘れ、一心不乱に野菜を口に運び始めた。
その時フントは気づいた。
アージュがにやりと笑いながら彼に一瞬だけ目線を送ったことに。
その視線にとっても嫌な予感がしたフントは、今日はおとなしく食事に付き合うだけにしたのである。
さて、宴もたけなわ。
最初は緊張していたリスペルとフリーレであったが、クラウスの魔法談議や、それに対しての的確かつウイットに富んだ質問を飛ばすベルとのやり取りに耳を傾け、アージュとクラウスがこれまでにやらかした失敗談議に花を咲かせるうちに、徐々にリラックスしていった。
「ほらほらリスペルおにーちゃん、飲みなよ」
「フリーレもカップが空いてるよ」
いつの間にか二人を挟み込むように着座したクラウスとベルに勧められるがままに、二人は杯を重ねていく。
こうしてほろ酔い少年少女の出来上がり。
すっかり気分がよくなってしまった二人は、ほわほわと幸せそうに寄り添いあっている。
そんな二人の様子を観察していたアージュの目が光る。
すると合図を待っていたかのように、フリーレの隣に陣取っていたベルがそっと何かを呟いた。
同時にフリーレの様子がおかしくなる。
ほんのりと染まっていた頬の赤みが少しずつ増してくる。
彼女は全身が徐々に火照ってくるのを感じていた。
同時に衣服の下でこすれる身体に、妙にくすぐったさが湧いていく。
くすぐったい。
でもちょっと気持ちいい。
くらくらする。
リスペル……。
その間、ベルはフリーレの様子をひそかに観察していた。
フリーレの身体の向きは、明らかにある方向に傾いている。
それは偶然ではなく、無意識なフリーレの意思よるものか?
「ふーん」
ベルはちょっとだけ楽しそうにそう呟くと、フリーレに優しく声を掛けてあげる。
「ねえフリーレ、ちょっと風に当たってくる?」
身体に力が入らなくなったのか、フリーレはぺたりと座りこんだまま、無言でベルに頷いた。
「それじゃリスペル、ちょっと手伝って」
ベルはフリーレの左腕を肩に担ぐと、右腕を支えるようにリスペルにごく自然に命じたのである。
リスペルとベルに支えられて、フリーレは屋敷の一番奥にあるゲストルームに案内された。
この部屋はリビングから最も離れており、角部屋のため窓は二面にある。
「よいしょっと」
ベルはリスペルを誘導しながら、窓際に据え付けられたダブルのベッドにフリーレを腰かけさせた。
「これは外しておこうね」
ベルはフリーレの顔からメガネをそっと外すと、ベッドサイドに置いた。
ほおを紅潮させ、目を潤ませた、フリーレのかわいらしい素顔があらわになる。
窓からは夕暮れから夜に替わる頃に見せる紫色の空が覗いている。
「それじゃリスペル、あそこには水差し、そっちの角には洗顔用の水樽があるから、後はよろしくね。タオルは好きなだけ使ってもいいってさ」
そう言い残すと、部屋の隅にしつらえたランプに穏やかな明かりをともし、ベルはさっさと部屋から出て行ってしまう。
残されたのはふわふわしたフリーレと、がちがちのリスペル。
リスペルは自問した。
どうしてこうなった?
「ねえリスペル、あなたも座ったら?」
うつろな目線とふわりとした笑顔で、フリーレは無邪気にリスペルを隣に誘った。
「あ、うん。ねえフリーレ大丈夫?」
リスペルはどぎまぎしながらも、フリーレの隣に遠慮がちにちょこりと腰掛けた。
ほんの少しだけ、無言の時が流れる。
それはリスペルにとっては混乱の時間。
どうしてこうなった……。
「ねえリスペル?」
「なに?」
不意のフリーレからの呼びかけにリスペルは反射的に返事をする。
「ねえ」
「なに?」
無言でフリーレはリスペルの肩に頭を預けた。
頭を預けたまま、上目遣いでリスペルの顔を見つめる。
そんな視線に目線を合わせられるはずもなく、リスペルは顔を宙に泳がせた。
「ねえ」
……。
「嫌い?」
え?
「私のこと、嫌い?」
え?
「私は好き……」
ええっ?
「やだ、恥ずかしい……」
フリーレはリスペルの肩に顔をうずめてしまう。
うずめながらもその身体をさらにリスペルに傾けていく。
リスペルは混乱した。
彼の頭の中でゴングが鳴り響くと同時に、彼の「理性」と「感情」と「欲望」がバトルロイヤルを開始する。
リスペルの理性「だめだろこんなの!」
リスペルの感情「僕だってフリーレの事は好きなんだ!」
リスペルの欲望「あーセックスしてえっ」
まずは感情が理性をはがい締めに捉えると、そこに欲望が強烈なラリアットを叩きこんだ。
倒れこむ理性を感情と欲望が二人がかりでリングの外に蹴り出してしまう。
理性が退場した今、残るは感情と欲望だけ。
感情と欲望が対峙する。
「僕はフリーレが大事なんだ!」
「僕はフリーレとヤりたいんだ!」
両者ががっぷりと手四つに組んだところで、リスペルは覚悟を決めた。
「僕だって、フリーレのことが好きなんだ!」
そのままリスペルはゆっくりとフリーレをベッドに寝かせてやる。
フリーレの両腕はいつの間にかリスペルの首にまわされている。
「リスペル……」
「フリーレ……」
さあ、大人への階段だ。
当然のことであるが、二人の世界に入り込んでしまったリスペルとフリーレは、喧騒がリビングからいつの間にか隣の部屋に移ったことには気づいていなかった。
残りの五人は、台所にて夕食の準備という名目で、何やらごそごそとやっている。
まずはアージュから。
「それじゃ、こういう段取りでいくか」
続けてクラウスがうなずく。
「そだね、そっちの方が面白そうかも」
楽しそうにしているベル。
「どっちに流れるかなあ」
呆れた表情のフント。
「お前らマジでやるのか?」
話が見えていないナイ。
「え、何するの?」
「ナイねーちゃんはいつもどおり食事を楽しめばいいさ。それじゃあメシにしようぜ!」
ということで、五人はアージュが用意した夕食やら飲物やらを一斉にリビングに運び込んだ。
「ナイねーちゃんがたんまりと肉料理をもらってきてくれたからな。今日は肉尽くしだ」
アージュが料理を披露するのに合わせて、同居人たちは大きな皿を並べていく。
ローテーブルには、フリーレはともかく、リスペルにはなかなかお目にかかれない贅沢な料理が並べられていく。
肉はナイがヴァントから奢ってもらったステーキとシチューの二種類が並ぶ。
それらにアージュが用意した山盛りの生野菜と温野菜、薄くスライスされたパンなどが添えられている。
それからこの世界では、特に子供も禁止されていないが、高価なので結果的に子供には殆ど与えられることのない飲物も出された。
その香りがナイの鼻をくすぐる。
「あら、甘くていい香りだわ」
そう、果実酒である。
緊張するリスペルとフリーレの前にもタンブラーが当たり前のように並べられ、当たり前のように果実酒が注がれた。
「それじゃ、ナイねーちゃんの就職を祝って乾杯!」
アージュの掛け声にクラウス、ナイ、ベルは当たり前のように、フントは一テンポ遅れて、リスペルとフリーレはタンブラーを持ち上げたまま制止している五人に、早くしろとばかりの視線を送られてから、おずおずとグラスを手に取った。
さあ、宴会開始である。
「こんなに上等なのをごちそうになってもいいのかい?」
おずおずと申し出るリスペルにアージュは上機嫌で答えた。
「構わないさ。肉はタダだしな。それに祝いの席だから果実酒も楽しんでいってくれよな」
そんなアージュのおすすめに合わせて、クラウスとベルも、果実酒の瓶を抱えながらリスペルとフリーレの後ろに回り込んだ。
「ほらリスペルおにーちゃん、タンブラーが空だよ」
「フリーレさん、これからは僕のこともよろしくね」
などと調子のいいことを言いながら、クラウスはリスペル、ベルはフリーレのカップに照準を合わせている。
一方でフントは場の空気を読まずに、ナイにヴァントと二人きりで何をして過ごしたのかについて、根掘り葉掘り聞き出そうとしている。
「なあナイさん。ヴァントとは何をしてきたんだ?」
「先に商人組合のハーグさんのところに寄ってから市場を回って、その後に細工組合が出している店に案内してもらったわ。そこで鎖につけられた石を買ってあげるって言われたけれど、興味がないからお断りしちゃった」
どうやらヴァントはナイにネックレスでも贈ろうと画策したらしい。
ところが当のナイはそうした装飾品への欲求が皆無なので、プレゼントは空振りに終わったようだ。
思わず胸をなでおろすフント。
そんなものを誇らしげに胸に飾っているナイの姿を毎日見せつけられたら、嫉妬でたまらないであろう。
「それから、かぼちゃの甘露煮亭に出かけて、焼いたお肉と煮込んだお肉をごちそうになったの」
ナイは幸せそうにその時の光景を思い浮かべた。
どうやらナイの視線にはお肉しか映っていなかった模様だ
「で、野菜は食ったか?」
ナイの耽美な表情がすべてお肉に向かっていたと安堵したフントの横から、突然アージュが横やりを入れてきた。
アージュの指摘に対して、ナイは反射的にしどろもどろになってしまう。
「えっと。今から食べるから……」
「それじゃあ今からたっぷり食え」
ナイの目の前から、彼女が確保したステーキとシチューが撤去され、代わりに専用の皿に盛られた生野菜と温野菜に、シチューのソースが申し訳程度にかけられたものがアージュの手によって置かれてしまった。
目の前の景色ががらりと変わったことにより、ナイは落ち込むも、念のためアージュに確認した。
「ねえアージュ、これを食べたらさ……」
「好きなだけ肉を食っていいぞ」
「頑張る!」
ということで、ナイはフントとの会話も忘れ、彼から注がれた果実酒の存在も忘れ、一心不乱に野菜を口に運び始めた。
その時フントは気づいた。
アージュがにやりと笑いながら彼に一瞬だけ目線を送ったことに。
その視線にとっても嫌な予感がしたフントは、今日はおとなしく食事に付き合うだけにしたのである。
さて、宴もたけなわ。
最初は緊張していたリスペルとフリーレであったが、クラウスの魔法談議や、それに対しての的確かつウイットに富んだ質問を飛ばすベルとのやり取りに耳を傾け、アージュとクラウスがこれまでにやらかした失敗談議に花を咲かせるうちに、徐々にリラックスしていった。
「ほらほらリスペルおにーちゃん、飲みなよ」
「フリーレもカップが空いてるよ」
いつの間にか二人を挟み込むように着座したクラウスとベルに勧められるがままに、二人は杯を重ねていく。
こうしてほろ酔い少年少女の出来上がり。
すっかり気分がよくなってしまった二人は、ほわほわと幸せそうに寄り添いあっている。
そんな二人の様子を観察していたアージュの目が光る。
すると合図を待っていたかのように、フリーレの隣に陣取っていたベルがそっと何かを呟いた。
同時にフリーレの様子がおかしくなる。
ほんのりと染まっていた頬の赤みが少しずつ増してくる。
彼女は全身が徐々に火照ってくるのを感じていた。
同時に衣服の下でこすれる身体に、妙にくすぐったさが湧いていく。
くすぐったい。
でもちょっと気持ちいい。
くらくらする。
リスペル……。
その間、ベルはフリーレの様子をひそかに観察していた。
フリーレの身体の向きは、明らかにある方向に傾いている。
それは偶然ではなく、無意識なフリーレの意思よるものか?
「ふーん」
ベルはちょっとだけ楽しそうにそう呟くと、フリーレに優しく声を掛けてあげる。
「ねえフリーレ、ちょっと風に当たってくる?」
身体に力が入らなくなったのか、フリーレはぺたりと座りこんだまま、無言でベルに頷いた。
「それじゃリスペル、ちょっと手伝って」
ベルはフリーレの左腕を肩に担ぐと、右腕を支えるようにリスペルにごく自然に命じたのである。
リスペルとベルに支えられて、フリーレは屋敷の一番奥にあるゲストルームに案内された。
この部屋はリビングから最も離れており、角部屋のため窓は二面にある。
「よいしょっと」
ベルはリスペルを誘導しながら、窓際に据え付けられたダブルのベッドにフリーレを腰かけさせた。
「これは外しておこうね」
ベルはフリーレの顔からメガネをそっと外すと、ベッドサイドに置いた。
ほおを紅潮させ、目を潤ませた、フリーレのかわいらしい素顔があらわになる。
窓からは夕暮れから夜に替わる頃に見せる紫色の空が覗いている。
「それじゃリスペル、あそこには水差し、そっちの角には洗顔用の水樽があるから、後はよろしくね。タオルは好きなだけ使ってもいいってさ」
そう言い残すと、部屋の隅にしつらえたランプに穏やかな明かりをともし、ベルはさっさと部屋から出て行ってしまう。
残されたのはふわふわしたフリーレと、がちがちのリスペル。
リスペルは自問した。
どうしてこうなった?
「ねえリスペル、あなたも座ったら?」
うつろな目線とふわりとした笑顔で、フリーレは無邪気にリスペルを隣に誘った。
「あ、うん。ねえフリーレ大丈夫?」
リスペルはどぎまぎしながらも、フリーレの隣に遠慮がちにちょこりと腰掛けた。
ほんの少しだけ、無言の時が流れる。
それはリスペルにとっては混乱の時間。
どうしてこうなった……。
「ねえリスペル?」
「なに?」
不意のフリーレからの呼びかけにリスペルは反射的に返事をする。
「ねえ」
「なに?」
無言でフリーレはリスペルの肩に頭を預けた。
頭を預けたまま、上目遣いでリスペルの顔を見つめる。
そんな視線に目線を合わせられるはずもなく、リスペルは顔を宙に泳がせた。
「ねえ」
……。
「嫌い?」
え?
「私のこと、嫌い?」
え?
「私は好き……」
ええっ?
「やだ、恥ずかしい……」
フリーレはリスペルの肩に顔をうずめてしまう。
うずめながらもその身体をさらにリスペルに傾けていく。
リスペルは混乱した。
彼の頭の中でゴングが鳴り響くと同時に、彼の「理性」と「感情」と「欲望」がバトルロイヤルを開始する。
リスペルの理性「だめだろこんなの!」
リスペルの感情「僕だってフリーレの事は好きなんだ!」
リスペルの欲望「あーセックスしてえっ」
まずは感情が理性をはがい締めに捉えると、そこに欲望が強烈なラリアットを叩きこんだ。
倒れこむ理性を感情と欲望が二人がかりでリングの外に蹴り出してしまう。
理性が退場した今、残るは感情と欲望だけ。
感情と欲望が対峙する。
「僕はフリーレが大事なんだ!」
「僕はフリーレとヤりたいんだ!」
両者ががっぷりと手四つに組んだところで、リスペルは覚悟を決めた。
「僕だって、フリーレのことが好きなんだ!」
そのままリスペルはゆっくりとフリーレをベッドに寝かせてやる。
フリーレの両腕はいつの間にかリスペルの首にまわされている。
「リスペル……」
「フリーレ……」
さあ、大人への階段だ。
当然のことであるが、二人の世界に入り込んでしまったリスペルとフリーレは、喧騒がリビングからいつの間にか隣の部屋に移ったことには気づいていなかった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる