60 / 71
うれしはずかし少年少女
しおりを挟む
「それじゃクラウス、ベル、お前らは先に屋敷に帰っていろ」
アージュは皆の前でそう指示を出した後、詳細を二人に耳打ちすると、クラウスとベルも他の連中に気取られないようにニヤニヤしながら素直に頷いた。
「それじゃ行くとするか」
アージュはキュールを担いだフントと、ようやく落ち着きを取り戻すも、足元が定かではないフリーレ、彼女を支えているリスペルと共に、商人組合へと向かった。
「おやまあ!」
商人組合で出迎えてくれたハーグが担がれたキュールの姿に驚くのは無理もない。
しかしどうやらヴァントが事前に商人組合に寄って、ハーグに風俗組合での実力各員について説明していたらしく、ハーグもすぐに状況を理解した。
「こりゃあキュールが負けちまったってことだね?フリーレ」
「うん……」
ハーグの問いかけにフリーレは言葉少なに頷いた。
するとアージュがハーグに向かってこんなことを言い出した。
「ちょっとフリーレを借りていくね!」
「ちょっと、借りていくってどういうことだいアージュ!」
「せっかくだから子供同士で食事会でもしようと思ってさ」
ハーグから半ば無理やりに了承を取り付けたアージュは、一行を引き連れてさっさと商人組合を後にした。
さて、帰宅の道すがらでのこと。
どうせナイは肉しかもらってこないだろうと推測したアージュは、間もなく閉場なので安売りを始めているであろう市場に向かった。
ものすごい勢いで買物をしながらフントに荷物持ちをさせているアージュを、リスペルは置いて行かれないように必死で追いかけ、リスペルに握られた手を引っ張られながら、最後尾に続くフリーレも息を切らせながら早足でついていく。
リスペルの意識はクラウスが見せた魔導の種類と威力に塗りつぶされていた。
フリーレの意識はアージュ、クラウス、ナイへの恐怖に塗りつぶされていた。
だから二人とも、今のところ気付いていない。
少年少女は今宵初めて手をつないだという、ささやかながらも神聖なイベントの真っ最中であるということに。
さて、買物を済ませた一行が屋敷に戻ると、先に帰っていたクラウスとベルに加え、ナイもすでに屋敷に戻っていた。
屋敷までヴァントがナイについてきたのだが、クラウスから「キュールさんが大変なことになっているよ」と言われ、慌てて商人組合に帰ったそうだ。
さすがクラウス、あしらい方をよくわかっている。
「お帰りアージュ、こんなにたくさん包んでもらっちゃった!」
ナイは上機嫌でローテーブルに配置した鍋ごとの煮込肉と、折詰にされたステーキ肉を自慢げに披露した。
そこに置かれているのはやっぱり肉だけだ。
そこには野菜のやの字もない。
「まあ予想通りだな、それじゃ夕食の支度をするか。ナイねーちゃんは鍋と折詰を一旦台所に運んでくれるか?クラウス、後は頼んだぞ!」
「わかった。それじゃリスペルおにーちゃんもフリーレおねえちゃんも中においでよ!」
クラウスの屈託のない笑顔に背中を押されるかのように、リスペルとフリーレは応接に構えられたローテーブルの一辺に並んで座らされた。
席順は奥の位置にナイを挟んで右にアージュ、左にクラウス。
その右側にベルとフント、反対側にはリスペルとフリーレが座ることになる。
アージュとナイ、それにフントは台所にこもっているので、現在着席しているのはクラウス、ベル、リスペル、フリーレの四人である。
四人は無言のまま。
但し、緊張を隠せないリスペルとフリーレに対し、クラウスとベルは、見ようによっては嫌らしい微笑みを上機嫌で浮かべながら何かを観察しているかのようだ。
そんな雰囲気に、リスペルがまずは屈した。
「ねえクラウス、さっきの魔法ってすごかったよね」
するとフリーレは先程風俗組合でラーデン相手に見せた鬼のようなクラウスを思い出したのか、一層表情が強張ってしまう。
しかしクラウスはニコニコと笑顔を崩さないまま。
「魔法の話は明日からでも出来るさ。それよりもリスペルおにーちゃんやフリーレおねーちゃんの事を教えてよ」
その愛らしい笑顔で実は恐るべき魔術師であるクラウスにそう請われてしまうと、リスペルもフリーレも従うしかない。
「僕はね」
まずはリスペルの身の上話から。
それはよくある話。
リスペルはいわゆる遺児だ。
彼は早くに母親を亡くし、風俗組合で戦闘員兼探索者を行っていた父も、組合で受注した護衛の仕事中に山賊に襲われて命を落とした。
幸か不幸か父親が組合仕事で命を落としたことから、リスペルは遺族年金代わりに風俗組合で下働きの職を与えられた。
なのでリスペルは路頭に迷わずに済んだのだ。
一方のフリーレは大規模カボチャ農家の次女だ。
実家は大規模がゆえに小作人も複数雇っているので、フリーレが畑仕事に従事することはない。
一方で彼女の上には兄と姉がいるので、後継ぎが彼女に回ってくることもない。
さて、商人組合では、支配人や幹部はともかく、事務員などを組合員である商人家から雇用するのは、倫理上よろしくないとされている。
なので承認組合では出自が承認組合に直接係らない、農家や職人たちの子女を雇用するのが通例となっている。
そこでフリーレは商人組合で働くことにした。
比較的裕福な彼女の就労目的は、半分が人生経験、半分が出入りの承認相手に玉の輿ゲットだ。
ちなみに主に売店の店番をしているハーグは、道具職人を夫に持つ立派な人妻である。
すると唐突にベルが二人に切り出した。
「ねえ、リスペルとフリーレって、お付き合いをしてるの?」
途端に二人は顔真っ赤となる。
「い、いえ、そんなことありません!」
動揺するフリーレ。
「フリーレはいいところの娘さんだから、僕なんか……」
落胆するリスペル。
そのとき、思わずきつい表情でフリーレが一瞬リスペルを睨みつけたところを、クラウスとベルが見逃すはずもない。
焚きつけは完了だ。
クラウスとベルは、目の前の少年少女が互いに意識しているのを確認すると、これからの実験によって二人のどちらか、特にフリーレが傷つくことはないだろうと確信した。
すると、ちょうどいいタイミングでアージュが台所から声をかけてきた。
「クラウス、ベル、夕飯の用意ができたから運んでくれるか!」
「はーい」
クラウスとベルはよっこらしょと立ち上がると、そろって台所に向かってしまう。
ローテーブルに並んで残された二人。
するとフリーレが無言でリスペルの左足を無言でつねり、リスペルは思わず背筋を伸ばしてしまう。
そうして再び訪れる静寂。
しかし二人は気づかなかった。
クラウスとベルから報告を受けたアージュが、台所の陰からニヤニヤと二人の様子を観察していたことに。
アージュは皆の前でそう指示を出した後、詳細を二人に耳打ちすると、クラウスとベルも他の連中に気取られないようにニヤニヤしながら素直に頷いた。
「それじゃ行くとするか」
アージュはキュールを担いだフントと、ようやく落ち着きを取り戻すも、足元が定かではないフリーレ、彼女を支えているリスペルと共に、商人組合へと向かった。
「おやまあ!」
商人組合で出迎えてくれたハーグが担がれたキュールの姿に驚くのは無理もない。
しかしどうやらヴァントが事前に商人組合に寄って、ハーグに風俗組合での実力各員について説明していたらしく、ハーグもすぐに状況を理解した。
「こりゃあキュールが負けちまったってことだね?フリーレ」
「うん……」
ハーグの問いかけにフリーレは言葉少なに頷いた。
するとアージュがハーグに向かってこんなことを言い出した。
「ちょっとフリーレを借りていくね!」
「ちょっと、借りていくってどういうことだいアージュ!」
「せっかくだから子供同士で食事会でもしようと思ってさ」
ハーグから半ば無理やりに了承を取り付けたアージュは、一行を引き連れてさっさと商人組合を後にした。
さて、帰宅の道すがらでのこと。
どうせナイは肉しかもらってこないだろうと推測したアージュは、間もなく閉場なので安売りを始めているであろう市場に向かった。
ものすごい勢いで買物をしながらフントに荷物持ちをさせているアージュを、リスペルは置いて行かれないように必死で追いかけ、リスペルに握られた手を引っ張られながら、最後尾に続くフリーレも息を切らせながら早足でついていく。
リスペルの意識はクラウスが見せた魔導の種類と威力に塗りつぶされていた。
フリーレの意識はアージュ、クラウス、ナイへの恐怖に塗りつぶされていた。
だから二人とも、今のところ気付いていない。
少年少女は今宵初めて手をつないだという、ささやかながらも神聖なイベントの真っ最中であるということに。
さて、買物を済ませた一行が屋敷に戻ると、先に帰っていたクラウスとベルに加え、ナイもすでに屋敷に戻っていた。
屋敷までヴァントがナイについてきたのだが、クラウスから「キュールさんが大変なことになっているよ」と言われ、慌てて商人組合に帰ったそうだ。
さすがクラウス、あしらい方をよくわかっている。
「お帰りアージュ、こんなにたくさん包んでもらっちゃった!」
ナイは上機嫌でローテーブルに配置した鍋ごとの煮込肉と、折詰にされたステーキ肉を自慢げに披露した。
そこに置かれているのはやっぱり肉だけだ。
そこには野菜のやの字もない。
「まあ予想通りだな、それじゃ夕食の支度をするか。ナイねーちゃんは鍋と折詰を一旦台所に運んでくれるか?クラウス、後は頼んだぞ!」
「わかった。それじゃリスペルおにーちゃんもフリーレおねえちゃんも中においでよ!」
クラウスの屈託のない笑顔に背中を押されるかのように、リスペルとフリーレは応接に構えられたローテーブルの一辺に並んで座らされた。
席順は奥の位置にナイを挟んで右にアージュ、左にクラウス。
その右側にベルとフント、反対側にはリスペルとフリーレが座ることになる。
アージュとナイ、それにフントは台所にこもっているので、現在着席しているのはクラウス、ベル、リスペル、フリーレの四人である。
四人は無言のまま。
但し、緊張を隠せないリスペルとフリーレに対し、クラウスとベルは、見ようによっては嫌らしい微笑みを上機嫌で浮かべながら何かを観察しているかのようだ。
そんな雰囲気に、リスペルがまずは屈した。
「ねえクラウス、さっきの魔法ってすごかったよね」
するとフリーレは先程風俗組合でラーデン相手に見せた鬼のようなクラウスを思い出したのか、一層表情が強張ってしまう。
しかしクラウスはニコニコと笑顔を崩さないまま。
「魔法の話は明日からでも出来るさ。それよりもリスペルおにーちゃんやフリーレおねーちゃんの事を教えてよ」
その愛らしい笑顔で実は恐るべき魔術師であるクラウスにそう請われてしまうと、リスペルもフリーレも従うしかない。
「僕はね」
まずはリスペルの身の上話から。
それはよくある話。
リスペルはいわゆる遺児だ。
彼は早くに母親を亡くし、風俗組合で戦闘員兼探索者を行っていた父も、組合で受注した護衛の仕事中に山賊に襲われて命を落とした。
幸か不幸か父親が組合仕事で命を落としたことから、リスペルは遺族年金代わりに風俗組合で下働きの職を与えられた。
なのでリスペルは路頭に迷わずに済んだのだ。
一方のフリーレは大規模カボチャ農家の次女だ。
実家は大規模がゆえに小作人も複数雇っているので、フリーレが畑仕事に従事することはない。
一方で彼女の上には兄と姉がいるので、後継ぎが彼女に回ってくることもない。
さて、商人組合では、支配人や幹部はともかく、事務員などを組合員である商人家から雇用するのは、倫理上よろしくないとされている。
なので承認組合では出自が承認組合に直接係らない、農家や職人たちの子女を雇用するのが通例となっている。
そこでフリーレは商人組合で働くことにした。
比較的裕福な彼女の就労目的は、半分が人生経験、半分が出入りの承認相手に玉の輿ゲットだ。
ちなみに主に売店の店番をしているハーグは、道具職人を夫に持つ立派な人妻である。
すると唐突にベルが二人に切り出した。
「ねえ、リスペルとフリーレって、お付き合いをしてるの?」
途端に二人は顔真っ赤となる。
「い、いえ、そんなことありません!」
動揺するフリーレ。
「フリーレはいいところの娘さんだから、僕なんか……」
落胆するリスペル。
そのとき、思わずきつい表情でフリーレが一瞬リスペルを睨みつけたところを、クラウスとベルが見逃すはずもない。
焚きつけは完了だ。
クラウスとベルは、目の前の少年少女が互いに意識しているのを確認すると、これからの実験によって二人のどちらか、特にフリーレが傷つくことはないだろうと確信した。
すると、ちょうどいいタイミングでアージュが台所から声をかけてきた。
「クラウス、ベル、夕飯の用意ができたから運んでくれるか!」
「はーい」
クラウスとベルはよっこらしょと立ち上がると、そろって台所に向かってしまう。
ローテーブルに並んで残された二人。
するとフリーレが無言でリスペルの左足を無言でつねり、リスペルは思わず背筋を伸ばしてしまう。
そうして再び訪れる静寂。
しかし二人は気づかなかった。
クラウスとベルから報告を受けたアージュが、台所の陰からニヤニヤと二人の様子を観察していたことに。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
解放の砦
さいはて旅行社
ファンタジー
その世界は人知れず、緩慢に滅びの道を進んでいた。
そこは剣と魔法のファンタジー世界。
転生して、リアムがものごころがついて喜んだのも、つかの間。
残念ながら、派手な攻撃魔法を使えるわけではなかった。
その上、待っていたのは貧しい男爵家の三男として生まれ、しかも魔物討伐に、事務作業、家事に、弟の世話と、忙しく地味に辛い日々。
けれど、この世界にはリアムに愛情を注いでくれる母親がいた。
それだけでリアムは幸せだった。
前世では家族にも仕事にも恵まれなかったから。
リアムは冒険者である最愛の母親を支えるために手伝いを頑張っていた。
だが、リアムが八歳のある日、母親が魔物に殺されてしまう。
母が亡くなってからも、クズ親父と二人のクソ兄貴たちとは冷えた家族関係のまま、リアムの冒険者生活は続いていく。
いつか和解をすることになるのか、はたまた。
B級冒険者の母親がやっていた砦の管理者を継いで、書類作成確認等の事務処理作業に精を出す。砦の守護獣である気分屋のクロとツンツンなシロ様にかまわれながら、A級、B級冒険者のスーパーアスリート超の身体能力を持っている脳筋たちに囲まれる。
平穏無事を祈りながらも、砦ではなぜか事件が起こり、騒がしい日々が続く。
前世で死んだ後に、
「キミは世界から排除されて可哀想だったから、次の人生ではオマケをあげよう」
そんな神様の言葉を、ほんの少しは楽しみにしていたのに。。。
オマケって何だったんだーーーっ、と神に問いたくなる境遇がリアムにはさらに待っていた。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる