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姫とちんこと女神さま 承
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「よろしいでしょうかアイリス姫」
「なに? リリィ」
手を挙げたメイドのリリィは続けます。
「姫さまが、賢い男性をお婿さんに迎えたらいかがでしょうか?」
すると姫さまはメイドをにらみつけました。
「そんなの、できるものならとっくにしているわ」
姫様はちんこに振られたことを思い出し舌打ちします。
しかしメイドは続けます。
「私、優秀な若手村長を一人存じております」
「容姿は?」
「正直かっこいいです」
姫さまはちょっと興味が出てきました。
しかしメイドはちょっと言いにくそうに口ごもりました。
「ただ、ちょっと問題があって」
「なによ?」
「その方はホモなのです」
ところが姫さまはさらに若手村長に対して興味を持ちました。
「だめねリリィは。かっこいい男性はホモとは言わないの。ちゃんとビーエルと呼びなさいね」
正直ホモに興味のないメイドにとってはどっちでも構わないのですが、さすがアダルトビデオに自ら出演しようとする姫さまは、そちら方面へのこだわりを持っているようです。
姫様は当然の疑問を呈します。
「でも、ビーエルならお相手がいるでしょ」
するとリリィはちょっとだけ勝ち誇った表情になりました。
「はい、確かに若手村長にはホモの連れがいます。でも、彼には秘密があるのです」
姫さまはリリィの説明に割り込んできます。
「だめよリリィ、ホモの連れだなんて言い方をしちゃ。ちゃんとビーエルパートナーと言いなさいな」
それこそどうでもいいと思いながら、メイドは姫さまに説明を始めました。
今日もアドニスくんはせっせと池のほとりの祠を掃除しています。
彼のパートナーであるカズくんは、最近売り出し中の若手村長です。
カズくんはアドニスくんのために出世街道を駆け上がりました。
そしてついには村長となって、渋谷区よりも先に「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」すなわち「パートナーシップ制度」を村に導入したことは、国中に知れ渡りました。
当然パートナーシップ証明書の交付第一号は、カズくんとアドニスくんです。
この画期的な制度により、村では転入者が爆発的に増加しました。
彼らは様々なジャンルのエキスパートであったので、村には次々と新たな産業が立ち上がりました。
それらの産業が納める法人税や勤め人たちから徴収する住民税などをを元手に、カズくんは公共事業に積極的に投資を行い、インフラを整備し、村を発展させました。
村が発展すれば、ノンケも沢山引っ越してきます。
こうして村はどんどん繁栄していきました。
当然のことながら村長のカズくんは大忙しですが、アドニスくんとの夜だけは欠かしていません。
すでにカズくんにとっては、アドニスくんは己の活力そのものの存在となっていたのです。
アドニスくんは幸せでした。
「きっと、ちんこがぼくとカズくんを見守ってくれているのだね」
そう勝手に解釈しながら、今日もアドニスくんは清掃活動に励むのです。
ところが、突然アドニスくんは闇にとらわれてしまいます。
「さっさと運べ!」
そんな怒鳴り声を遠くに聞きながら、カズくんは意識を失ってしまいました。
さて同じころ、村には姫さまとメイド、姫さまお付きの兵士たちがやってきました。
当然ながら村長のカズくんが村を代表して姫さまたちをお出迎えをします。
すると姫さまはぞんざいな態度でカズくんに告げました。
「村長カズくん、そちはわらわの婿となり、その手腕で王国を再興するのじゃ」
そうです。
姫さまはカズくんをスカウトに来たのです。
しかし、カズくんは到底そんな命令など呑めません。
「姫さま、ありがたいお話ではございますが、申し訳ございませんが辞退させていただきます」
すると姫さまはその回答を予想していたかのように口元にゆがんだ笑みを浮かべました。
「なんじゃ、理由は愛する人がいるからか?」
一瞬カズくんの眉間がピクリとします。
「おお怖い、そんな顔で睨むな」
姫さまはカズくんに嫌らしい微笑みをわざとらしく向けました。
「まさか姫さま」
「早合点するな。わらわも臣民の命を簡単に手にかけようとは思わんよ。ただな、カズくんの未練は断ち切らねばならんからの」
すると二人兵士が気を失っている一人の青年を引きずってきました。
「アドニス!」
カズくんの呼び声にアドニスくんは意識を取り戻します。
飛び出そうとしたカズくんを他の兵士が二人がかりで拘束します。
「カズくん!」
必死で互いに名前を呼び合う二人の青年の姿に、メイドは眉をひそめ、姫さまはマニアな喜びにふけります。
姫さまはアドニスくんに近づきました。
「アドニス、そちは魔法により男の子となっているそうじゃな?」
「違います姫さま! ボクはもとから男の子です!」
するとメイドも嫌らしい微笑みを浮かべました。
「ところで、あなたが指にはめている指輪から、強力な魔力を感じますね」
どきりとするアドニスくん。
「いえ、これはお爺さんの形見なのです!」
必死に抵抗するアドニスくんですが、兵士に押さえつけられて身動きがとれません。
一方のカズくんも、村人たちを人質に取られているような状況なので、兵士を振り切ってアドニスくんを助けに行くことはできません。
「これじゃな」
姫さまはアドニスくんの指を強引に開かせると、淡く光る指輪をゆっくりと指から抜きました。
「やめてー」
指輪が引き抜かれた瞬間、アドニスくんは一瞬淡く光りました。
そして次の瞬間、彼のちんこは消えてしまったのです。
「ちんこのない男の子なぞ、おらんからな。これでは村のパートナーシップ証明も無効よの」
姫さまは勝ち誇ったように笑うと、兵士に命じました。
「さっさとカズくんを王城にお送りしろ! 怪我をさせてはならぬぞ」
その場にうずくまってしまうアドニスくんに既に用はないとばかりに、姫さまは兵士に命じました。
「アドニス! アドニス!」
「カズくん! カズくん!」
こうして二人は引き裂かれてしまったのです。
「なに? リリィ」
手を挙げたメイドのリリィは続けます。
「姫さまが、賢い男性をお婿さんに迎えたらいかがでしょうか?」
すると姫さまはメイドをにらみつけました。
「そんなの、できるものならとっくにしているわ」
姫様はちんこに振られたことを思い出し舌打ちします。
しかしメイドは続けます。
「私、優秀な若手村長を一人存じております」
「容姿は?」
「正直かっこいいです」
姫さまはちょっと興味が出てきました。
しかしメイドはちょっと言いにくそうに口ごもりました。
「ただ、ちょっと問題があって」
「なによ?」
「その方はホモなのです」
ところが姫さまはさらに若手村長に対して興味を持ちました。
「だめねリリィは。かっこいい男性はホモとは言わないの。ちゃんとビーエルと呼びなさいね」
正直ホモに興味のないメイドにとってはどっちでも構わないのですが、さすがアダルトビデオに自ら出演しようとする姫さまは、そちら方面へのこだわりを持っているようです。
姫様は当然の疑問を呈します。
「でも、ビーエルならお相手がいるでしょ」
するとリリィはちょっとだけ勝ち誇った表情になりました。
「はい、確かに若手村長にはホモの連れがいます。でも、彼には秘密があるのです」
姫さまはリリィの説明に割り込んできます。
「だめよリリィ、ホモの連れだなんて言い方をしちゃ。ちゃんとビーエルパートナーと言いなさいな」
それこそどうでもいいと思いながら、メイドは姫さまに説明を始めました。
今日もアドニスくんはせっせと池のほとりの祠を掃除しています。
彼のパートナーであるカズくんは、最近売り出し中の若手村長です。
カズくんはアドニスくんのために出世街道を駆け上がりました。
そしてついには村長となって、渋谷区よりも先に「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」すなわち「パートナーシップ制度」を村に導入したことは、国中に知れ渡りました。
当然パートナーシップ証明書の交付第一号は、カズくんとアドニスくんです。
この画期的な制度により、村では転入者が爆発的に増加しました。
彼らは様々なジャンルのエキスパートであったので、村には次々と新たな産業が立ち上がりました。
それらの産業が納める法人税や勤め人たちから徴収する住民税などをを元手に、カズくんは公共事業に積極的に投資を行い、インフラを整備し、村を発展させました。
村が発展すれば、ノンケも沢山引っ越してきます。
こうして村はどんどん繁栄していきました。
当然のことながら村長のカズくんは大忙しですが、アドニスくんとの夜だけは欠かしていません。
すでにカズくんにとっては、アドニスくんは己の活力そのものの存在となっていたのです。
アドニスくんは幸せでした。
「きっと、ちんこがぼくとカズくんを見守ってくれているのだね」
そう勝手に解釈しながら、今日もアドニスくんは清掃活動に励むのです。
ところが、突然アドニスくんは闇にとらわれてしまいます。
「さっさと運べ!」
そんな怒鳴り声を遠くに聞きながら、カズくんは意識を失ってしまいました。
さて同じころ、村には姫さまとメイド、姫さまお付きの兵士たちがやってきました。
当然ながら村長のカズくんが村を代表して姫さまたちをお出迎えをします。
すると姫さまはぞんざいな態度でカズくんに告げました。
「村長カズくん、そちはわらわの婿となり、その手腕で王国を再興するのじゃ」
そうです。
姫さまはカズくんをスカウトに来たのです。
しかし、カズくんは到底そんな命令など呑めません。
「姫さま、ありがたいお話ではございますが、申し訳ございませんが辞退させていただきます」
すると姫さまはその回答を予想していたかのように口元にゆがんだ笑みを浮かべました。
「なんじゃ、理由は愛する人がいるからか?」
一瞬カズくんの眉間がピクリとします。
「おお怖い、そんな顔で睨むな」
姫さまはカズくんに嫌らしい微笑みをわざとらしく向けました。
「まさか姫さま」
「早合点するな。わらわも臣民の命を簡単に手にかけようとは思わんよ。ただな、カズくんの未練は断ち切らねばならんからの」
すると二人兵士が気を失っている一人の青年を引きずってきました。
「アドニス!」
カズくんの呼び声にアドニスくんは意識を取り戻します。
飛び出そうとしたカズくんを他の兵士が二人がかりで拘束します。
「カズくん!」
必死で互いに名前を呼び合う二人の青年の姿に、メイドは眉をひそめ、姫さまはマニアな喜びにふけります。
姫さまはアドニスくんに近づきました。
「アドニス、そちは魔法により男の子となっているそうじゃな?」
「違います姫さま! ボクはもとから男の子です!」
するとメイドも嫌らしい微笑みを浮かべました。
「ところで、あなたが指にはめている指輪から、強力な魔力を感じますね」
どきりとするアドニスくん。
「いえ、これはお爺さんの形見なのです!」
必死に抵抗するアドニスくんですが、兵士に押さえつけられて身動きがとれません。
一方のカズくんも、村人たちを人質に取られているような状況なので、兵士を振り切ってアドニスくんを助けに行くことはできません。
「これじゃな」
姫さまはアドニスくんの指を強引に開かせると、淡く光る指輪をゆっくりと指から抜きました。
「やめてー」
指輪が引き抜かれた瞬間、アドニスくんは一瞬淡く光りました。
そして次の瞬間、彼のちんこは消えてしまったのです。
「ちんこのない男の子なぞ、おらんからな。これでは村のパートナーシップ証明も無効よの」
姫さまは勝ち誇ったように笑うと、兵士に命じました。
「さっさとカズくんを王城にお送りしろ! 怪我をさせてはならぬぞ」
その場にうずくまってしまうアドニスくんに既に用はないとばかりに、姫さまは兵士に命じました。
「アドニス! アドニス!」
「カズくん! カズくん!」
こうして二人は引き裂かれてしまったのです。
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