ちんこと女神さま

halsan

文字の大きさ
上 下
2 / 9

ちんこと女神さま 前編

しおりを挟む
 ちんこは女神さまに救われました。

 彼はもともと、アドニスくんという男の子のちんこでした。
 でも、アドニスくんは同じ男の子のカズくんを好きになってしまったのです。
 アドニスくんはカズくんのお嫁さんになりたかったのです。

 だからアドニスくんはおじいさんに、ちんこを切ってほしいと願ったのです。
 こうしてちんこは、高名な魔法使いであるアドニスくんのおじいさんの手によって、アドニスくんから切り取られたのです。

 ちんこは思いました。
「ぼくはなぜ切られたのかな」

 ちんこは悲しみました。
「ぼくはいらない子なのかな」

 そのままちんこは飛び込みました。
 魔法使いのおじいさんが住む家の裏庭にあった池に。

 だれかがちんこの頬を優しく叩きます。

 ぷしゅー
 ちんこは水を吐き出しました。

「ああ、気がついたのね」
 ちんこの目の前では、それはそれは美しい女性が、ちんこをのぞき込んでいました。

「ぼくを助けてくれたの?」
 ちんこは美しい女性に尋ねました。

 でも、目の前の美しい女性は微笑むだけ。

「ううん、まだ助けてはいないわ」
 美しい人は首を左右に振ります。

「だって、あなたがここに飛び込んだ理由がわからないから」

 ちんこがこの池に飛び込んだ理由。
 それは「ぼくがいらない子」だと思ったから。

 ちんこを助けてくれたのは、この池を守る女神さまでした。

 女神さまはちんこを気に入りました。
 特にちんこのぷるんぷるんな肌触りがお気に入りのようです。

「ちんこはぷるぷるね」
 そういってちんこのほっぺをぷにぷにします。
 ぷにぷにされてちんこはちょっと緊張してしまいます。
 緊張したちんこのほっぺを突っつきながら女神さまは頬を赤らめます。

 こうしてちんこと女神さまは毎日を過ごしました。

 ところがある日、上の方から大きな音がしたのです。

「あ、アドニスくん!」

 大きな音を立てたのは、ちんこを股間から切り取ったアドニスくんでした。
 なんとアドニスくんは池に身投げをしたのです。

 すると女神さまの機嫌が途端に悪くなりました。

「こうも自殺に使われちゃうと、池の評判が落ちちゃうのよね」
 なにかリアルな事情を聴いたような気がします。

「あーもう、元に戻す口実とかないかしら」 
 女神さまのお力おちからは強力です。
 今現在も、池に飛び込んだアドニスくんがおぼれるのを簡単に食い止めています。

 でも、特別な事情がない限りエントロピーは戻してはいけないそうです。
 神さまと女神さまの世界も様々な制約に縛られていて大変なのだそうです。

 すると、女神さまが頭上に向けて目を見開きました。

「チャーンス!」
「どうしたの女神さま?」
「池のほとりで、このガキのおじいさんが泣いているのよ。あれを三日ほど続けてくれたら、奇跡を起こしても他の神さまも文句は言わないわ」

 ちんこは大人の事情を少しだけ理解しました。

 女神さまの期待通り、おじいさんは三日三晩泣き続けました。
 その後、女神さまは金銀パール何とかではないですが、おじいさんを試すふりをして、アドニスくんを厄介払いしました。

「ちんこ、これでまた平和が来たわ」
 でもちんこは不満でした。

 それは今回の出番が、女神さまの両手にやさしく抱きかかえられて、おじいさんとクソガキに懇願する役割だったからです。

「女神さま、ぼくはもっと強くなりたい」
 そんなちんこを女神さまは意外そうな目で見つめました。

「強くなりたいの? ちんこ」
「はい、女神さま」
「そう、ちんこも男の子ね。わかったわ。修行に行ってらっしゃい。でもねちんこ、あなたはいつでもこの池に帰ってこれるのだからね」

 ちんこは女神さまのやさしさにぷるんぷるんと打ち震えました。
 そして心に決めます。

「ぼくは絶対強くなって女神さまの元に必ず戻ってきます」

 こうしてちんこは旅に出ました。
 女神さまの妖艶な舌なめずりには気づかずに。

「さて、修行をしなきゃ」
 でも、ちんこは修行の仕方を知りません。

 するとそこに、穴に潜ったどじょうさんがいました。

「ねえどじょうさん、修行をするには何をしたらいいかな?」
 すると親切などじょうさんは教えてくれました。

「冷たい滝に打たれて体を冷やすといいよ」
 いわれたとおり、ちんこは滝に打たれて修行をしました。
 すると何となく、持久力があがったような気がしました。

 次に出会ったのは、穴に潜ったナマズさんです。

「ねえナマズさん、修行をするには何をしたらいいかな?」
 すると親切なナマズさんは教えてくれました。

「乾布摩擦をするといいよ」
 いわれたとおり、ちんこは毎朝体中をタオルでこすりました。
 すると何となく、持続力があがったような気がしました。 

 ちんこは自信がつきました。
 今なら誰と戦っても負ける気がしません。

「世紀末救世主って、こんな気分だったのかな」
 ちんこは浮かれました。

 するとそこに悲鳴が響きました。

「たすけてー」

 ちんこは悲鳴の方向に全力で向かいます。

「む」

 そこには、モンスターに襲われている女の子がいました。

 ちんこは反射的にモンスターへと攻撃を仕掛けます。
 しかしやっかいなことに、相手のモンスターはちんこにとって天敵ともいえる相手だったのです。

 そのモンスターは「うつぼかずら」といいます。
 しかし、うつぼかずらの恐ろしさを知らないちんこは、勢いのままにうつぼかずらに突っ込みました。

「むむ」

 勢い余ったちんこは、うつぼかずらの体内にとりこまれてしまいました。
 そう、ちんこの身体はうつぼかずらの穴にジャストフィットサイズなのです。
 このままでは、ちんこはうつぼかずらに身も心もとろけさせられて人生終了です。

 人生をとろけさせられてしまうのもある意味一つのスタイルなのですが、ちんこにはそこまでの深い嗜好はまだわかりません。

 ちんこはあせりました。
 何とかしなければ。

 体がぬるぬるに覆われます。
 このままだと、とろけさせられてしまいます。

 余りの気持ちよさにちんこはこのまま身を委ねようかと思ってしまいました。
 このままでは人生負けコースです。

 しかし、ちんこには加護がありました。
 そう、ちんこには女神さまの加護があるのです。

「ああ、女神さまから、こんなにとろけさせられるような想いをさせられたら、僕はどうなっちゃうんだろう」

 そう夢想した瞬間、ちんこのドーパミンとエンドルフィンは目覚めました。

「うおおおおおうりゃあ!」

 そうです、ちんこは巨大化したのです。
 あわれうつぼかずらは、その身体を巨大化したちんこに引き裂かれ、絶命してしまいました。

「助かりました、旅のちんこさま」
 女の子はちんこにお礼を言いました。

 いい汗をかいたちんこも、まんざらでもありません。

 すると女の子が助けられたという立場もわきまえず、おずおずとちんこにお願いをしました。
「旅のちんこさま、お願いです、姫さまをお救いくださいまし」

「どういうこと?」

 ちんこの疑問に女の子は答えます。

 この先の小さな王国で、二年前に姫さまが悪い魔法使いにさらわれました。
 悪い魔法使いは、姫さまが十六歳になってから結婚するために、姫さまを塔に幽閉しているのです。
 悪い魔法使いは、その間、姫さまが奪還されないように、塔に様々な卑怯な罠を張っているのです。

 ちんこは疑問に思いました。
「なぜ悪い魔法使いは姫さまをすぐにお嫁さんにしないの?」

 すると女の子は常識知らずを見るようなあきれた目線でちんこに答えました。
「法律で十六歳未満の女の子は結婚できないのです。常識ですよちんこさま」

 ちんこは不思議に思いました。
 刑法でいうところの誘拐を堂々と行っている悪い魔法使いが、なんで民法に定められている結婚年齢を順守しようかとしているのだろうかと。

 さらに女の子は続けました。
「昨今は未成年保護条例もありますから、それこそ淫行なんてばれたら社会的に人生終了なのです」
 どや顔で語る女の子の前に、ちんこは考え込んでしまいます。
 つまりは刑法よりも青少年保護条例の方がおっかないということなのかな。

 こうして疑問を持ちながらも、ちんこはそのまま王家へと連れていかれました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】

迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。 ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。 自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。 「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」 「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」  ※表現には実際と違う場合があります。  そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。  私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。  ※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。  ※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

処理中です...