ほもむかしばなし

halsan

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いなばのしろふぐり

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 昔々、ある小さな島に、一匹の野うさぎが住んでいました。

 野うさぎの自慢は、真っ黒な剛毛に覆われた、信楽焼のたぬきも裸足はだしで逃げ出すほどの「ふぐり」です。
 
 ちなみにふぐりとは、きんたまぶくろのことです。
 よい子はメモを取っておきましょう。
 
 さて、ふぐり比べで、島のあらゆるオスどもに勝利した野うさぎは考えました。
 
「俺よりでかい奴に会いに行く」

 島の向こうには海を挟んで、未知の世界が広がっています。
 
 ところが野うさぎは、でっかいふぐりが災いし、いまいち泳ぎが得意ではありません。
 
 むう。

 野うさぎは海を渡る方法を考えました。
 
 ちーん。
 
 野うさぎはいいことを思いつきました。
 
 野うさぎは海に出ると、以前ふぐり勝負で打ち負かした「わに」に声をかけました。
 
「わによ。精進しておるか?」

 いきなり精進しておるかと言われても、わには困ってしまいます。
 
 しかし困惑するわにを尻目に、野うさぎは続けました。
 
「お前のふぐりはわしのよりは小さいが、わにの中では一番だと思うぞ」

 褒められたわには、ちょっとうれしくなりました。
 
 でも、それだけでは自称チャンピオンなだけです。
 
 便所の落書き掲示板でおちょくられている、自称最強の格闘家と変わりがありません。
 
 すると、そんなわにの思いを見透かしたように、野うさぎは続けました。
 
「お前の仲間を一列に並べるがよい。さすればわしが全員のふぐりを測ってしんぜよう」

「それはよいことだ。ならば早速仲間どもを並べよう」

 わには仲間を呼ぶと、ふぐりを上に向けて、一列になりました。
 
 野うさぎはわには腹に飛び乗りながら、ふぐりの大きさを測り、結果をわにの腹に書いていきます。
 
 計測は黙々と行われました。
 
 ここまでは野うさぎの目論見通り、最初のわにが一番大きなふぐりだったのです。
 
 さて、間もなく未知の世界に届くかというときのこと。
 
 このままいけば合法的に海を渡ることができます。
 
 しかし野うさぎは困ってしまいました。
 
 なぜならば、最後のわにが見せるふぐりが、明らかに最初のわによりも大きかったからです。
 
 最初のわににお墨付きを与えてしまった手前、野うさぎは最後のわにをふぐり王者として認定する訳にはいきません。
 
 どうしたものか。
 
 野うさぎは思いつきました。
 
 そうだ。この勝負を無効にしてしまえばいいのだ。
 
 ノーコンテストにしてしまえばいいのだ。
 
 なので野うさぎは宣言しました。
 
「この勝負は無効である。では、さらばだ」

 当然わにたちは怒りました。

 そのまま野うさぎはわにたちから、未知の土地に逃げ出そうとしました。
 
 しかしここでも巨大なふぐりが足かせとなりました。

 最後のわにが、野うさぎのふぐりに噛みついたのです。
 
 ふぐりは真っ黒な剛毛に守られていましたが、さすがにわにの牙には敵いません。
 
 あわれ、野うさぎのふぐりは、自慢の剛毛をむしり取られてしまったのです。
 
 野うさぎはふぐりの痛みにもだえました。
 
 するとそこに一人の神様が通りかかりました。
 
「どうした野うさぎよ」

 野うさぎはわにに剛毛をむしり取られたと答えました。
 
 すると神様は口元ににやりと笑みを浮かべた後、野うさぎにこう教えました。
 
「海岸に行って、昆布にたっぷりと海水を湿らせてから、それをふぐりに巻くとよい。なんでも昆布には増毛効果があるらしいぞ」

 野うさぎは神様にお礼を言うと、痛みをこらえながら海岸へと出向きました。
 
 野うさぎは神様に言われた通り、昆布に海水をたっぷりと含ませて、自慢のふぐりに巻きました。

「あいたたた!」

 たっぷりの海水が、ふぐりの傷にまんべんなく染みわたる痛みに、野うさぎはさっきよりも激しくのたうちまわりました。
 
 実はさっき通りかかった神様は、意地悪な神様だったのです。
 
 野うさぎが海岸でのたうちまわっていると、今度は別の神様が通りかかりました。
 
「どうした野うさぎよ」

 野うさぎはわにのことと、さっきの神様のことを話しました。
 
 すると神様はやさしく野うさぎに教えてあげました。
 
「湖に行って傷口を真水で優しく洗い流し、近くに生えているがまの穂で傷口を保護しなさい」

 野うさぎは痛みを我慢しながら湖に行き、ふぐりを真水で洗うと、真っ白な蒲の穂でふぐりを覆いました。
 
 するとどうでしょう。
 
 ふぐりの痛みは治まり、徐々に毛も生えてきたのです。
 
 ただし、生えてきたのは自慢の剛毛ではありません。
 
 ふぐりは真っ白な柔らかい毛でおおわれたのです。
 
 それはまさしく絹の手触りです。
 
 野うさぎは神様の後を追いかけると、お礼を言いました。
 
「ところで神様はどこに向かっておるのか?」

 すると神様は恥ずかしそうに答えました。
 
「これからとあるお姫さまに求婚しに行くのだ」

 どうやらさっきの意地悪な神様もそうらしいです。
 
 野うさぎは神様にこう伝えました。
 
「きっとお姫さまは、あなたさまをお選びになられます」

 続けて野うさぎはさらに先に進み、意地悪な神様の前に姿を現しました。
 
「うふん」

 意地悪な神様は、野うさぎの見事な純白のふぐりに心動かされてしまいます。
 
「よいではないか。よいではないか」

 神様はまんまと野うさぎの誘惑に囚われ、草原で野うさぎと大人のお相撲を始めてしまいました。
 
 その間に意地悪な神様を追い抜いた優しい神様は、無事にお姫さまに求婚を済ませましたとさ。
 
 めでたしめでたし。
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