ほもむかしばなし

halsan

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ちんでれら

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 昔々あるところに、赤ちゃんポストがありました。

 ある日そこに赤ちゃんが投函されました。

 そんな赤ちゃんを引き取ったのは、心優しいホモカップルです。

 赤ちゃんはホモカップルに大事に大事に育てられ、心優しい少年に成長しました。
 
 ところがある日、ホモカップルの一人が突然亡くなってしまいました。
 
 パートナーを失ったホモは、心の隙間に燃え盛る情欲の炎を、少年に向けることをいさぎよしとせず、新しく他のパートナーを見つけました。
 
 新しいパートナーには息子が二人いました。
 
 ところが、継父ままちちホモとその息子二人は、とても意地悪だったのです。
 
 元々が財産狙いだった継父ホモは、二人の息子と共謀して、少年を育ててくれたホモを毒殺してしまいました。
 
 残された少年の運命は過酷なものになりました。
 
 少年は継父ホモと、兄となった二人の「召使い」兼「なぐさみもの」となってしまったのです。
 
 少年は、昼間はつらい仕事を押し付けられ、夜は三人に夜通し翻弄されてしまうようになりました。
 
 こうして少年は、継父ホモと兄ホモから「べんりなおもちゃ」という意味の「ちんでれら」と呼ばれるようになっってしまったのです。

 そんなある日のことです。
 
 お城で王子さま主催の「漢祭り」が開催されることになりました。
 
 どうやら王子さまは、漢祭りをパートナー探しの場ともくろんでいるようです。
 
 既に加齢臭が漂い始めていた継父ホモは、自らの出陣を諦め、兄ホモ二人に命じました。
 
「なんとしてでも王子さまのパートナーとなり、王家の財産を手に入れなさい」

 兄ホモ二人は新調した真っ白な六尺ふんどしを締め、きらびやかな法被はっぴに身を包み、ねじり鉢巻きを颯爽さっそうと頭に巻きました。
 
 二人が着替えるのを、ちんでれらもかいがいしく手伝いました。

「それではちんでれらは留守番をしていなさい」

 継父ホモに冷たく指示されたちんでれらは、それでも笑顔で三人を送り出したのです。
 
 三人を見送ったちんでれらは、さめざめと泣きました。
 
 ちんでれらも、王子さまとお会いしたかったのです。
 
 でも、こんなにみずぼらしい格好の上、家族の慰みものに身を落としてしまっているちんでれらが、お城に入れてもらえるはずもありません。
 
 するとそのとき、どこからか声がしました。
 
「泣くのをやめるのだ。ちんでれら」

 ちんでれらは、思わず涙で濡らした顔を上げました。

「だれ?」

 するとそこには、玄人好みの見事なあんこ形の体型をした髭面のおじいさんが、両腕を組み、股間に古強者ふるつわものを誇示しながら、全裸で立っていました。

「ちんでれらが毎日毎日真面目に働いていることに、わしは感心した」

 おじいさんは続けます。
 
「なので、わしが貴様を漢祭りに参加させてやろう」

「本当に?」

「本当である。まずは裏庭から、へちまをもいでこい」

 ちんでれらがおおきなへちまを一本もいでくると、おじいさんはへちまに気合を入れました。
 
「むん」

 するとへちまは、巨大な「人力車」になったではありませんか。
 
「雄々しい人力車だなあ」

 感心しているちんでれらに、おじいさんは次の指示を出しました。
 
「人力車には『俥夫しゃふ』が必須である。次はねずみを捕えてまいれ」

 おじいさんの指示通り、ちんでれらが大きなドブネズミを捕まえてくると、おじいさんはドブネズミに気合を入れました。
 
「むん」

 すると大きなドブネズミは、雄々しい俥夫となったのです。

「これで漢祭りに参加する準備ができたのう」

 満足げなおじいさんの前で、ちんでれらは恥ずかしそうに呟きました。
 
「でも、こんなみずぼらしい姿じゃあ……」

 するとおじいさんは頭を掻きながら反省しました。
 
「おうおう、これは忘れておった」

 おじいさんはちんでれら自身にも気合を入れました。
 
「むん」

 するとちんでれらは、瞬く間に「全裸に革製のTバック一枚」という美しい姿となったのです。
 
 ちんでれらは喜びました。
 
 しかし一方のおじいさんは、やや不満げです。
 
「むう。革製のTバックだけでは優雅ではあれど雄々しさが足りぬの。おう、そうじゃ」

 おじいさんは全裸のはずなのに、どこからか何かを取り出しました。
 
「ちんでれら、これをつけるがよい」

 それは一本の「ガラスのペニスキャップ」です。
 
「すごいや。ボクのちんちんにジャストサイズだ」

 ちんでれらはよろこびました。
 
 おじいさんも、その優雅さと雄々しさを兼ね揃えたちんでれらの姿にご満悦です。
 
「さあ楽しんで来い、ちんでれら。しかし、わしの法力ほうりきは十二時までしか続かないからの。それを忘れるな」

 ちんでれらは人力車に腰かけると、おじいさんに見送られながら王城へと向かって行きました。
 
 ちんでれらがお城の祭会場に現れると、そのあまりの優雅さと雄々しさに、あたりは静まり返ってしまいました。

「何事だ?」

 王子さまはちんでれらに気付きました。
 
「これは何と……」

 王子さまはちんでれらの姿に小さくため息をつくと、ちんでれらの前で勃ちました。
 
「少年よ。我とおしくらまんじゅうを楽しもうではないか」

 和太鼓の響きに合わせ、王子さまとちんでれらを中心に、盛大なおしくらまんじゅうがはじまりました。
 
「おしくらまんじゅう。押されて泣くな」

「おしくらまんじゅう。押されて泣くな」

「わっせ。わっせ」

「そいやそいやそいや」

 瞬く間に祭会場は目に染みるほどの熱気と漢臭さに包まれていきます。
 
 脳汁と漢汁を垂れ流しながら快楽に身を委ねる時間は、あっという間に過ぎていきました。
 
 ちんでれらがはっと気がつくと、大時計の針は間もなく十二時を指そうとしています。
 
「あ、いけない! 王子さま。楽しゅうございました」

 王子さまに頭を下げると、ちんでれらはおしくらまんじゅうの肉壁の中から急いで出て行きました。

「少年よ、待つがよい!」

 王子さまは慌ててちんでれらの後を追いましたが、ちんでれらよりもひとまわり体格が大きい王子さまは、肉壁の中をうまく進むことができません。
 
「むう」

 王子さまは必死で手を伸ばしました。
 
 必死の思いは王子さまに希望を残してくれました。
 
 王子さまの手には、なんと、ガラスのペニスキャップが握られていたのです。
 
 さて、次の日のことです。

 王城からの勅令ちょくれいが国中を巡りました。
 
「王子さまが持つペニスキャップがぴったりと合う者を、王子さまのパートナーとする」

 使いは王子からペニスキャップを託されると、それを持って王城広場へと陣を張ったのです。

 仮面で顔を隠した使いは、こう宣言しました。
 
「我と名乗り出る者はこのペニスキャップを試すがよい」

 それを聞いた継父ホモと兄ホモたちは、さっそうと王城広場へと出向きました。
 
 ちんでれらも荷物持ちとして、お供を命じられました。
 
 さて、王城広場では、ガラスのペニスキャップを装着しようと、たくさんの漢が列を作っていました。
 
 兄ホモたちも列に並びます。
 
 しかし残念ながら、年上の兄ホモは、ペニスキャップの寸法よりも、いちもつの方がちょっと長かったのです。
 
 こちらも残念なことに、年下の兄ホモは、ペニスキャップの寸法よりも、ちょっとかりのサイズが大きかったのです。
 
 不合格となって戻ってきた二人の兄ホモを、継父ホモはののしりました。
 
「なんて使えない息子どもだろう。よし、ちんでれら。こんなこともあろうかと用意した道具を出しなさい」

 ちんでれらは継父ホモの指示通りに道具を並べていきます。
 
 それを見て二人の兄ホモは顔が真っ青になりました。
 
 なぜならばそれらは大工道具と裁縫道具だったからです。
 
 年上の兄ホモは、いちもつの先をちょん切られると、列に並び直させられました。
 
 年下の兄ホモは、かりの周りを一周削り取られると、列に並び直させられました。
 
 しかし、サイズはぴったりでも、肝心のいちもつが血まみれでは、小細工をしたことはバレバレです。
 
 再び二人の兄ホモは不合格となってしまいました。
 
 するとそのときのことです。
 
 仮面で顔を隠した使いが、ペニスキャップをかかえると、おもむろに継父ホモに向かったのです。
 
 継父ホモは思わず胸をときめかせました。
 
「もしかしたら、私にもチャンスがあるのだろうか」

 しかし使いは、継父ホモを乱暴に横によけると、その背後で小さくなっていたちんでれらの前に立ったのです。
 
「貴様も試すのだ。これは勅令である」

 継父ホモは慌ててやめさせようとしましたが、他の使いに身体を拘束されてしまいました。

 ちんでれらが観念してズボンを脱ぎ、ペニスキャップを装着しようとすると、不意に仮面の使いがささやきました。
 
「探したぞ。手間をかけさせおって」

 はたして、ペニスキャップはちんでれらのいちもつにジャストフィットしたのです。
 
 そのままちんでれらは、衆目を集める中、仮面の使いによって王城へと拉致されていきました。
 
 王城に向かう馬車の中で、ちんでれらも気づきました。
 
 ちんでれらは、そっとうれし涙を流しました。
 
 そうです。
 
 仮面の使いとは、王子さま本人だったのです。
 
 ペニスキャップ云々うんぬんは、ちんでれらを探し出すための方便だったのです。
 
 そりゃあそうです。一目ぼれした相手の顔を忘れて、いちもつのサイズで相手を探すなんてばかげた話は、物語の中だけのことなのです。
 
 こうしてちんでれらは王子さまのパートナーとして、王城で末長く幸せに暮らしましたとさ。
 
 めでたしめでたし。
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