ほもむかしばなし

halsan

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うらしまたろこ

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 昔々、うらしまたろこという若い腐女子がおりました。

 ある日たろこが池袋にやってくると、未成年の腐女子たちがホモをいじめていました。

 たろこはホモのことを可哀そうだと思いました。

「未成年の腐女子たち、ホモをいじめたら怖い団体がやってくるわよ。このBL本を譲ってあげるから解放してあげなさい」

 未成年の腐女子たちは、自分たちでは購入することができない18禁のBL本に満足したのか、ホモを置いてその場を去っていきました。
 
 ホモを助けたたろこは、ホモの手を引き、乙女ロードの外まで連れていきました。
 
「もう大丈夫よ。さあ、新宿二丁目にお帰り」

 たろこはホモを大通りに放してあげました。

 それから何日か過ぎたときのことです。
 
 相変わらず池袋で腐っていたたろこを呼ぶ声がします。
 
「たろこさん、たろこさん」

 振り返るとそこには、ホモのカップルがいました。
 
 カップルの一人は見覚えのあるホモです。
 
「たろこさん。先日はこの子を助けてくれてありがとう。お礼にあなたを「竜宮」へお連れしますので、どうかこの手をお取りください」

 腐女子のたろこさんは、ホモカップルに両手をつながれ、そのまま山手線に乗り込んだのです。
 
 するとホモカップルはたろこさんと一緒に新宿東口で下車すると、新宿二丁目の仲通りに連れていきました。

 連れられるがままに雑居ビルのエレベータに乗ると、開いた扉の外には別世界が広がっていました。
 
 きらびやかなゲートでは、たくさんのホモに囲まれて、ひときわ漢臭いホモがたろこを出迎えてくれました。
 
 どうやら店長さんらしいです。
 
「たろこさま。いらっしゃいませ。この子を助けてくれて本当にありがとうございます。さあ、どうぞ中にお入りください」

 たろこはボックス席が並ぶ中を案内され、奥のVIP席へと通されました。
 
 たろこの前には立派なシャンパンタワーが立てられました。
 
 他のボックス席ではたろこが二次元の世界でしか見たことのないような濃厚なホモカップルたちが逢瀬おうせたしなんでいます。
 
 ステージでは屈強な雄臭いホモが和太鼓の連弾を披露してくれたかと思うと、次にはファッショナブルなゲイが彼らの賛歌アンセムであろうフレディ師匠の楽曲を演奏してくれました。
 
 こうしてたろこは時が立つのも忘れ「ゲイスポット竜宮」で楽しいときを過ごしたのです。
 
 いつしかたろこは安らかな睡魔に囚われました。
 
 夢の中でたろこは思い出しました。
 
 ホモアニメの録画設定を忘れていたことを。

 たろこは店長さんのところに行ってお礼を言いました。
 
「もう夜も遅いのでそろそろ家に帰ります。本当にありがとうございました」

 すると店長さんは残念そうな表情でこう言いました。
 
「いつまでもここにいればいいのにと思いますが、仕方がありません。それではこの『玉袋』を持っていってください。でも、この袋は決して開けてはいけませんよ」

 たろこは店長からきれいな「玉袋」を受け取ると、ホモカップルの案内で、早朝の新宿駅へと向かったのです。
 
 自宅周辺についたたろこは、部屋の様子がおかしいことに気付きました。
 
 ここは確かに自分の部屋なのですが、彼女が大切にしていた腐女子グッズが綺麗さっぱりと消え去っていたのです。

 たろこは気が動転しました。

 動転しながらたろこは、部屋のタンスや押入れを改めてチェックしました。

 もしかしたらどこかにしまったのかもしれないと。

 しかし腐女子グッズはどこにも見当たりませんでした。

 一方で、彼女の下着はすべて女性ものではなく、男性もの、特にたろこがこよなく愛するブリーフへと変わっていたのです。

 たろこは動転しました。

 自分の部屋であり、自分の部屋でもないこの場所に。

 たろこは自分を疑いました。

 身に着けている安売りのブラとショーツに。

 動転したたろこは、すがるような思いで「玉袋」を開いてしまったのです。

 すると「玉袋」から煙が立ち上り、たろこを包みました。

 煙が消えると、たろこはなぜかすがすがしい気分に満たされました。

 続けてたろこは、不要になった安物のブラを外し、不自然に盛り上がるショーツを脱ぎ捨てると、タンスの中にしまわれていたブリーフを、当然のように身に着けました。

 そうしてたろこは再び新宿の「竜宮」を訪れたのです。

 今度はお客さんではなく、店員として働くため。

 立派ないちもつを携えて。

 めでたしめでたし。
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