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1章

17 どうしようもないよな。ちらリズム(故意?)

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 オレは「そろそろいいか。」ベリサマにでもなく小さくつぶやいた。なおも動きを止めることはない。

 ゴブリンは殺す。

 ゴブリンを殺す。

 無際限のごとくゴブリンは生まれた。だから殺す。それだけだ。

 オレは剣士ではない。

 オレは魔法使いでもない。

 オレは戦う。

 オレは斬り続ける。そして詠唱を開始した。斬りながら少しずつ織るように。

「【風】【刃】」

 風の刃が生まれた。

「【大きく】【大きく】【圧縮】」

 それは、大きく、大きくなって、高密度に圧縮された。

「【強く】【強く】【固定】」

 強く、強くなってその形になった。

 準備は完了。オレは今まで攻めていた分、一気に後退した。

 あとはつぶやくだけだった。「【始動】」と。カギとなるこの言葉でそれは解き放たれた。

 オレはその時、初めてそのゴブリンが恐怖する顔を見た。あの愉悦に満ちた顔が絶望に変わった。

「魔法名“強風刃改”」

 オレの魔法はいかなるゴブリンも上半身と下半身に両断した。真直ぐゴブリンたちは死に絶えた。

    これで追加のゴブリンが呼び出されることはない。奥の壁が崩れてゴブリンが入ってくる。ここからは残敵掃討だ。

 その場に立ち止まり同じ詠唱を繰り返し、ギリギリまで敵を引き付けて魔法を発動する。

 何回か繰り返すとやっと静かになった。中央に宝箱が発生し、奥に小さな扉が出現した。

【No125,431,112階層主の討伐達成 5ポイント獲得】
【No125,431,112【数量増加3】の効果により追加 15ポイント獲得】
【No125,431,112偉業の達成 185ポイント獲得】
【No125,431,112【数量増加3】の効果により追加 555ポイント獲得】

 ベリサマは火の魔法も使えとお怒りのようだ。腕を組んでプンプンとしている。かわいい。

ぷいっ!

 か、かわいい。

 ご機嫌を取りつつドロップを集める。土の壁は消した。こんな状況でもベリサマは手伝ってくれる。態度はアレでも行動はいい子だ。

「さて、後は宝箱だけだ。」

コクン コクン

 ベリサマは相変わらずかわいい。頷いて肯定した。

 スキル【探検】【冒険】【斥候】あたりの感覚では罠はないようなので躊躇わず開ける。

【No125,431,112【宝箱の発見】 2,000ポイント獲得】
【No125,431,112【数量増加3】の効果により追加 6,000ポイント獲得】

「お、ポイントだ。いや、それだけじゃないか。」

 宝箱の中には武器や装備、魔道具、食料、素材、魔石などなど沢山入っている。全て【収納空間】にインした。

 ボスを倒すと美味しいらしい。栄養のある果実なんて一生分くらいあるんじゃないだろうか。

 ドロップ品の中にC級の魔石があった。これがあれベリサマのランクアップが出来る。ベリサマも先程までの態度はどこにいったのかねだってくる。断る理由もないので早速使った。

 ベリサマとC級の魔石を重ねると確かにランクアップしたベルサマが姿を現す。大きさは変わらないが、髪が長くなり、赤いシンプルなワンピースを着ている。

 いや、短すぎる。

 男物のシャツを着ている女子みたいな感じだ。最早、足の付け根すれすれ。余計に卑猥になっていませんか?

 あそこが見えたり、見えなかったり。はっ!?これがちらリズムか。

「ますたぁー?」

「は、話せるようになったのか?」

「ん。」

 ベリサマはかわいらしく肯定した。気のせいか羽が少し立派なものになっている。【鑑定】を使ってみると下級宝石魔導妖精(赤)と言う扱いになっていた。

 多分C級の魔石はあの杖を持ったゴブリンよりも格上だと思う。感覚的に感じる秘められた力が違った。

 オレはそれからこの階層とボス部屋を周回した。
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