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1章

12 どうしようもないもの

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「もっと効率のいい狩り方があるはずだ。」

 あの数。あの勢い。あの理不尽。それらの理不尽に対処する術をオレは未だ持っていない。

 もしかしたら部屋の外から魔法を一方的に打ち込めるかもしれない。

    試しに部屋の外で詠唱してから部屋の中に入ったら魔法が消えた。そういう仕様なのだろう。

 というわけで実戦だ。

 今度の部屋はゴブリンの数が10体と少なかった。

 試しにこの戦闘でのショートソードを振るう回数を抑えてみる。振るわれる棍棒を体裁きだけで回避し、空いた首に叩きつける。しかしその先の動作に遅れが生じた。

「叩きつけるのは無駄か。」

 叩くという行為が無駄なのだろう。力みがうまれ、次の行動が遅くなる。刀か。刀のようによく切れればいいと思った。

    そういえばそんな魔法を作ればいいのか。

 ゴブリンの攻撃を盾でさばき、そのまま首をへし折った。いつの間にか出来るようになっていた。

    迫ってくるゴブリンに対し、体の回転を利用して左回転でショートソードを首に導く。骨半ばまで届いたが斬り飛ばせはしない。

 刀と西洋の剣は違う。斬るものと殴るものの違いだ。まだ刀はドロップしていない。オレは「刀とかドロップしないかなぁ。」とつぶやきつつ敵の顔面を盾で殴ると、場所が良かったのかゴブリンは倒れて動かなくなった。

    迫るゴブリンの棍棒をショートソード一本でいなしつつ考える。

 棍棒を取り上げ、首を切り裂いた。単純に切れ味だけを追求するなら【斬る】のスキルを上げればいい。

    しかし、刃を当てられなければ意味がない。

「はっ!動かない。」

 オレはどっしり構える。向かってくるゴブリンに対し、冷静に刃を垂直に構えて振るった。ベクトルの合成とでも言おうか。

    力がぶつかり合い、オレが勝ち、ゴブリンは負けた。オレは下半身と体の軸をどっしりとしていただけなのに。

 これを契機に刃を立てる練習をする。勿論実戦で。

 失敗すれば死にはしないものの手ひどいリンチに遭う。実際あったし、死にかけた。死ぬのは嫌だ。少なくともあれは二度と経験したくない。

    しかし、【残機】という保険があるので多少の無茶は出来るし、自分自身を俯瞰できた。最も【残機】があっても本当に死ぬのは当分ご免被る。

 そうはいいつつも、その日の内に十か所くらいは回った。

 十か所目で栄養のある木の実を食べつつ水分を補給。塩も舐めた。幾つ目かのモンスターハウスのドロップで岩塩が出たのには面食らったものである。

    なお、刀の部類の形状の物は出てきたが、刀の装飾なのに刀ではなかったためお蔵入りしている。

 具体的に言うと折り返し鍛錬できていない鉄の塊。

 後は時間がもったいないから寝た。
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