フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

19 新たな守護者 7

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 怪獣、量産機の部隊、暗殺者の機体。
 ガイの乗るリバイブキマイラは三方向を囲まれていた。
 モニターに影針えいしんの乗る機体のステータスが映る。


Sディスガイズモス
ファイティングアビリティ:130
ウェポンズアビリティ:130
スピードアビリティ:160
パワーアビリティ:120
アーマードアビリティ:120


 だが背後……村から通信が入った。
「待てやぁ! オレにもやられた借りを返させろ! いてこましたるー!」
 タリン叫び、骸骨武者型機のSバスタードスカルが剣を振り上げて乱入!
 そのままディスガイズモスに斬りかかった。
「デッドリーアサルトタイガー!!」

『お前ごときが!』
 影針えいしんが吐き捨て、二本の棒手裏剣が飛ぶ。それは接続されたワイヤーで操られ、複雑な軌道でバスタードスカルを襲った。

 被弾! 容赦なく手裏剣が刺さる!
「ぐぎゃー!」
 タリンの悲鳴とともにスカルが倒れた。

 のしのしと大股で、村から2機の増援がやってくる。鍛冶屋のイアンと農夫のタゴサックだ。
「なんでお前は強そうな相手に挑んでやられたがるんだ……」
 イアンがぼやき、リザードマン型の乗機が手裏剣を引っこ抜いた。

「ガイ殿! ここは我々が!」
 タゴサックが叫び、ダンゴムシ頭の重装甲砲撃機で雑兵部隊に砲弾を撃ち込む。
 雑兵部隊からも弾丸や矢が飛来し、激しい撃ち合いが始まった。

 体勢を立て直した怪獣がガイ機に迫る。
 太い腕が振り回されるが、運動性にも優れるキマイラはそれを跳んで避けた。

 宙にいるうちにガイは操縦席の蔓からまた実をもぎ取り、珠紋石じゅもんせきを生成する。
 それを次々と聖剣に嵌めた。
 呪文が読み込まれる。
『サンダークラウド。サンダー・ボルト』

 雷属性の魔法ばかりを重ねて装填。
 ガイ機が剣を振り上げると……一条の稲妻が天に昇った。
 途端に黒雲が夜空を覆う。
 モニターのステータス表示が変化した。


ウェポンズアビリティ:130+40


合成発動アマルガム……サンダーレイン!!」
「落ちちゃえー!」
 叫ぶガイとイム。
 掛け合わされた電撃の魔力により、黒雲から無数の落雷が地に降り注いだ!
 ガイ機に迫っていた怪獣を、イアン・タゴサックと乱戦していた敵部隊を、タリン機をサンドバッグにしていた影針えいしん機を、大量の電撃が蹂躙する!

 それでいて雷はガイの味方機には傷一つつけていなかった。
 敵味方の識別を行っているのだ……!

 無数の爆発! 雑兵の部隊は一機も残らない。
 怪獣ジュエラドンも全身を焼かれて倒れた。
 各所から煙をあげながら、影針えいしん機が翅を広げて力なく宙へ退避する。
 暗殺者は忌々しげに呻いた。
『こ、これほどの威力と精度の範囲攻撃を……!』

 宙のディスガイズモスへタゴサック機が砲撃を撃ち込む。
 それをかろうじて避けつつ、モスは翅から鱗粉を撒き散らした。それが触れた地面が、タゴサック機が焼かれて煙をあげる!
 強烈な腐食能力がある鱗粉だった。

 だがしかし。
 反撃している間に、ガイのキマイラが空を飛んでモスに肉薄していた。
 モスは慌ててキマイラにも鱗粉を浴びせるが、高速で回避軌道をとり装甲も厚いキマイラには僅かなダメージにしかならない。
 そしてそれも聖剣の力で徐々に回復していくのだ。

 キマイラが再び重力弾を叩き込み、モスは地面へ叩き落とされた。

 回復能力まかせで立ち上がったバスタードスカルからタリンが叫ぶ。
「今だ食らえ新必殺技! ツインアサルトタイガー!」
 スカルが剣を地面に突き刺すと、カエル怪獣の骸骨スケルトンが這い出してきた。

 カエル骸骨スケルトンは跳躍すると、立ち上がったばかりのモスを後ろから羽交い絞めにする。
 スカルが剣を大上段に構えてポーズをとり、もがくモスへ跳びかかってちょっと格好つけながら剣を振り下ろした。
 一刀両断! カエル骸骨スケルトンごと!

『こ、こんな馬鹿な奴の馬鹿な技に……』
 影針えいしんが無念の呻きを漏らす。
 ディスガイズモスは爆発! カエル骸骨スケルトンごと!

 それを横目に、ガイは機体を飛ばせたまま聖剣に珠紋石じゅもんせきを嵌める。
『ファイアウェポン。エクスプロード』

 その読み込みとともに、ガイ機の剣を炎が覆った。


ファイティングアビリティ:130+40


 ガイは機体を急降下させる。
「炎刃爆裂・一文字斬りぃ!!」
 炎の剣が重傷のジュエラドンに食い込んだ。
 その体内で炎が膨れ上がり……大爆発!
 怪獣の肉体は粉々に吹き飛んだ。


――近くの運搬機――


 ほとんどをレレンに倒された雑兵どもが、巨大戦力の全滅を見て我先にと逃げ出す。
 その背にララが凍気を撃ち込み、レレンはどうしたものか戸惑っていた。
 それらの光景がモニターに映ってはいたが――操縦席のミオンは一瞥もせず、ただガイ機を見上げていた。

(魔法の威力を剣に上乗せするだけじゃなく、合成して放つ事もできるようになっている。操縦席で珠紋石じゅもんせきを好きに造り出す力といい、確かに強い。前より確実に。けど……なぜだろう、ガイが離れてしまった気がする……)
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