喫茶・憩い場

深郷由希菜

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2杯目 2口目

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「なら、なんでこうなったか教えろ。後は従業員用のシャワーでも浴びてこい。そのままの格好はあまりにもみすぼらしいからな」

くい、と右の親指だけを立てた手を後ろへと動かす。

「服は適当に用意してやる、だからとっとと行け」

言い方が酷いと訴えようとしてむくれた表情にな口を尖らせている女性だったが、それを服装のことだと勘違いする男性。

これは直らないと感じたのか、そのままの顔で何も言わずに奥へと向かうのだった。

「・・・だめですよ。言いますが、もうちょっと女性に対して優しく接しないと。私は人前で喋るわけにはいきませんし、あなたがこの店のマスターと言う自覚をですね・・・」

ほどなくしてシャワー室にたどり着いた彼女が身を綺麗にしていると、細身の大型犬が近づいて来て話す。

「毎度毎度きねぇな、これが俺のスタイルだって言ってんだろ?それに、服を用意してやるって言ったんだから置いとかねぇと怪しまれんだろうが。俺は行くぞ」

いつの間にか女性ものの服のセットをまるでトレイ(ウェイターなどが持つ銀のお盆のようなもの)を持っているかのように持ち、ため息をつきながらも歩き出した後ろ姿に、違う音のため息が一つ投げかけられた。










男性が戻ってくるとふて寝しているような姿の相方に目を留めるが、次の瞬間にはそこまで広くない席のカウンターではなく、2つしかない2人用のテーブル席の椅子に腰掛けて出てくるのを待つ。

(ちなみにカウンターの席は4つしかなく、1杯目の女性が座ったのは右から2番目の席、今回の女性は左から2番目の席だった。)

「かわいい服じゃない。あ、ありがと」

「へいよ、まぁ座れ。少しは見れるようになったし、説明してもらおうか」

自分の目の前の席をテーブルを叩くことで示した人物に対し、何も言わずに自分で席を引いて座る。

「私、住んでいたアパートの部屋を追い出されて。あ、元々私のものだったんだけど、付き合いだした彼氏が他に女作って。それで2人で共謀してあれ1枚の状態にして突き飛ばして。何もない状態で歩いて歩いて、倒れたの」

「・・・思ったよりもヒデェ話だ。警察とかには連絡しなかったのか」

「できなかったの。携帯も取られちゃってて」

「公衆電話は?」

「そんなものは無いわよ。効いたことあるくらいで、あるなんて場所は都市伝説レベルよ」

「で、追い出されて行く当てもないと?親戚とかもいねぇのか」

「連絡は全部携帯のアプリとかだったから、番号なんて必要なかったし、あったとしても覚えてないわ」

また男性のため息が漏れる。
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