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4.お姉様と水の都セシル
79.お姉様と水着
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「海賊船に潜入とは言ったもののどうやって潜入しよう」
俺たちがブラブラとイカ焼きを食べながら近くの海岸沿いを歩いていると、ヌッとモアの影から鏡の悪魔が出てくる。
「どうも妙じゃな」
「妙って何がだよ」
俺は声を潜め、辺りを見回した。モアの影から悪魔が出てくるところを誰かに見られたら大変だ。
「いや、思い過ごしやもしれん」
「何だよ、ハッキリ言えよ」
「いや、犯人が分かっているのならば、海軍でも送り込んですぐにでも取り戻せばいい物を、何故我々に頼むなどという回りくどいことをするのかと思ってな」
「それはそうだね。でも、受けちゃったからにはやるしかないし……わー、この貝殻大きい! このヒトデも!」
どうやらこの地域の生き物は巨大な物が多いらしい。人間の両腕の長さと同じくらいの巨大ヒトデを指差し笑うモア。
美しいブルーの瞳。潮風になびくふわふわの銀髪。モアは本当に海が似合うなあ。絵になるってもんだぜ。俺は思わずうっとりしてしまう。
「あ、ねぇねぇそれよりお姉様、あそこに水着屋さんがあるよ! 一緒に水着を買って泳ごうよ~!」
モアの指さす先には白い壁にハイビスカスの花が描かれた可愛い小さな水着ショップがあった。
「水着!?」
水着。モ、モアの水着姿!?
頭の中に紺色のスク水姿のモアが思い浮かぶ。勿論胸には「もあ」の名札つき。ああ、なんて可愛い!
いかんいかん。
ブンブンと頭を振って妄想を吹き飛ばす。
「お、お姉様どうしたの?」
「何やらヨダレが垂れておるが」
「い、いや、何でもないぜ!」
俺は口の端のヨダレを拭った。
いやでも、ここは海だし、誰にモアの可愛い水着を見られるか分かったもんじゃない。
もし変なロリコンにモアの水着姿を見られでもしたら……駄目だ駄目だ!
モアの可愛い水着姿をその辺の男どもに晒すだなんて絶対に駄目だ!
「駄目だぞモア。モアの可愛い水着姿を他の男に見られたりしたら……」
「えーっ、でも、モア海で泳ぎたい」
口をへの字にするモア。
「遊びに来てるんじゃないんだぞ!」
「じゃがお姉様」
鏡の悪魔が口を挟む。
「砂浜に来ているのに水着を着ていないというのは不自然じゃ。海賊どもに狙いがバレてしまうぞ」
「そ、そっか」
俺たちがこの浜辺に来た目的は海水浴では無い。この浜辺で海賊の目撃情報が多いから、例の女海賊に近づくために来ているのだ。
「タダでさえガバガバの作戦じゃのに、そんな事でどうする」
「悪かったな、ガバガバの作戦で」
いざとなったら大抵のことは腕力で何とかなるんだよ!
「さ、水着ショップへレッツゴー!」
俺の腕を引っ張って走るモア。笑顔が太陽のように輝く。
ああ、可愛い! ただでさえ可愛いモアが水着だなんて、たまらん!
という訳で、俺たちは水着ショップへと走ったのだった。
*
「見て見て、お姉様、この水着可愛い~!」
モアが水着ショップではしゃぐ。
手にしているのは、ピンク色のフリルのついたビキニだ。
「駄目だ駄目だ、そんなの派手すぎるし腹が冷える! こっちにしろ!」
俺は紺色のスク水っぽい水着をチョイスし、モアに渡す。
モアはぷぅ、と頬を膨らませる。
「ええ~、なんか地味だよ!」
「いいんだよ、モアは子供なんだから地味で」
「モア、子供じゃないもん!」
「じゃあ、せめてこっち」
俺は紺色に青のラインが入った競泳水着っぽいのをチョイスする。
「お姉様ったら、何でさっきから紺色ばっかりなの? モア、濃い色あんまり似合わない!」
「そ、それは……いや、アハハハハ」
や、ヤバい。俺のフェチがバレた!?
「それよりお姉様はどうするの?」
「俺は適当でいいよ」
「ダメーっ! モアが選ぶ!」
モアがルンルンと俺の水着を選んでくれる。
モアが選んだのは白地に黄緑のリボンがついた水着だった。
「うーん、白か。透けないかな?」
「大丈夫だよぉ、ちゃんと裏地ついてるから」
「なんか紐パンみたいになってるけど解けない?」
「飾り紐だから大丈夫だよ。解けない構造になってるの!」
試着してみたが、確かに似合う。うーん、俺ってば何でも似合っちゃう。
試着室に入り暫くクルクルと自分の体を眺める俺。その時、俺は重大な事実に気がついた。
「あれ? 俺、ちょっと太った?」
思えば近頃馬車で移動ばっかりだし、ご飯も健康に気を使った宮廷の料理じゃなくて、唐揚げとか肉とか安くて量の多い飯ばっかりだったからな。
腹と尻の肉を少しつまんで確認していると、モアが声をかける。
「お姉様ー、試着済んだ?」
「あ、ああ」
カーテンが開けられる。水着姿を見たモアの顔が輝いた。
「やーん、お姉様可愛いー!!」
俺の腰に手を回して抱きついてくるモア。
「モア!」
俺はそんなモアを引き剥がした。
「お......お姉様? モア、何かお姉様の気に障ることでも......」
不安そうな顔をするモア。
「モア、俺......ちょっと太った?」
キョトンとした顔をするモア。
「うーん、そう言われればそうかもしれないけど......でも言われないと分からないし、元々がナイスバディーすぎたから、ちょっとぐらい肉がついた方がセクシーだとモアは思うなあ」
モアは首をこてん、と傾ける。
要するに......太ったってことだろ! うわーん!!
「はは......ダイエットしないとな」
「お姉様? お姉様ーっ!? なんか目が虚ろだよ?」
結局俺は、白の水着を買い、モアはピンク色のワンピースっぽい水着を買った。
俺たちがブラブラとイカ焼きを食べながら近くの海岸沿いを歩いていると、ヌッとモアの影から鏡の悪魔が出てくる。
「どうも妙じゃな」
「妙って何がだよ」
俺は声を潜め、辺りを見回した。モアの影から悪魔が出てくるところを誰かに見られたら大変だ。
「いや、思い過ごしやもしれん」
「何だよ、ハッキリ言えよ」
「いや、犯人が分かっているのならば、海軍でも送り込んですぐにでも取り戻せばいい物を、何故我々に頼むなどという回りくどいことをするのかと思ってな」
「それはそうだね。でも、受けちゃったからにはやるしかないし……わー、この貝殻大きい! このヒトデも!」
どうやらこの地域の生き物は巨大な物が多いらしい。人間の両腕の長さと同じくらいの巨大ヒトデを指差し笑うモア。
美しいブルーの瞳。潮風になびくふわふわの銀髪。モアは本当に海が似合うなあ。絵になるってもんだぜ。俺は思わずうっとりしてしまう。
「あ、ねぇねぇそれよりお姉様、あそこに水着屋さんがあるよ! 一緒に水着を買って泳ごうよ~!」
モアの指さす先には白い壁にハイビスカスの花が描かれた可愛い小さな水着ショップがあった。
「水着!?」
水着。モ、モアの水着姿!?
頭の中に紺色のスク水姿のモアが思い浮かぶ。勿論胸には「もあ」の名札つき。ああ、なんて可愛い!
いかんいかん。
ブンブンと頭を振って妄想を吹き飛ばす。
「お、お姉様どうしたの?」
「何やらヨダレが垂れておるが」
「い、いや、何でもないぜ!」
俺は口の端のヨダレを拭った。
いやでも、ここは海だし、誰にモアの可愛い水着を見られるか分かったもんじゃない。
もし変なロリコンにモアの水着姿を見られでもしたら……駄目だ駄目だ!
モアの可愛い水着姿をその辺の男どもに晒すだなんて絶対に駄目だ!
「駄目だぞモア。モアの可愛い水着姿を他の男に見られたりしたら……」
「えーっ、でも、モア海で泳ぎたい」
口をへの字にするモア。
「遊びに来てるんじゃないんだぞ!」
「じゃがお姉様」
鏡の悪魔が口を挟む。
「砂浜に来ているのに水着を着ていないというのは不自然じゃ。海賊どもに狙いがバレてしまうぞ」
「そ、そっか」
俺たちがこの浜辺に来た目的は海水浴では無い。この浜辺で海賊の目撃情報が多いから、例の女海賊に近づくために来ているのだ。
「タダでさえガバガバの作戦じゃのに、そんな事でどうする」
「悪かったな、ガバガバの作戦で」
いざとなったら大抵のことは腕力で何とかなるんだよ!
「さ、水着ショップへレッツゴー!」
俺の腕を引っ張って走るモア。笑顔が太陽のように輝く。
ああ、可愛い! ただでさえ可愛いモアが水着だなんて、たまらん!
という訳で、俺たちは水着ショップへと走ったのだった。
*
「見て見て、お姉様、この水着可愛い~!」
モアが水着ショップではしゃぐ。
手にしているのは、ピンク色のフリルのついたビキニだ。
「駄目だ駄目だ、そんなの派手すぎるし腹が冷える! こっちにしろ!」
俺は紺色のスク水っぽい水着をチョイスし、モアに渡す。
モアはぷぅ、と頬を膨らませる。
「ええ~、なんか地味だよ!」
「いいんだよ、モアは子供なんだから地味で」
「モア、子供じゃないもん!」
「じゃあ、せめてこっち」
俺は紺色に青のラインが入った競泳水着っぽいのをチョイスする。
「お姉様ったら、何でさっきから紺色ばっかりなの? モア、濃い色あんまり似合わない!」
「そ、それは……いや、アハハハハ」
や、ヤバい。俺のフェチがバレた!?
「それよりお姉様はどうするの?」
「俺は適当でいいよ」
「ダメーっ! モアが選ぶ!」
モアがルンルンと俺の水着を選んでくれる。
モアが選んだのは白地に黄緑のリボンがついた水着だった。
「うーん、白か。透けないかな?」
「大丈夫だよぉ、ちゃんと裏地ついてるから」
「なんか紐パンみたいになってるけど解けない?」
「飾り紐だから大丈夫だよ。解けない構造になってるの!」
試着してみたが、確かに似合う。うーん、俺ってば何でも似合っちゃう。
試着室に入り暫くクルクルと自分の体を眺める俺。その時、俺は重大な事実に気がついた。
「あれ? 俺、ちょっと太った?」
思えば近頃馬車で移動ばっかりだし、ご飯も健康に気を使った宮廷の料理じゃなくて、唐揚げとか肉とか安くて量の多い飯ばっかりだったからな。
腹と尻の肉を少しつまんで確認していると、モアが声をかける。
「お姉様ー、試着済んだ?」
「あ、ああ」
カーテンが開けられる。水着姿を見たモアの顔が輝いた。
「やーん、お姉様可愛いー!!」
俺の腰に手を回して抱きついてくるモア。
「モア!」
俺はそんなモアを引き剥がした。
「お......お姉様? モア、何かお姉様の気に障ることでも......」
不安そうな顔をするモア。
「モア、俺......ちょっと太った?」
キョトンとした顔をするモア。
「うーん、そう言われればそうかもしれないけど......でも言われないと分からないし、元々がナイスバディーすぎたから、ちょっとぐらい肉がついた方がセクシーだとモアは思うなあ」
モアは首をこてん、と傾ける。
要するに......太ったってことだろ! うわーん!!
「はは......ダイエットしないとな」
「お姉様? お姉様ーっ!? なんか目が虚ろだよ?」
結局俺は、白の水着を買い、モアはピンク色のワンピースっぽい水着を買った。
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