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3.お姉様と木都フェリル
51.お姉様と魔法陣
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「やっぱりお姉さまは凄いわ♡ 今朝から全然モンスターが出てこないのよ。草の伸びも普通になって助かるわ」
翌朝起きるとマロンがこんなふうに切り出した。俺とモアは顔を見合わせる。
「どういうことだ? あの人面樹が異変の正体だったってことか?」
ゼットが困惑した表情を見せる。
「いや、恐らくあの魔法陣だ」
俺が言うと、モアも頷く。
「そうだね。ねえ、これから協会の図書館に行ってあの魔法陣が何の魔法陣か調べてみようか」
「ああ、そうだな。ついでに次のクエストも探してみよう」
「そんなに急いで次のクエストを探さなくても、明日には薔薇祭りが始まるわ。薔薇祭りが終われば物価も落ち着くでしょうし、ここでゆっくりしていればいいのよ」
「ありがとう、でも早くCランクに上がりたいし」
それに、アオイとヒイロも探さなくちゃいけないしな。
そして俺たちは図書館へと向かった。
「お姉さま、あったよ。これじゃない?」
モアが該当ページを指差す。
「魔力吸い上げの魔法陣か」
魔導書に書かれた内容を要約すると、どうやらあの魔法陣は地中を流れる魔力を吸い上げどこかに送るためのものらしい。
山や川、温泉のある地域の地下深くには、龍脈と呼ばれる地下水のように魔力が流れるエリアがあるという。
あの魔法陣はそんな地下深くの龍脈を流れる魔力を汲み上げるため、地表付近の魔力値が上がり、植物やモンスターの異常発生に繋がっていたのだ。
「あの人面樹、やけに強いと思ったら地中から魔力を吸い上げて回復していたんだな」
「でもこの魔法陣は単独で用いるものじゃないみたい」
魔導書によると一箇所から魔力を汲み上げるとその地域の魔力バランスが崩れるため、通常は六箇所から八箇所の龍脈から魔力を汲み上げるものなのだという。
「じゃあ、他にも魔法陣があるって事だな」
俺たちは図書館で更に周辺地域の龍脈を調べると、龍脈を辿ってあちこちの山林を歩き回った。
「あったぞ! ここにも魔法陣が!」
協会から西へ少し入った山中に魔法陣はあった。河原の石の上に光る魔法陣を靴の裏で擦って消す。
「案外近くにあったね」
「この分だと他の魔法陣も近くにあるかも知れん」
俺たちが更に探索を続けると、他にも3ヶ所、計五箇所の魔法陣を見つけた。
「五箇所か。通常は六箇所と書いてあったんだが」
するとモアが地図を見て何かを考え始めた。
「ねえ、もしかして、この魔法陣を線で繋ぐと六芒星になるんじゃないかな」
「何ッ!?」
モアの推理通り、魔法陣のあった場所を線で繋いでみると、星の形になった。そして、その六個目の角に当たる場所は……!
「教会か!」
そう、街の教会に魔法陣がある可能性が非常に高い。
「でも、教会の下には龍脈はないはず」
図書館で書き写したこの地域の龍脈図と街の地図を見比べると、横でモアが真っ青な顔をして言った。
「ねえ、お姉さま、もし龍脈以外から魔力を吸い上げているのだとしたら?」
「まさか!」
悪い予感が頭を支配する。俺たちはその足で教会へと向かった。
龍脈から吸い上げる以外に大量の魔力を得る方法、それは生贄である。
特に力が弱く体に魔力を溜め込みやすい子供は生贄にはうってつけだ。
もし、この街からいなくなった子供たちが、大量の魔力を得るために生贄にされているのだとしたら――?
翌朝起きるとマロンがこんなふうに切り出した。俺とモアは顔を見合わせる。
「どういうことだ? あの人面樹が異変の正体だったってことか?」
ゼットが困惑した表情を見せる。
「いや、恐らくあの魔法陣だ」
俺が言うと、モアも頷く。
「そうだね。ねえ、これから協会の図書館に行ってあの魔法陣が何の魔法陣か調べてみようか」
「ああ、そうだな。ついでに次のクエストも探してみよう」
「そんなに急いで次のクエストを探さなくても、明日には薔薇祭りが始まるわ。薔薇祭りが終われば物価も落ち着くでしょうし、ここでゆっくりしていればいいのよ」
「ありがとう、でも早くCランクに上がりたいし」
それに、アオイとヒイロも探さなくちゃいけないしな。
そして俺たちは図書館へと向かった。
「お姉さま、あったよ。これじゃない?」
モアが該当ページを指差す。
「魔力吸い上げの魔法陣か」
魔導書に書かれた内容を要約すると、どうやらあの魔法陣は地中を流れる魔力を吸い上げどこかに送るためのものらしい。
山や川、温泉のある地域の地下深くには、龍脈と呼ばれる地下水のように魔力が流れるエリアがあるという。
あの魔法陣はそんな地下深くの龍脈を流れる魔力を汲み上げるため、地表付近の魔力値が上がり、植物やモンスターの異常発生に繋がっていたのだ。
「あの人面樹、やけに強いと思ったら地中から魔力を吸い上げて回復していたんだな」
「でもこの魔法陣は単独で用いるものじゃないみたい」
魔導書によると一箇所から魔力を汲み上げるとその地域の魔力バランスが崩れるため、通常は六箇所から八箇所の龍脈から魔力を汲み上げるものなのだという。
「じゃあ、他にも魔法陣があるって事だな」
俺たちは図書館で更に周辺地域の龍脈を調べると、龍脈を辿ってあちこちの山林を歩き回った。
「あったぞ! ここにも魔法陣が!」
協会から西へ少し入った山中に魔法陣はあった。河原の石の上に光る魔法陣を靴の裏で擦って消す。
「案外近くにあったね」
「この分だと他の魔法陣も近くにあるかも知れん」
俺たちが更に探索を続けると、他にも3ヶ所、計五箇所の魔法陣を見つけた。
「五箇所か。通常は六箇所と書いてあったんだが」
するとモアが地図を見て何かを考え始めた。
「ねえ、もしかして、この魔法陣を線で繋ぐと六芒星になるんじゃないかな」
「何ッ!?」
モアの推理通り、魔法陣のあった場所を線で繋いでみると、星の形になった。そして、その六個目の角に当たる場所は……!
「教会か!」
そう、街の教会に魔法陣がある可能性が非常に高い。
「でも、教会の下には龍脈はないはず」
図書館で書き写したこの地域の龍脈図と街の地図を見比べると、横でモアが真っ青な顔をして言った。
「ねえ、お姉さま、もし龍脈以外から魔力を吸い上げているのだとしたら?」
「まさか!」
悪い予感が頭を支配する。俺たちはその足で教会へと向かった。
龍脈から吸い上げる以外に大量の魔力を得る方法、それは生贄である。
特に力が弱く体に魔力を溜め込みやすい子供は生贄にはうってつけだ。
もし、この街からいなくなった子供たちが、大量の魔力を得るために生贄にされているのだとしたら――?
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