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28話 メンタル最強専属メイド②
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「大体結婚を延期したところで何になるんです。いずれは結婚しなくてはならないのですから、いつ結婚しようが変わりないでしょう」
「それが変わりあるのよねえ。……で、説得するならどちらがいいと思うの?」
私が折れないものだから、レグランのモスグリーンの瞳が不信に揺れる。
一体何を考えているんだこいつと顔に出ている。レグランのことだから、わざと出しているのもあるだろうけど。
「本気で説得されるおつもりなんですね。無駄だと思いますけど。……個人的な意見ですが、王妃様の方がよろしいかと。王妃様は気持ちに寄り添って下さる優しいお方ですから」
「わかったわ。……それで、今日の予定は?」
レグランはまさか今日説得しに行くつもりかと、一瞬の沈黙を作る。
「……。本日はダンスの講習を予定しています。王妃様とお会いする時間はないかと」
「別に今日明日すぐに説得しようなんて考えていないわ。頃合いを見て王妃殿下にお話する機会を設けて頂くつもり。それからダンスは心得ているから結構よ」
この世界は魔物や聖女が存在する、ファンタジックで風変わりな世界観ではある。
しかし貴族社会やそのあたりは前世の時とあまり変わりがないようだから、ダンスも同じようなものだろうと思う。
レグランは私がダンスを踊れるというのは信用し難いようで、明らかに疑ってかかる。
「……ダンス、出来るんですか?」
「前にライナスと私が言い争った時に言ったでしょ。私は貴族だった前世の記憶を持って、この世界へ生まれ変わったのだと」
「あれ、本気で仰ってたんですか」
「本気だし正気よ」
「…………」
レグランはしばらく無言で私の顔をじっと見つめ、どうするか判断しているようだった。
困っているわねレグラン。
でもダンスの練習は前世で死ぬほどやらされたから本当にもういいの。講習なんてやる意味ないのよ。
レグランに講習を受けろと説得されるかと身構えていたけれど、それは杞憂に終わった。
「わかりました。では講習はキャンセルとお伝えしておきます。それと別件で、アイヴィ様の侍女のことなんですが」
「ああ、侍女なんていらないわよ。群れるの嫌いなのよ」
私の侍女になったところでその人の何の役にも立たないわ。むしろマイナスの経歴になりかねない。
出来るだけ被害者は減らしておきたいのよ。立つ鳥跡を濁さずってやつね。
「残念ですが王太子妃になれば嫌でも侍女は付きます。今候補を絞っているそうですのですぐには付きませんが、代わりに専属メイドをご用意致しました」
「別に専属じゃなくても、今みたいに適当なメイドが何人かいれば充分よ……」
そんな私のぼやきは華麗に無視され、レグランは扉を開けて廊下に立っていた人物に入室を促す。
「それが変わりあるのよねえ。……で、説得するならどちらがいいと思うの?」
私が折れないものだから、レグランのモスグリーンの瞳が不信に揺れる。
一体何を考えているんだこいつと顔に出ている。レグランのことだから、わざと出しているのもあるだろうけど。
「本気で説得されるおつもりなんですね。無駄だと思いますけど。……個人的な意見ですが、王妃様の方がよろしいかと。王妃様は気持ちに寄り添って下さる優しいお方ですから」
「わかったわ。……それで、今日の予定は?」
レグランはまさか今日説得しに行くつもりかと、一瞬の沈黙を作る。
「……。本日はダンスの講習を予定しています。王妃様とお会いする時間はないかと」
「別に今日明日すぐに説得しようなんて考えていないわ。頃合いを見て王妃殿下にお話する機会を設けて頂くつもり。それからダンスは心得ているから結構よ」
この世界は魔物や聖女が存在する、ファンタジックで風変わりな世界観ではある。
しかし貴族社会やそのあたりは前世の時とあまり変わりがないようだから、ダンスも同じようなものだろうと思う。
レグランは私がダンスを踊れるというのは信用し難いようで、明らかに疑ってかかる。
「……ダンス、出来るんですか?」
「前にライナスと私が言い争った時に言ったでしょ。私は貴族だった前世の記憶を持って、この世界へ生まれ変わったのだと」
「あれ、本気で仰ってたんですか」
「本気だし正気よ」
「…………」
レグランはしばらく無言で私の顔をじっと見つめ、どうするか判断しているようだった。
困っているわねレグラン。
でもダンスの練習は前世で死ぬほどやらされたから本当にもういいの。講習なんてやる意味ないのよ。
レグランに講習を受けろと説得されるかと身構えていたけれど、それは杞憂に終わった。
「わかりました。では講習はキャンセルとお伝えしておきます。それと別件で、アイヴィ様の侍女のことなんですが」
「ああ、侍女なんていらないわよ。群れるの嫌いなのよ」
私の侍女になったところでその人の何の役にも立たないわ。むしろマイナスの経歴になりかねない。
出来るだけ被害者は減らしておきたいのよ。立つ鳥跡を濁さずってやつね。
「残念ですが王太子妃になれば嫌でも侍女は付きます。今候補を絞っているそうですのですぐには付きませんが、代わりに専属メイドをご用意致しました」
「別に専属じゃなくても、今みたいに適当なメイドが何人かいれば充分よ……」
そんな私のぼやきは華麗に無視され、レグランは扉を開けて廊下に立っていた人物に入室を促す。
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