3 / 5
第1章 異世界スローライフ
異世界生活 1
しおりを挟む
「………なにもない。ゲームが出来ない。やる気が出ない」
気だるい気分で青々と草が生い茂る大地に寝転がる。
今の自分の状況は女神と名乗った女性が関係する。
女神が青の命を奪った。なんの前触れもなく女神のミスで死んだ。
怒りの感情を抱くが、すでに異世界の大地へ召喚された身では女神に文句さえ言えない。
「どうするかな。………あーなんか俺に?チート能力を授けます!とか女神が言ってたけど」
あの女神は青の話を一切聞かず、説明もなく異世界へ送った。
だから、渡された能力は使えるのだろうか?と少し不安になる。
「能力か。身体の変化とか違和感はないな」
はて?自分の身体は女神から能力を授けられたはずだが。と思いその場で立ち上がると、
カシャーン。
立ち上がった直後、青の着ていた黒のジャージズボンのポケットから、物が足元へ滑り落ちた。
「スマホ?これ俺のスマホだ。………女神がポケットに入れてくれたのか」
自分の足元に落ちた物を見れば、馴染み深い自身のスマホだった。
年の離れた妹から押し付けられたキモカワ(普通に気持ち悪い)ウサギのストラップがスマホにぶら下がっていたので、自分のだと気付いた。
「嬉しい。スマホは嬉しい贈り物だ」
スマホを自分と一緒に送り届けてくれた女神に感謝する。
スマホがない異世界とある異世界では格段に、これからの生活基準が変わる。
「検索機能が使えたら異世界での暮らしも大丈夫だ。畑の肥料、薬草、キノコ、サバイバルとかの知識が気軽に検索可能だから」
かなりの知識がスマホの検索機能にはある。それこそ専門家やプロなどが作ったブログなどが存在するため多種多様な知識が手に入る。
「………使えるよな?まさかスマホだけ渡したんじゃないよな。それただの箱だぞ」
電源が入らないスマホなど箱だと思う青。
だが、あの女神なら充電がない状態で渡すのではと考える。
「とりあえず電源を入れるか」
しばらく考え、スマホの電源を入れる決意をした青は電源ボタンを押す。
『起動を確認しました。スマホを起動します』
ウィーン
『使用者、青様を確認いたしました。お使いになるスマホはスキャニングを完了したご本人以外の使用は不可です。他者への貸し出しは使用者の許可が必要ですのでご了承ください。それでは快適なスマホ異世界ライフをお送りくださいませ』
起動したスマホが丁寧な日本語を喋った。
耳に心地よい女性の声でスマホの状況を説明してくれたが、まったく内容が頭へ入らない。
「スマホが壊れた!?」
電源は入ったが通常のスマホはここまで的確な説明はしない。
質問した内容を設定されたパターンから読み取り、決められた回答をするだけだ。
スマホから流れる女性の声も淡白で、青のスマホから聞こえた声はその場で女性が耳元で話しているように聞こえた。
『破損はなし。通常の機能を維持しておりますのでご安心をマスター』
「マスターってまさか俺のことじゃないよな」
スマホから聞こえる女性の声が、自分をマスターと呼んでいる気がして話しかける。
『我がマスターは青様ただお一人です。女神様より青様の全面サポートをするよう使命を授かりました。末長く宜しくお願い致します』
「………マジか」
『マジでございます』
青の呟きにも言葉を返す有能スマホ。
「………俺のチート能力は?」
自分が持っていたスマホは、バージョンアップして機能が上昇しただけだと色々な感情を抑え納得させる。
せめて青は女神が自身へ授けた能力に期待する。チートは不要と言ったが、未知の力にやはり興奮を抱く。
女神が送った世界はファンタジーの世界。魔法の概念が存在する世界だ。
(俺を送るとき魔法使ってたし。魔法は男のロマンだ)
だから青が扱える能力は魔法ではないかと推測する。
『マスターが授けられし能力は我でございます。女神様の祝福が詰め込まれた最強スマホがマスターのお力です』
ん?聞き間違いかと思う。自分が女神に渡された力がスマホなわけがないと。
「女神の不注意で殺された俺だぞ?まさかスマホが俺の能力なわけないだろ」
『スマホである我がマスターの能力です』
「………俺自身の能力じゃない。スマホ単体の力じゃねぇかよ」
あんまりな事実に愕然とする。
「俺個人が魔法を使うのは可能ですか?」
動揺して意識を失いそうになるが、最後の気力を振り絞って一番聞きたいことをスマホに聞く。
『不可です。マスターは別世界の住人。それも魔法の概念が存在しない世界出身ですから、初級魔法も発動出来ません』
無慈悲に聞きたくない真実を喋るスマホに、青は倒れた。
「オワタ。俺の魔導師育成計画が終わった」
RPGゲームに出てくる魔導師の育成方法を自分の身で試せないと分かり、異世界で生活するやる気が瞬く間に消えた青は眠り始めた。
寝息を立てるマスターに最強のスマホは青の周りに危険がないかを調べ、もしものために結界も展開する。
ふて寝から爆睡してしまったマスターを甲斐甲斐しく見守るスマホは、急接近する馬車を感知するまで青を寝かせていたのだった。
気だるい気分で青々と草が生い茂る大地に寝転がる。
今の自分の状況は女神と名乗った女性が関係する。
女神が青の命を奪った。なんの前触れもなく女神のミスで死んだ。
怒りの感情を抱くが、すでに異世界の大地へ召喚された身では女神に文句さえ言えない。
「どうするかな。………あーなんか俺に?チート能力を授けます!とか女神が言ってたけど」
あの女神は青の話を一切聞かず、説明もなく異世界へ送った。
だから、渡された能力は使えるのだろうか?と少し不安になる。
「能力か。身体の変化とか違和感はないな」
はて?自分の身体は女神から能力を授けられたはずだが。と思いその場で立ち上がると、
カシャーン。
立ち上がった直後、青の着ていた黒のジャージズボンのポケットから、物が足元へ滑り落ちた。
「スマホ?これ俺のスマホだ。………女神がポケットに入れてくれたのか」
自分の足元に落ちた物を見れば、馴染み深い自身のスマホだった。
年の離れた妹から押し付けられたキモカワ(普通に気持ち悪い)ウサギのストラップがスマホにぶら下がっていたので、自分のだと気付いた。
「嬉しい。スマホは嬉しい贈り物だ」
スマホを自分と一緒に送り届けてくれた女神に感謝する。
スマホがない異世界とある異世界では格段に、これからの生活基準が変わる。
「検索機能が使えたら異世界での暮らしも大丈夫だ。畑の肥料、薬草、キノコ、サバイバルとかの知識が気軽に検索可能だから」
かなりの知識がスマホの検索機能にはある。それこそ専門家やプロなどが作ったブログなどが存在するため多種多様な知識が手に入る。
「………使えるよな?まさかスマホだけ渡したんじゃないよな。それただの箱だぞ」
電源が入らないスマホなど箱だと思う青。
だが、あの女神なら充電がない状態で渡すのではと考える。
「とりあえず電源を入れるか」
しばらく考え、スマホの電源を入れる決意をした青は電源ボタンを押す。
『起動を確認しました。スマホを起動します』
ウィーン
『使用者、青様を確認いたしました。お使いになるスマホはスキャニングを完了したご本人以外の使用は不可です。他者への貸し出しは使用者の許可が必要ですのでご了承ください。それでは快適なスマホ異世界ライフをお送りくださいませ』
起動したスマホが丁寧な日本語を喋った。
耳に心地よい女性の声でスマホの状況を説明してくれたが、まったく内容が頭へ入らない。
「スマホが壊れた!?」
電源は入ったが通常のスマホはここまで的確な説明はしない。
質問した内容を設定されたパターンから読み取り、決められた回答をするだけだ。
スマホから流れる女性の声も淡白で、青のスマホから聞こえた声はその場で女性が耳元で話しているように聞こえた。
『破損はなし。通常の機能を維持しておりますのでご安心をマスター』
「マスターってまさか俺のことじゃないよな」
スマホから聞こえる女性の声が、自分をマスターと呼んでいる気がして話しかける。
『我がマスターは青様ただお一人です。女神様より青様の全面サポートをするよう使命を授かりました。末長く宜しくお願い致します』
「………マジか」
『マジでございます』
青の呟きにも言葉を返す有能スマホ。
「………俺のチート能力は?」
自分が持っていたスマホは、バージョンアップして機能が上昇しただけだと色々な感情を抑え納得させる。
せめて青は女神が自身へ授けた能力に期待する。チートは不要と言ったが、未知の力にやはり興奮を抱く。
女神が送った世界はファンタジーの世界。魔法の概念が存在する世界だ。
(俺を送るとき魔法使ってたし。魔法は男のロマンだ)
だから青が扱える能力は魔法ではないかと推測する。
『マスターが授けられし能力は我でございます。女神様の祝福が詰め込まれた最強スマホがマスターのお力です』
ん?聞き間違いかと思う。自分が女神に渡された力がスマホなわけがないと。
「女神の不注意で殺された俺だぞ?まさかスマホが俺の能力なわけないだろ」
『スマホである我がマスターの能力です』
「………俺自身の能力じゃない。スマホ単体の力じゃねぇかよ」
あんまりな事実に愕然とする。
「俺個人が魔法を使うのは可能ですか?」
動揺して意識を失いそうになるが、最後の気力を振り絞って一番聞きたいことをスマホに聞く。
『不可です。マスターは別世界の住人。それも魔法の概念が存在しない世界出身ですから、初級魔法も発動出来ません』
無慈悲に聞きたくない真実を喋るスマホに、青は倒れた。
「オワタ。俺の魔導師育成計画が終わった」
RPGゲームに出てくる魔導師の育成方法を自分の身で試せないと分かり、異世界で生活するやる気が瞬く間に消えた青は眠り始めた。
寝息を立てるマスターに最強のスマホは青の周りに危険がないかを調べ、もしものために結界も展開する。
ふて寝から爆睡してしまったマスターを甲斐甲斐しく見守るスマホは、急接近する馬車を感知するまで青を寝かせていたのだった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる