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七章 Revenge
十二月 <計画> 1
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十二月十六日。土曜日。
この日の朝、
教室に現れたのは
ナカマイ先生ではなくて校長の勅使河原だった。
校長は
「畑中先生は体調が優れないから
今日はお休みでぇす」
と説明した。
茜の席も空いていたが、
それは俺が今日まで休むように言ったからだ。
二時間目と三時間目の間の二十分休みの時間に
俺は翔太と洋をベランダに呼んで、
茜がここ数日学校を休んでいる理由について
「ストーカー被害」
によるものだと説明した。
二人が「すとーかー?」と首を傾げたので
俺はそこから説明する必要があった。
この時代、
ストーカーという単語は
まだ世間では馴染みのない言葉だった。
俺が
「茜に付きまとって困らせている悪い大人がいる」
と説明すると二人は、
「それは許せないよ!」
「俺達で捕まえて警察につきだそうぜ」
と息巻いた。
「二人に聞きたいんだが、
この学校で白髪のオールバックに
黒いサングラス。
そして口髭を生やした教師はいるか?」
俺の質問に二人は首を傾げた。
「その人が悪い大人?」
「もしかして
茜ちゃんの『すとーかー』って
そいつのことか?」
「いやいや、
ストーカーが誰なのかは
まだ誰かわかってないんだが、
一度怪しい人間を見かけたらしくてな。
知らなければそれでいいんだ。
来週から茜も登校してくるから
二人には茜の護衛を頼む」
どうやら翔太も洋も
男には心当たりがないようだった。
「うん!わかった!」
「俺と翔太に任せとけよ」
二人は力強く頷いた。
放課後、俺は職員室へ向かった。
職員室前の廊下はひっそりと静まり返っていた。
俺がドアに手を掛けようとした時、
ドアが開いて中から若い女教師が出てきた。
ミニスカートに体の線が協調された服。
紅葉と呼ばれていたあの女教師だ。
「あら、君はたしか・・この間の?
たしか畑中先生のクラスの子ね?」
「う、うん」
「どうしたの?
畑中先生は今日はお休みだったでしょ?」
ここで紅葉と遭遇したのは幸運だった。
「あの、紅葉先生に聞きたいことがあるんだけど」
俺は咄嗟に無邪気な子供を演じた。
「私に?何かしら?」
「このことは
他の先生には言わないでほしいんだけどさ」
俺はそう釘を刺してから、
茜の話に出てきた男の特徴を説明した。
紅葉はその豊満な胸を強調するように腕を組んで
考え込んだ。
「白髪のオールバックに黒いサングラス。
そして口髭を生やした人?
そんな人はこの学校にはいないわねぇ」
その答えは俺を落胆させたが、
続く言葉は聞き逃せなかった。
「でも似たような特徴を持った先生なら
三人いるわよ」
「三人・・?」
「そう。
白髪のオールバックは伊達先生。
それに伊達先生はサングラスもかけてるわ。
織田先生はサングラスをかけて
口髭も生やしてるけど、
黒髪のパンチパーマよ。
そして口髭なら前田さんも該当するわ。
ただし、
前田さんはサングラスもかけてないし
坊主頭だけど」
この日の朝、
教室に現れたのは
ナカマイ先生ではなくて校長の勅使河原だった。
校長は
「畑中先生は体調が優れないから
今日はお休みでぇす」
と説明した。
茜の席も空いていたが、
それは俺が今日まで休むように言ったからだ。
二時間目と三時間目の間の二十分休みの時間に
俺は翔太と洋をベランダに呼んで、
茜がここ数日学校を休んでいる理由について
「ストーカー被害」
によるものだと説明した。
二人が「すとーかー?」と首を傾げたので
俺はそこから説明する必要があった。
この時代、
ストーカーという単語は
まだ世間では馴染みのない言葉だった。
俺が
「茜に付きまとって困らせている悪い大人がいる」
と説明すると二人は、
「それは許せないよ!」
「俺達で捕まえて警察につきだそうぜ」
と息巻いた。
「二人に聞きたいんだが、
この学校で白髪のオールバックに
黒いサングラス。
そして口髭を生やした教師はいるか?」
俺の質問に二人は首を傾げた。
「その人が悪い大人?」
「もしかして
茜ちゃんの『すとーかー』って
そいつのことか?」
「いやいや、
ストーカーが誰なのかは
まだ誰かわかってないんだが、
一度怪しい人間を見かけたらしくてな。
知らなければそれでいいんだ。
来週から茜も登校してくるから
二人には茜の護衛を頼む」
どうやら翔太も洋も
男には心当たりがないようだった。
「うん!わかった!」
「俺と翔太に任せとけよ」
二人は力強く頷いた。
放課後、俺は職員室へ向かった。
職員室前の廊下はひっそりと静まり返っていた。
俺がドアに手を掛けようとした時、
ドアが開いて中から若い女教師が出てきた。
ミニスカートに体の線が協調された服。
紅葉と呼ばれていたあの女教師だ。
「あら、君はたしか・・この間の?
たしか畑中先生のクラスの子ね?」
「う、うん」
「どうしたの?
畑中先生は今日はお休みだったでしょ?」
ここで紅葉と遭遇したのは幸運だった。
「あの、紅葉先生に聞きたいことがあるんだけど」
俺は咄嗟に無邪気な子供を演じた。
「私に?何かしら?」
「このことは
他の先生には言わないでほしいんだけどさ」
俺はそう釘を刺してから、
茜の話に出てきた男の特徴を説明した。
紅葉はその豊満な胸を強調するように腕を組んで
考え込んだ。
「白髪のオールバックに黒いサングラス。
そして口髭を生やした人?
そんな人はこの学校にはいないわねぇ」
その答えは俺を落胆させたが、
続く言葉は聞き逃せなかった。
「でも似たような特徴を持った先生なら
三人いるわよ」
「三人・・?」
「そう。
白髪のオールバックは伊達先生。
それに伊達先生はサングラスもかけてるわ。
織田先生はサングラスをかけて
口髭も生やしてるけど、
黒髪のパンチパーマよ。
そして口髭なら前田さんも該当するわ。
ただし、
前田さんはサングラスもかけてないし
坊主頭だけど」
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