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三章 Renewal

六月 <遺品> 7

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それから数日後の放課後、
俺はナカマイ先生に呼び出された。

翔太と洋が
「後で『Twilight Avenue』に集合な」
と言って教室を出ていった。
茜はピアノのレッスンがあるので
今日は真っ直ぐ家に帰るようだ。
奥川がこっちを見ているのがわかったが、
俺は気付かないふりをして教室を出た。

俺は屋上へ向かった。

屋上にはナカマイ先生の他に
数人の女子生徒がいた。
よく見るとその中に見覚えのある少女がいた。
前に茜と二人で「楽園」に行った時に、
校庭で見かけた少女だ。
ドッジボールで男子に負けじとも劣らず
活躍していた少女の姿を思い出した。

ナカマイ先生は
少女達から離れたところへ俺を誘導した。
そして俺と向き合うと笑顔になった。
その表情は優しさに満ち溢れていた。
どうやら怒られるわけではないようだ。

「さてと。
 君は何で今日ここに呼ばれたかわかってる?」
そう言われたものの
俺にはまったく心当たりがなかった。
俺は首を捻った。
「ここ数日、君は元気がなかったでしょう?
 授業中も心ここにあらずって感じで、
 先生は心配なの」
俺は普段通りに振舞っていたつもりだったが、
どうやら彼女の目を誤魔化すことは
できなかったようだ。
俺は素直に目の前の若い女教師に感心した。

「何か悩みがあるのかな?
 先生でよければ相談に乗るから
 何でも話して欲しいな」
その時、
俺はビデオテープの回収に
ナカマイ先生の力を借りることを思い付いた。

「・・せ、先生、実はさ」
そこで俺は一度言葉を止めた。
そして話すべきか迷っている演技をした。
俺はこういう態度が相手に与える効果を
よく知っていた。

「どうしたの?」
ナカマイ先生は心配そうに
俺の顔を覗き込んできた。

「・・実は、
 父さんのビデオカメラを
 大吾君に貸したままなんだ。
 でも大吾君があんなことになって・・。
 父さんに内緒で貸したから
 このままだと怒られると思って・・」
俺は咄嗟に考えた作り話をした。
ナカマイ先生は「何だ、そうだったの」と笑った。
「じゃあ、
 近々先生と熊谷君の家を訪ねましょう。
 先生からうまく説明してあげるわ」

こうして思わぬところから助け船がきて、
茜の問題は解決の目処が立ったのだった。
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