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第15楽章
第98話 娼婦の館
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月明かりが周囲を照らしていた。
「キュキュキュキュ」
どこかで名も無き鳥が啼いていた。
無機質なコンクリートの牢屋の前に
松平の死体が転がっていた。
頑丈な鉄製の扉の前で
僕は大きく深呼吸をした。
それから。
僕は腰に手を当てて背中の包丁を確認した。
遊戯室に置いてきた拳銃はすでに弾切れだった。
元々2発しか弾が込められていなかったのだ。
その辺りにも主催者の嫌らしさが垣間見えた。
僕はポケットから鍵を取り出して
鍵穴に差し込んだ。
カチリと音がした。
ゆっくりと扉を引いた。
「・・か、菅野さん?」
僕は暗闇に向かって呼びかけた。
返事は無かった。
僕は一歩だけ中に足を踏み入れた。
「動かないで・・」
微かに湿った空気の中、
すぐ横から乾いた声がした。
同時に首筋に冷気を感じた。
僕は視線だけをゆっくり左に向けた。
銀色に光る刃が見えた。
「ぼ、僕です。
す、鈴木です・・」
「あら?
てっきり童貞の坊やが
アタシを殺しに来たのかと思ったけど。
どうやら。
アタシのメッセージは正しく伝わったようね」
「は、はい。
そ、それよりも。
ま、まずは・・。
こ、この物騒なモノをどけてくれませんか?」
「あははは。
ゴメンゴメン」
菅野の高笑いが風と共に外へ抜けた。
僕は女に気付かれないように
そっと息を吐き出した。
「キュキュキュキュ」
どこかで名も無き鳥が啼いていた。
無機質なコンクリートの牢屋の前に
松平の死体が転がっていた。
頑丈な鉄製の扉の前で
僕は大きく深呼吸をした。
それから。
僕は腰に手を当てて背中の包丁を確認した。
遊戯室に置いてきた拳銃はすでに弾切れだった。
元々2発しか弾が込められていなかったのだ。
その辺りにも主催者の嫌らしさが垣間見えた。
僕はポケットから鍵を取り出して
鍵穴に差し込んだ。
カチリと音がした。
ゆっくりと扉を引いた。
「・・か、菅野さん?」
僕は暗闇に向かって呼びかけた。
返事は無かった。
僕は一歩だけ中に足を踏み入れた。
「動かないで・・」
微かに湿った空気の中、
すぐ横から乾いた声がした。
同時に首筋に冷気を感じた。
僕は視線だけをゆっくり左に向けた。
銀色に光る刃が見えた。
「ぼ、僕です。
す、鈴木です・・」
「あら?
てっきり童貞の坊やが
アタシを殺しに来たのかと思ったけど。
どうやら。
アタシのメッセージは正しく伝わったようね」
「は、はい。
そ、それよりも。
ま、まずは・・。
こ、この物騒なモノをどけてくれませんか?」
「あははは。
ゴメンゴメン」
菅野の高笑いが風と共に外へ抜けた。
僕は女に気付かれないように
そっと息を吐き出した。
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