92 / 117
第13楽章
第92話 子羊
しおりを挟む
静まり返った遊戯室に
柱時計のコツコツコツと時を刻む音が
響いていた。
「・・す、鈴木・・さん?」
その声で僕は我に返った。
車椅子の名探偵が
青ざめた表情で僕の方を見ていた。
「か、彼の・・発言は・・。
で、出鱈目なんだ・・。
ぼ、僕は郷田さんを殺してない!」
僕は必死で彼女に訴えた。
「わ、わかりました。
それよりも。
す、鈴木さん・・。
手の中のモノを置いて下さい」
その言葉で僕は
自分がまだ拳銃を構えていることに気付いた。
僕は慌てて拳銃を投げ捨てた。
「か、彼は・・あわよくば・・。
ろ、六条さん殺しの罪も・・。
ぼ、僕に着せるつもりだったんだ!」
僕はカウンターに両手をついた。
そして肩で大きく息をした。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・お話は後でお聞きします。
今は、とりあえず。
この部屋を出ましょう・・」
僅かに震える声が聞こえた。
僕は顔を上げて少女の方へ視線を向けた。
車椅子の少女が
床に転がった死神の死体を
呆然と見つめていた。
その瞳からは聡明で勇敢な
名探偵としての光が失われていた。
か弱き少女が精一杯、
平常心を保とうと
真一文字に口を結んでいた。
僕達は西岡の死体を残して遊戯室を出た。
柱時計のコツコツコツと時を刻む音が
響いていた。
「・・す、鈴木・・さん?」
その声で僕は我に返った。
車椅子の名探偵が
青ざめた表情で僕の方を見ていた。
「か、彼の・・発言は・・。
で、出鱈目なんだ・・。
ぼ、僕は郷田さんを殺してない!」
僕は必死で彼女に訴えた。
「わ、わかりました。
それよりも。
す、鈴木さん・・。
手の中のモノを置いて下さい」
その言葉で僕は
自分がまだ拳銃を構えていることに気付いた。
僕は慌てて拳銃を投げ捨てた。
「か、彼は・・あわよくば・・。
ろ、六条さん殺しの罪も・・。
ぼ、僕に着せるつもりだったんだ!」
僕はカウンターに両手をついた。
そして肩で大きく息をした。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・お話は後でお聞きします。
今は、とりあえず。
この部屋を出ましょう・・」
僅かに震える声が聞こえた。
僕は顔を上げて少女の方へ視線を向けた。
車椅子の少女が
床に転がった死神の死体を
呆然と見つめていた。
その瞳からは聡明で勇敢な
名探偵としての光が失われていた。
か弱き少女が精一杯、
平常心を保とうと
真一文字に口を結んでいた。
僕達は西岡の死体を残して遊戯室を出た。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。



クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる