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第11楽章
第72話 菅野の推理
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「そんな顔しないでよ」
菅野は包丁を下ろすとにこりと微笑んだ。
「この状況で言っても
信じてもらえないだろうけど、
アタシは【犯人】じゃないわ」
「何の躊躇いもなく爺さんを刺し殺した
人間の言葉を簡単に信じると思うか?」
西岡は立ち上がると菅野を睨み付けた。
「アタシは【市民】のために
【探偵】を殺してあげたのよ。
アンタ達はアタシに感謝してもいいくらいよ」
菅野が西岡を睨み返した。
娼婦と死神が火花を散らし合っていた。
「キュキュキュキュ」
どこかで鳥が啼いた。
「・・こ、こうなってしまった以上。
か、菅野さんには・・
牢屋に入っていただいた方が・・」
その時、
松平の死体から目を背けていた茜が
消え入りそうな声で呟いた。
「くっくっく。
いいことを言うじゃないか、お嬢ちゃん。
俺もその意見に賛成だな。
見直したぜ。
この状況で包丁を持った人間相手に
そんなことが言えるとはな。
なかなか勇気があるじゃないか」
西岡がふたたび「くっくっく」と笑った。
菅野が視線を茜の方へ向けた。
菅野の包丁を握った手に
僅かに力が入ったように見えた。
僕は改めて腰の辺りを探った。
「キュキュキュキュ」
どこかで鳥が啼いた。
「・・そうね。
いいわ。
牢屋には入ってあげる。
それがアタシが【市民】であることの証明」
不意に菅野が口を開いた。
「ただし、条件があるわ。
アタシは
自分が【犯人】でないことを知ってる。
そこに倒れてるロリコン爺は【探偵】で確定。
M気質の彼と
部屋で拘束中の情緒不安定なオバサンは
【市民】のカードを持っている。
そうすると。
死んだ2人の中に【犯人】がいなければ、
童貞の坊やと車椅子の子猫ちゃんの
どちらかが【犯人】ってことになるのよね」
「わ、私は亡くなられた郷田さんが
【犯人】だと思っています」
「そのくせ。
さっきの投票では投獄に票を入れたのよね?」
菅野が茜を妖しく睨んだ。
「そ、それは・・」
「あははは。
本当に可愛い子猫ちゃん。
ま、いいわ。
アタシの条件は2つ。
1つは。
【探偵】が死んだ今、
この牢屋の鍵は
M気質の彼が管理すること。
もう1つは。
部屋で拘束中の情緒不安定なオバサン、
彼女を解放すること」
そう言って菅野はポケットから
手錠の鍵を取り出すと
プラプラと顔の前で振った。
菅野は包丁を下ろすとにこりと微笑んだ。
「この状況で言っても
信じてもらえないだろうけど、
アタシは【犯人】じゃないわ」
「何の躊躇いもなく爺さんを刺し殺した
人間の言葉を簡単に信じると思うか?」
西岡は立ち上がると菅野を睨み付けた。
「アタシは【市民】のために
【探偵】を殺してあげたのよ。
アンタ達はアタシに感謝してもいいくらいよ」
菅野が西岡を睨み返した。
娼婦と死神が火花を散らし合っていた。
「キュキュキュキュ」
どこかで鳥が啼いた。
「・・こ、こうなってしまった以上。
か、菅野さんには・・
牢屋に入っていただいた方が・・」
その時、
松平の死体から目を背けていた茜が
消え入りそうな声で呟いた。
「くっくっく。
いいことを言うじゃないか、お嬢ちゃん。
俺もその意見に賛成だな。
見直したぜ。
この状況で包丁を持った人間相手に
そんなことが言えるとはな。
なかなか勇気があるじゃないか」
西岡がふたたび「くっくっく」と笑った。
菅野が視線を茜の方へ向けた。
菅野の包丁を握った手に
僅かに力が入ったように見えた。
僕は改めて腰の辺りを探った。
「キュキュキュキュ」
どこかで鳥が啼いた。
「・・そうね。
いいわ。
牢屋には入ってあげる。
それがアタシが【市民】であることの証明」
不意に菅野が口を開いた。
「ただし、条件があるわ。
アタシは
自分が【犯人】でないことを知ってる。
そこに倒れてるロリコン爺は【探偵】で確定。
M気質の彼と
部屋で拘束中の情緒不安定なオバサンは
【市民】のカードを持っている。
そうすると。
死んだ2人の中に【犯人】がいなければ、
童貞の坊やと車椅子の子猫ちゃんの
どちらかが【犯人】ってことになるのよね」
「わ、私は亡くなられた郷田さんが
【犯人】だと思っています」
「そのくせ。
さっきの投票では投獄に票を入れたのよね?」
菅野が茜を妖しく睨んだ。
「そ、それは・・」
「あははは。
本当に可愛い子猫ちゃん。
ま、いいわ。
アタシの条件は2つ。
1つは。
【探偵】が死んだ今、
この牢屋の鍵は
M気質の彼が管理すること。
もう1つは。
部屋で拘束中の情緒不安定なオバサン、
彼女を解放すること」
そう言って菅野はポケットから
手錠の鍵を取り出すと
プラプラと顔の前で振った。
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