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第10楽章
第68話 悪魔の証明
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遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
娼婦は静かにグラスを揺らしていた。
老いた豚はプルプルとお尻を震わせてた。
死神はそんな2人を静観していた。
車椅子の堕天使が不安げな表情で僕を見ていた。
僕は少女に向かって小さく頷いた。
松平の発言はある意味正しい。
【探偵】は【犯人】を探す。
そして【犯人】は
必ずしも【市民】を殺しているとは限らない。
本人は否定しているが、
平原を毒殺したのは恐らく、
【市民】である六条の可能性が高い。
それを踏まえて。
僕と茜は郷田が【犯人】ではないかと推理した。
さらに茜は
六条が郷田まで殺した
と考えているようだが・・。
「・・いいか?
証明するのは儂ではなくお前さんの方なんだ。
お前さんは
自分が郷田を殺してないということ、
そして自分が【犯人】でないことを
今ここで証明してみせろ。
何せ。
同じ理屈で
六条は手錠に繋がれてるんだからなぁ?」
松平の演説は続いていた。
松平は菅野が【犯人】だと結論付けた。
たしかに。
これまでの彼女の言動を考えると、
松平の推理はある程度納得はできる。
しかし・・。
松平は菅野に
【犯人】ではないことの証明を求めたが、
それは悪魔の証明だった。
魔女は自分が魔女ではないことを
証明する義務がある。
所謂魔女狩り。
理不尽だが。
今この瞬間、
遊戯室は死臭漂う中世ヨーロッパへと
時計の針を巻き戻していた。
「わかったか。
ここは警察署でもなければ
裁判所でもないんだ。
儂らが従うのはゲームのルールだけ。
そしてルールには
【探偵】は
”犯人を推理して中庭にある牢屋に
投獄することができる”
と書かれていただろう?
儂はそのルールに従って、
【犯人】と思う人物を牢屋へぶち込むだけだ」
老いた豚がドスの効いた濁声で凄んだ。
娼婦はグラスに残った『モスコミュール』を
こくこくと飲み干すとにこりと微笑んだ。
コツコツコツと時を刻んでいた。
娼婦は静かにグラスを揺らしていた。
老いた豚はプルプルとお尻を震わせてた。
死神はそんな2人を静観していた。
車椅子の堕天使が不安げな表情で僕を見ていた。
僕は少女に向かって小さく頷いた。
松平の発言はある意味正しい。
【探偵】は【犯人】を探す。
そして【犯人】は
必ずしも【市民】を殺しているとは限らない。
本人は否定しているが、
平原を毒殺したのは恐らく、
【市民】である六条の可能性が高い。
それを踏まえて。
僕と茜は郷田が【犯人】ではないかと推理した。
さらに茜は
六条が郷田まで殺した
と考えているようだが・・。
「・・いいか?
証明するのは儂ではなくお前さんの方なんだ。
お前さんは
自分が郷田を殺してないということ、
そして自分が【犯人】でないことを
今ここで証明してみせろ。
何せ。
同じ理屈で
六条は手錠に繋がれてるんだからなぁ?」
松平の演説は続いていた。
松平は菅野が【犯人】だと結論付けた。
たしかに。
これまでの彼女の言動を考えると、
松平の推理はある程度納得はできる。
しかし・・。
松平は菅野に
【犯人】ではないことの証明を求めたが、
それは悪魔の証明だった。
魔女は自分が魔女ではないことを
証明する義務がある。
所謂魔女狩り。
理不尽だが。
今この瞬間、
遊戯室は死臭漂う中世ヨーロッパへと
時計の針を巻き戻していた。
「わかったか。
ここは警察署でもなければ
裁判所でもないんだ。
儂らが従うのはゲームのルールだけ。
そしてルールには
【探偵】は
”犯人を推理して中庭にある牢屋に
投獄することができる”
と書かれていただろう?
儂はそのルールに従って、
【犯人】と思う人物を牢屋へぶち込むだけだ」
老いた豚がドスの効いた濁声で凄んだ。
娼婦はグラスに残った『モスコミュール』を
こくこくと飲み干すとにこりと微笑んだ。
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