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第9楽章
第60話 限りなく黒に近い灰色
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「【犯人】についてだけど。
塚本・・さんは誰だと思う?」
僕はふたたび話題を変えた。
西岡と菅野の言い分もわかるが、
やはり【犯人】のことを考えずには
いられなかった。
少なくとも何もせずに待つというのは
僕の性には合わなかった。
「・・そうですね。
夜は長いですし、
【犯人】について
私達だけでも話し合いましょうか」
夜は長いという言葉と
私達という言葉に僕は
ドキッとして慌てて頭を振った。
「【市民】が【犯人】を知ることは
身を守ることにも繋がるからね」
そして僕はゴホンと軽く咳払いをした。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「現在、殺されたのは2人です。
郷田満さんと平原由紀さん。
郷田さんはゲーム開始直後に刺殺。
平原さんは夕食時に毒殺です」
茜が淡々と事実を語った。
僕は一度頷いてから話を引き継いだ。
「郷田の殺害に関しては、
犯行の機会があった人間は絞られる。
まずは到着順から考えて松平さんがその1人。
そして最後に到着した僕にも
その機会はあった。
さらに皆が応接室にいる間に
1人で建物内を散策していた西岡くん。
彼は2階には行ってないと主張しているけど、
それを裏付ける証拠はない。
そして出口を探すために
2階へ行った3人、
六条さん、菅野さん、平原さん。
彼女達にも可能だった。
ただし。
この3人については
第一発見者の六条さんの目を盗んで
後の2人が殺せたのか
という問題がある。
ならば六条さんが殺したのか?
問題は郷田は男だということ。
不意をついたとしても
女性が1人で簡単に殺せるかどうか・・」
茜が大きく頷いた。
「では平原さん殺害の件について
鈴木さんはどう考えていますか?
六条さんは本当に殺してないと思いますか?」
僕は新たなグラスに
『バージン・ブリーズ』を注いだ。
「難しい問題だね。
でも西岡くんも言ってたけど、
髑髏の小瓶の存在と
その中身が毒であることは事実だと思う」
「でも・・。
そうなると平原さんを殺したのは
やはり六条さんということになりませんか?
髑髏の小瓶の存在を知っていたのは
彼女だけなんですから」
「そ、それは・・」
茜の指摘に僕は反論できなかった。
少女が僕の方をじっと見てることに気付いた。
その時、茜の発言の中に微かな疑問を覚えた。
髑髏の小瓶の存在を知っていたのは
本当に六条だけなのか。
それならばなぜ小瓶は盗まれたのか。
そしてそれはいつ盗まれたのか。
「六条さんに関しては
『限りなく黒に近い灰色』
という印象だね・・」
そして僕はそう付け加えた。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「そう言えば。
毒は本当に
ワインに仕込まれていたのでしょうか?」
突然、茜はそんなことを口にした。
あの時。
平原は自分で選んだ赤ワインを
自分でグラスに注いでいた。
そしてグラスに口を付けて・・死んだ。
考えられるとすれば。
毒はグラスに仕込まれていた?
「あの時グラスを用意したのは、
たしか・・」
僕はあの時の状況を思い出そうと
必死に記憶を手繰った。
「アタシとあのオバサンさんよ!」
その声に驚いて僕は声のした方を見た。
開いたドアの所に菅野が立っていた。
塚本・・さんは誰だと思う?」
僕はふたたび話題を変えた。
西岡と菅野の言い分もわかるが、
やはり【犯人】のことを考えずには
いられなかった。
少なくとも何もせずに待つというのは
僕の性には合わなかった。
「・・そうですね。
夜は長いですし、
【犯人】について
私達だけでも話し合いましょうか」
夜は長いという言葉と
私達という言葉に僕は
ドキッとして慌てて頭を振った。
「【市民】が【犯人】を知ることは
身を守ることにも繋がるからね」
そして僕はゴホンと軽く咳払いをした。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「現在、殺されたのは2人です。
郷田満さんと平原由紀さん。
郷田さんはゲーム開始直後に刺殺。
平原さんは夕食時に毒殺です」
茜が淡々と事実を語った。
僕は一度頷いてから話を引き継いだ。
「郷田の殺害に関しては、
犯行の機会があった人間は絞られる。
まずは到着順から考えて松平さんがその1人。
そして最後に到着した僕にも
その機会はあった。
さらに皆が応接室にいる間に
1人で建物内を散策していた西岡くん。
彼は2階には行ってないと主張しているけど、
それを裏付ける証拠はない。
そして出口を探すために
2階へ行った3人、
六条さん、菅野さん、平原さん。
彼女達にも可能だった。
ただし。
この3人については
第一発見者の六条さんの目を盗んで
後の2人が殺せたのか
という問題がある。
ならば六条さんが殺したのか?
問題は郷田は男だということ。
不意をついたとしても
女性が1人で簡単に殺せるかどうか・・」
茜が大きく頷いた。
「では平原さん殺害の件について
鈴木さんはどう考えていますか?
六条さんは本当に殺してないと思いますか?」
僕は新たなグラスに
『バージン・ブリーズ』を注いだ。
「難しい問題だね。
でも西岡くんも言ってたけど、
髑髏の小瓶の存在と
その中身が毒であることは事実だと思う」
「でも・・。
そうなると平原さんを殺したのは
やはり六条さんということになりませんか?
髑髏の小瓶の存在を知っていたのは
彼女だけなんですから」
「そ、それは・・」
茜の指摘に僕は反論できなかった。
少女が僕の方をじっと見てることに気付いた。
その時、茜の発言の中に微かな疑問を覚えた。
髑髏の小瓶の存在を知っていたのは
本当に六条だけなのか。
それならばなぜ小瓶は盗まれたのか。
そしてそれはいつ盗まれたのか。
「六条さんに関しては
『限りなく黒に近い灰色』
という印象だね・・」
そして僕はそう付け加えた。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「そう言えば。
毒は本当に
ワインに仕込まれていたのでしょうか?」
突然、茜はそんなことを口にした。
あの時。
平原は自分で選んだ赤ワインを
自分でグラスに注いでいた。
そしてグラスに口を付けて・・死んだ。
考えられるとすれば。
毒はグラスに仕込まれていた?
「あの時グラスを用意したのは、
たしか・・」
僕はあの時の状況を思い出そうと
必死に記憶を手繰った。
「アタシとあのオバサンさんよ!」
その声に驚いて僕は声のした方を見た。
開いたドアの所に菅野が立っていた。
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