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第7楽章
第46話 魔女裁判① 23時
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全員が黙り込んでいた。
お互いがお互いをそれとなく探っていた。
「なるほどな。
まさか【市民】が【市民】を殺すとは
予想だにしてなかったぞ。
やはりその女が殺したんだな!
わっはっは」
不意に松平が口を開いて大声で笑った。
「冗談じゃないわよ!」
それに反応した菅野が
カウンターにグラスを叩きつけた。
ガシャンッ!
というガラスの割れる音が部屋に響いた。
「ち、違います!
わ、わたしは殺してません!
し、信じて下さい!」
六条が声を大にして訴えた。
「あんたの話をすべて信じることはできないが、
髑髏の小瓶については無視できない。
それ自体が作り話っていう可能性もあるが、
あんたがそんな嘘を吐くメリットがない。
毒の出所が気になっていたが、
これで1つ謎が解けた」
西岡は淡々と六条に語り掛けた。
「そして。
ソレをあんたが使ってない
という証明はできないよな?
何せ、毒の存在を知っていたのは
あんただけなんだからな」
そして冷たく言い放った。
「それに。
あんたの部屋のクローゼットから
キッチンバサミが発見されたことは
紛れもない事実だ。
次は誰かを切り刻もうと考えていたのか?」
「ち、違います!」
六条は首を左右に激しく振った。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・さて。
とりあえず。
このおばさんをどうするかだが・・
何か意見はあるか?」
いつの間にか
西岡が話の主導権を握っていた。
しかし
そのことに不満を言う人間はいなかった。
その時、
遊戯室の柱時計が
ボーンボーンボーンと23時を告げた。
「ねぇ、殺しちゃえば?」
菅野の声が静まり返った遊戯室に無情に響いた。
「その人が【犯人】だろうが【市民】だろうが、
どっちでもいいんじゃない?
さっきの理屈でいくと、
その人が死んだところで【市民】には
メリットしかないんでしょ?」
菅野の口調はまるで日常生活の中で
他愛もない会話をしているかのように
穏やかだった。
そしてそれは
この部屋に静寂と同時に困惑をもたらした。
時が止まったかのように誰も動かなかった。
皆の小さな呼吸の音と、
コツコツコツという柱時計の音だけが
時が流れていることを証明していた。
お互いがお互いをそれとなく探っていた。
「なるほどな。
まさか【市民】が【市民】を殺すとは
予想だにしてなかったぞ。
やはりその女が殺したんだな!
わっはっは」
不意に松平が口を開いて大声で笑った。
「冗談じゃないわよ!」
それに反応した菅野が
カウンターにグラスを叩きつけた。
ガシャンッ!
というガラスの割れる音が部屋に響いた。
「ち、違います!
わ、わたしは殺してません!
し、信じて下さい!」
六条が声を大にして訴えた。
「あんたの話をすべて信じることはできないが、
髑髏の小瓶については無視できない。
それ自体が作り話っていう可能性もあるが、
あんたがそんな嘘を吐くメリットがない。
毒の出所が気になっていたが、
これで1つ謎が解けた」
西岡は淡々と六条に語り掛けた。
「そして。
ソレをあんたが使ってない
という証明はできないよな?
何せ、毒の存在を知っていたのは
あんただけなんだからな」
そして冷たく言い放った。
「それに。
あんたの部屋のクローゼットから
キッチンバサミが発見されたことは
紛れもない事実だ。
次は誰かを切り刻もうと考えていたのか?」
「ち、違います!」
六条は首を左右に激しく振った。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・さて。
とりあえず。
このおばさんをどうするかだが・・
何か意見はあるか?」
いつの間にか
西岡が話の主導権を握っていた。
しかし
そのことに不満を言う人間はいなかった。
その時、
遊戯室の柱時計が
ボーンボーンボーンと23時を告げた。
「ねぇ、殺しちゃえば?」
菅野の声が静まり返った遊戯室に無情に響いた。
「その人が【犯人】だろうが【市民】だろうが、
どっちでもいいんじゃない?
さっきの理屈でいくと、
その人が死んだところで【市民】には
メリットしかないんでしょ?」
菅野の口調はまるで日常生活の中で
他愛もない会話をしているかのように
穏やかだった。
そしてそれは
この部屋に静寂と同時に困惑をもたらした。
時が止まったかのように誰も動かなかった。
皆の小さな呼吸の音と、
コツコツコツという柱時計の音だけが
時が流れていることを証明していた。
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