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第7楽章
第42話 小さな瓶①
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遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「これ以上何を話す必要があるんだ?
あの女が【犯人】なのは
疑いようがないだろ?
本当、女っていう生き物は恐ろしいな」
カウンターで『マティーニ』のグラスを片手に
松平が隣に座っている菅野にぼやいていた。
「さあ?
坊やにも何か思うところがあるんじゃない?
ま、女が恐ろしい生き物
ってことには賛成だけど」
「しかし。
よくあんなモノを持ってたな?
何者だ、お前さん?」
「うふふ。
女の秘密を探ろうなんて野暮な真似はよして」
僕は2人のやり取りに耳を傾けつつも、
ビリヤード台の近くの3人に
意識を集中させていた。
両足を投げ出して床に尻をついた六条が
壁に背をあずけていた。
その両手には
銀色に輝く手錠が掛けられていた。
西岡に蹴られた所が痛むのか
彼女は頻りに不自由な両手で
頭と左脛を擦っていた。
そんな彼女を
目の前に立った西岡が見下ろしていた。
2人から少し離れたところで
車椅子の塚本が
心配そうにその様子を窺っていた。
「さてと。
落ち着いたところで
改めて話を聞かせてもらおうか」
西岡が事務的な口調で六条に語り掛けた。
「こ、これ以上
な、何を話せと?
わ、わたしはキッチンバサミなんて
盗っていません」
六条が小さな声で
しかしはっきりとした口調で答えた。
先ほどの狂気は完全に鳴りを潜めていた。
しかし次の瞬間、
彼女の表情に突如として恐れの色が浮かんだ。
「・・ですが。
クローゼットの中に仕舞っておいた
小さな瓶がなくなっていました」
そして六条は体をブルっと震わせた。
コツコツコツと時を刻んでいた。
「これ以上何を話す必要があるんだ?
あの女が【犯人】なのは
疑いようがないだろ?
本当、女っていう生き物は恐ろしいな」
カウンターで『マティーニ』のグラスを片手に
松平が隣に座っている菅野にぼやいていた。
「さあ?
坊やにも何か思うところがあるんじゃない?
ま、女が恐ろしい生き物
ってことには賛成だけど」
「しかし。
よくあんなモノを持ってたな?
何者だ、お前さん?」
「うふふ。
女の秘密を探ろうなんて野暮な真似はよして」
僕は2人のやり取りに耳を傾けつつも、
ビリヤード台の近くの3人に
意識を集中させていた。
両足を投げ出して床に尻をついた六条が
壁に背をあずけていた。
その両手には
銀色に輝く手錠が掛けられていた。
西岡に蹴られた所が痛むのか
彼女は頻りに不自由な両手で
頭と左脛を擦っていた。
そんな彼女を
目の前に立った西岡が見下ろしていた。
2人から少し離れたところで
車椅子の塚本が
心配そうにその様子を窺っていた。
「さてと。
落ち着いたところで
改めて話を聞かせてもらおうか」
西岡が事務的な口調で六条に語り掛けた。
「こ、これ以上
な、何を話せと?
わ、わたしはキッチンバサミなんて
盗っていません」
六条が小さな声で
しかしはっきりとした口調で答えた。
先ほどの狂気は完全に鳴りを潜めていた。
しかし次の瞬間、
彼女の表情に突如として恐れの色が浮かんだ。
「・・ですが。
クローゼットの中に仕舞っておいた
小さな瓶がなくなっていました」
そして六条は体をブルっと震わせた。
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