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四章 神無月
十月十五日(土曜日)
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この日最後の客を送り出して、
僕はパソコンの前で一息ついていた。
いよいよ明日。
明日になればすべてが終わる。
僕はパソコンにある
R.Aという名前のフォルダを開いた。
その中の九月十八日という名前の
動画ファイルをクリックした。
映像は上半身が露になった安倍瑠璃が、
ベッドに横になっているのを
見下ろしているシーンから始まった。
そこへ若干緊張した面持ちの僕が入ってきた。
僕は彼女の顔にタオルを被せてから
ゆっくりと彼女の体に手を触れた。
施術が終わり僕がベッドから離れた。
カーテンが引かれ一人になった彼女が
起き上がった。
その時、顔を上げた彼女がこちらを見て微笑んだ。
反射的に僕は目をそらしていた。
それからすぐに僕は画面に目を戻した。
これは録画である。
彼女の視線に怯える必要はない。
それでも。
彼女の最後の視線が気になった。
まさか彼女はカメラに気付いていたのか?
時間にして一秒にも満たないほんの一瞬。
恐らく偶然カメラに視線が向いただけだ。
僕は自分にそう言い聞かせた。
計画が明日に迫って些細なことが気になった。
僕は大きく深呼吸をした。
その夜、
僕は昂る気持ちのせいでなかなか寝付けなかった。
遠足前夜の小学生のようだった。
僕はパソコンの前で一息ついていた。
いよいよ明日。
明日になればすべてが終わる。
僕はパソコンにある
R.Aという名前のフォルダを開いた。
その中の九月十八日という名前の
動画ファイルをクリックした。
映像は上半身が露になった安倍瑠璃が、
ベッドに横になっているのを
見下ろしているシーンから始まった。
そこへ若干緊張した面持ちの僕が入ってきた。
僕は彼女の顔にタオルを被せてから
ゆっくりと彼女の体に手を触れた。
施術が終わり僕がベッドから離れた。
カーテンが引かれ一人になった彼女が
起き上がった。
その時、顔を上げた彼女がこちらを見て微笑んだ。
反射的に僕は目をそらしていた。
それからすぐに僕は画面に目を戻した。
これは録画である。
彼女の視線に怯える必要はない。
それでも。
彼女の最後の視線が気になった。
まさか彼女はカメラに気付いていたのか?
時間にして一秒にも満たないほんの一瞬。
恐らく偶然カメラに視線が向いただけだ。
僕は自分にそう言い聞かせた。
計画が明日に迫って些細なことが気になった。
僕は大きく深呼吸をした。
その夜、
僕は昂る気持ちのせいでなかなか寝付けなかった。
遠足前夜の小学生のようだった。
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