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七章 知と血
第37話 凶器
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ボクと五代は座敷牢を調べてから
ふたたび茶の間に戻った。
「・・それで。
何かわかりましたか?」
茶を啜っていた政子が湯呑を置いて
興味なさそうに訊ねてきた。
ボクは「コホン」と小さく咳払いをしてから
わかったことを説明した。
秀頼と菊子は座敷牢の中で
抱き合うようにして絶命していた。
死因は失血死。
菊子は首の頸動脈を鋭利な刃物で切られていて、
秀頼の腹には刀が刺さっていた。
状況からして秀頼が菊子を斬りつけた後、
自らの腹に刀を突き立てたと考えられた。
凶器となった刀は夜霧家に伝わる家宝、
脇差『空也』であることがわかった。
「『空也』ですって・・」
「何でそんなモノが・・」
政子と富子が目を見開いた。
「五代さんに確認しましたが、
あの脇差は普段から姫子さんの部屋の
刀掛けに飾られていたそうですね」
ボクの言葉に政子と富子は
それがどうしたと言わんばかりに頷いた。
「つまり誰でも自由に
持ち出すことが可能だったわけです」
「名探偵の先生は
私達の中の誰かが持ち出した
と考えているようですね。
そして二人を殺したと。
そう仰りたいのですか?」
政子は溜息交じりに首を振った。
「はん?
凶器を持ち出せたとして
それがどうしたんだい?
座敷牢の戸には鍵が掛かってたんだろ?」
一方の富子は不敵な笑みを浮かべて
頼朝の方を睨んだ。
「と、富子、何を言ってるのですか!
あ、あなた!
何か仰って下さい!」
政子がヒステリックに叫びながら
頼朝の肩を激しく揺すった。
「いひひひひ。
何も言わないってことは
認めたってことでいいんだね?」
富子が勝ち誇ったように嘲笑った。
「あ、あなた・・」
肩を落として項垂れている頼朝を
政子はただ呆然と見つめていた。
その時、勢いよく障子戸が開かれた。
そこには「松に赤短」の模様の入った
浴衣を着た小柄で痩せ細った男が立っていた。
「姫子が死んだと連絡をもらったから
戻ってきたんじゃが、
何やら物騒なことが起きとるようじゃの」
男はそう言うと「かっかっか」と声高に笑った。
ふたたび茶の間に戻った。
「・・それで。
何かわかりましたか?」
茶を啜っていた政子が湯呑を置いて
興味なさそうに訊ねてきた。
ボクは「コホン」と小さく咳払いをしてから
わかったことを説明した。
秀頼と菊子は座敷牢の中で
抱き合うようにして絶命していた。
死因は失血死。
菊子は首の頸動脈を鋭利な刃物で切られていて、
秀頼の腹には刀が刺さっていた。
状況からして秀頼が菊子を斬りつけた後、
自らの腹に刀を突き立てたと考えられた。
凶器となった刀は夜霧家に伝わる家宝、
脇差『空也』であることがわかった。
「『空也』ですって・・」
「何でそんなモノが・・」
政子と富子が目を見開いた。
「五代さんに確認しましたが、
あの脇差は普段から姫子さんの部屋の
刀掛けに飾られていたそうですね」
ボクの言葉に政子と富子は
それがどうしたと言わんばかりに頷いた。
「つまり誰でも自由に
持ち出すことが可能だったわけです」
「名探偵の先生は
私達の中の誰かが持ち出した
と考えているようですね。
そして二人を殺したと。
そう仰りたいのですか?」
政子は溜息交じりに首を振った。
「はん?
凶器を持ち出せたとして
それがどうしたんだい?
座敷牢の戸には鍵が掛かってたんだろ?」
一方の富子は不敵な笑みを浮かべて
頼朝の方を睨んだ。
「と、富子、何を言ってるのですか!
あ、あなた!
何か仰って下さい!」
政子がヒステリックに叫びながら
頼朝の肩を激しく揺すった。
「いひひひひ。
何も言わないってことは
認めたってことでいいんだね?」
富子が勝ち誇ったように嘲笑った。
「あ、あなた・・」
肩を落として項垂れている頼朝を
政子はただ呆然と見つめていた。
その時、勢いよく障子戸が開かれた。
そこには「松に赤短」の模様の入った
浴衣を着た小柄で痩せ細った男が立っていた。
「姫子が死んだと連絡をもらったから
戻ってきたんじゃが、
何やら物騒なことが起きとるようじゃの」
男はそう言うと「かっかっか」と声高に笑った。
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