Sexwork School〜氷を溶かして〜

まる

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1限目:性感実習基礎-2 Mコース

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脳が、溶けてしまいそうだ。

始まってから何分経ったのか、もう分からない。

始めるか、と言ってから先輩は全く動いていない。声さえ出さない。ただこちらを見ている。

最初はそのまっすぐな視線に戸惑って目をそらしていたけれど、途中から絡め取られて動けなくなった。

ねぶるように、唇を見つめられるとまるで触れられているような気がしてくる。見下すような冷えたまなざしが首に降りていくと、ぞわりと背筋が震えた。

身体全体をここまでじっくりと眺められたことはない。服も脱いでいない、さっきまで授業を受けていたそのままの格好をしげしげと見つめられ、いっそ脱がせてほしいとも思う。そんなふうに考えた自分に居た堪れなくなり、顔を伏せた。

目を逸らしていても感じる視線に心がざわめき、そして段々とそれにも慣れて、どこか落ち着きを感じるようになった頃、先輩がシュッと音を立てて自分のネクタイを抜いた。なんだろう?とぼんやりしているとそのまま近づいてきて、突然視界が奪われた。目隠しをされたらしい。

後ろできつく結ばれ、頭が締め付けられる。ネクタイの生地は思ったより分厚く、見えるのは鼻近くの隙間から漏れる小さな光だけになった。

このまま触ってくれるのか、と彼の体温を探したが、見当たらない。まだ触る気はないようだった。座らされている実習用の机がやけに冷たく感じる。人1人が寝転がってもまだ余裕があり、柔らかい素材でできているそれは「机」とは名ばかりでプレイ用のベッドだ。

1組1台使えて、今先輩はベッドに乗っていないので多少体を動かしても誰にも体が触れることはない……と、そこまで考えたところで、急に心の奥がすっと冷えた。

もし、先輩が今目の前にいなかったら?少なくとも、ベッドから手を伸ばして届く範囲に彼は立っていなかった。

今、目の前にいると、どうして言えるのか?どこかに行ってしまってもわからない。

なかなか触れてもらえないのには理由があって、目隠しをしたままもう戻ってこないつもりだったら?

さっき、きちんと授業を聞いていなかったから、何かミスをしてしまった?怒らせた?

そう考え出すと止まらなかった。さっきまでの過剰なほどの視線と、何も見えない今の落差に心も身体もついてこない。恐ろしくて、怖くて、さみしくて、震え出した。

ついさっき会ったばかりの、名前しか知らない先輩なのに、あんな視線を受けて、そのままぽんと放り出されて捨てられたら、きっと自分は、きっと、

「馬鹿なのかな、芝くん」
「ぁ、っああ……っ!」

心底楽しそうに見下す声が耳元に届き、喘ぎが漏れた。ずっと欲しかった体温が、背中をすっぽりと覆っている。ただ背中側からくっつかれているだけなのに、それだけでイってしまいそうなほど身体が熱い。

頭をくらくらとさせているうちに、目隠しはそのままで、あっという間に下着以外の服を全て剥ぎ取られてしまった。最初は前にいた先輩がいつの間にか後ろに回って、また前に来て今度は服を剥ぎ取って。さっきまでのじれったさから突然テンポを早められ、ちっとも心が慣れていかない。ただ翻弄されるばかりだった。

先輩の細くて長い指先が、腹をスッと撫でる。触れるか触れないか、ギリギリのところを繰り返し、下から上へと撫で上げていく。下腹部からみぞおちへ、横腹から脇へ、敏感な部分を何度も刺激される。少しでもピクリと反応した部分は執拗に責められ、背をしならせるまで虐められる。

ぁ、と反応すればするほど楽しそうな冷笑が聞こえてきて、抑えたいのだが身体が言うことを聞いてくれない。視界が遮られていることで余計に感覚が鋭くなり、息は上がって全身にしっとりと汗をかいていた。

「せんぱい…もう、目のやつとって、ください……」

そうお願いした次の瞬間、鋭く甘い快楽が胸から腰に走った。

「んあぁっ……!っはぁ…っ」

ずっと触れられていなかった乳首をつねられたのだ、と気づいた時には、大きな喘ぎ声を出していた。

一度強くつねってから、軽くつまんでこりこりとひねられ、恥ずかしい声が止まらない。腰も物欲しげに揺らして、先輩に擦り付けようとしてしまう。

「何やってるの?俺の腰でオナニーでもする気?」

ブンブンと首を振るが、腰が止められない状態では説得力も何もない。先輩がまた、ふっと冷たく笑って、

ギチ、と乳首を目一杯に噛んだ。

「っあ゛、あ゛」

目の前が真っ赤に染まる。汚い声が止められない。痛くて、痛くて、涙が滲んで、なのに、どうしようもなく腰が疼く。どう考えても痛いのに、どうやったって辛いはずなのに、脳みそが沸騰しそうな快感を伝えてきて、

コース、やっぱMコースで変えなくていいやって、痛みの中で笑った。
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