TS転生少女は性の悦びを堪能する 【R18】

椎茸大使

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そういや俺救護班的なやつでもあったね

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騒ぐような雰囲気じゃないし、なんだったら発言するのすら躊躇うような重い空気だけど、あえて無視していくスタイル。

「おかえり。帰って来て早々ではあるが、まずは怪我人だな。救護用テントがあるからそこに来てもらおうか。歩けないという者がいたら誰かに手を貸してもらってくれ。それと今から風呂を沸かさせるから順次入るように。汚れたまま歩かれるのは我慢ならんからな」

一瞬忘れてたけど、俺救護班的なのもやってたよね。
ってなわけでそれ用のテントにて治療にあたる事にする。
それと風呂に関しては怪我人いるのに汚れたままってのも衛生的に良くないし、何よりせっかく美味しく作れた料理が台無しになるじゃないか。
だから風呂に入ってもらう。
これ決定事項だから。

「ほらほら、ぼさっとしないで。手動かして、体動かして」
「あ、はい」
「お、おう…」

サポート班が動き出したのを確認してから討伐隊と共に救急用のテントに向かう。

「それで、何があった?  ただのマッドラット相手にそんな雰囲気になるとは思えないからな」

その道すがらに何があったかを一応聞いておく。
全部の場所を見ていたわけじゃないし、こういうのはちゃんと聞いておいた方がいいと思うので。
で、聞き出したところ、どうやら他の場所でも進化する個体がいたり、すでに進化していた個体が出て来たりしたらしい。
後、中に突入した連中は連中で出産能力に特化した進化をしたマッドラット……便宜上マザーラットとでも呼んでおこうかな。
マザーラットと無数のマッドラットと戦ったらしい。
マザーラット自体はそんなに強くはなかったけどやはり数が厄介で、その上大型化した個体や亜種なんかもゴロゴロいたそうだ。
そして被害だが、死者こそ出てはいないが、手足を折られた人、体を齧られた人、体を齧られた人、齧られた人、齧られた人……って齧られすぎじゃない!?
まあ、出産能力に特化した進化なんてしてたらそりゃ餌も足りなくなるよね。

しかし、ネズミか……。
杞憂で済めばいいんだけど……うーん。
ちょっと怖いなぁ。
後で組合の人に相談した方がいいかもしれないけど、どこまで信じてもらえるかなぁ。
この世界って、ネズミが疫病の感染源になることがあるって言って通じるんだろうか?

「よし、着いたな。ではまず重症な者から順番に治していくぞ」
「「「はい!」」」

疫病の事も気になるけど、今はとりあえず目の前の人の治療に専念しないとね。
軽症の人達にはその場で待っていてもらう。

「で、君はどうしたんだ?」
「俺はこんな感じで……。マッドラットに食われて、それで急いでポーションをぶっ掛けたんだが、凹んだままでな」
「これはまた酷いな……」

脇腹が抉られて、それをポーションで無理やり表面を治したみたいな感じで変にくびれている。
というか腎臓が1つないです。
なので、まずは表面の皮を削いで腎臓を再生しつつ治していく。
というか、大丈夫かな?
やり過ぎてないかな?
部位欠損の治療って目立つ気がするけど……まあ、本人もそこまで深刻だと思ってないだろうし、精々、無理やり塞いだ杜撰な治療を改めてやり直すみたいに思っている事だろう。

「ほら、終わったぞ」
「すげーな……完全に元に戻ってる……(ただのエロガキじゃなかったんだな……)」
「お前がどういう認識をしているのか理解したが、それはいい。それよりも、次のやつを呼んでくれ。後がつっかえてるんだ」
「お、おう……(やべ、聞こえてたよ)」

全く……俺だってただのエロガキでいたいよ。
でも周りがそうさせてくれないんだよ。
なんだってこんなロリっ子にサポート班のリーダーなんて任せるんだか……。

「で、君はどこが……って、聞くまでもないか。その腕以外にどこか怪我してるところはある?」
「いや、ない」
「分かった。それじゃあ、痛いかもしれないから我慢しろよ?」

まあ、骨折だね。
なのであらぬ方向を向いていた腕を正しい位置にしてから回復魔法で治療を施す。
実を言うと、砕けた骨の破片が筋肉とかを引き裂いていたりしたんだけど、そこは空間支配でパズルみたいにはめ合わせておいた。
というか、こういう複雑なのを自分のところに配して他の子達には普通に回復魔法をかければなんとかなる人達をあてがってるんだよね。
流石に荷が重すぎるだろうし。

「次は……流石に無理だな」
「ああ、分かってる……」

右足のふくらはぎあたりから先が無くなっている。
目に見える形での部位欠損。
目に見えなければなんとか誤魔化せるんだけど、流石にこれは治せない。

「とりあえず表面だけは塞いでおく。後で高位の治癒師に頼むなり、部位欠損も治せるポーションを使うなりしてくれ」
「……ああ」

引導を渡してるようなものだな。
高位の治癒師なり、部位欠損も治せるポーションなりって、そんなの高額になるに決まってる。
それを閉所だったり乱戦だったりしたとはいえ、マッドラット程度にこんな怪我をさせられた冒険者が払えるはずがない。

「ま、仲間と相談しな。これからどうするかをさ」
「分かってるさ……」
「ちょっと待ってな」
「……?」

外に出て木を一本伐採し、魔法で乾燥させて削り出していく。
なんかギャラリーが集まってきてるけど今は無視無視。
本当はスプリングを仕込むなりして衝撃吸収とかできるようにしたりしたいんだけど、そんな時間も素材もないので、見た目を似せて足首が前後に動く程度のギミックに留めた義足を作る。

「戻ったぞ。流石に戦闘は無理だろうけど、歩くくらいならこれでなんとかなるだろう」
「そんな、これって……うっ、うぅ……本当に、ありがとう……」
「大袈裟だなぁ。そんな泣く事じゃないだろ」
「だって俺、これからどうしたらいいかって……戦うしか能がないのに、戦えなくなって……でも、こんなに優しくされて……それで……」
「戦えないからって死ぬわけじゃなし。それに、働いて、金稼いで、足治せばまた冒険者をできるんだから悲嘆に暮れてる暇なんてないって」
「ああ……そうだな。俺、頑張るよ」
「その意気だ」

と、足の人はなんとかなったけど、こっちはねぇ……。
どうしたものか。
この人も、治すってわけにはいかないし、かと言って治療が必要な場所が場所だけにさっきみたいに励ませばどうにかなるってものでも無いのがなぁ……。
ぶっちゃけ周りのフォローが無ければこの世界では生きていけないだろ。

「あんたも、現状じゃどうしようもないな」
「……分かってるさ。もう俺の人生、お先真っ暗だよ……」

……それは、目が見えない事とかけてるのかな?
意外と余裕あんのかな?

「ま、とはいえ何もしませんってわけにもいかないし、これあげるよ。まあ、治療費の足しにはなるだろ」

お金を袋に詰めて渡す。
現ナマとは実に生々しいが、これくらいしか出せるものがない。
舗装されてないどころか完全剥き出しの地面じゃ杖作っても大して役に立たないだろうし、というか杖にするだけならそこらの木の枝を使えばいいだけだし。
ああ、それともう1つ出来ることあったな。

「そういえばそんな状態じゃ風呂に入るのもままならないよな?」
「え、あ、まあ、そうですね……何も見えませんし……」
「見た感じかなり汚れてるのに風呂に入れないのも可哀想だ。だから、俺が手伝ってやるよ。ま、流石にリーダー会議とか終わってからになるから少し待たせることになるけどさ」
「うえぇっ!?」
「ちょっ、おまっ!?」
「リーダー!?」
「何を慌てている?  こんな状態じゃ誰かが手伝うしかないだろ。それに、どうせ見えないんだ。何を気にする必要がある?」
「え、あ、確かに……」
「ま、そういうわけだ」
「あ、ありがとう……助かる」

少しは明るい表情になったな。
命があるんだ。
なら、前を向いて生きて欲しいからな。
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