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夜中にこっそりと
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これまでの体たらくを見て夜の娼婦営業はやめた方が進言した所、やはり討伐隊の人達も目に余ると思っていたようですんなりと受けいられた。
まあ、若干名が嘘だろぉぉぉぉ! と頭を抱えながら叫んでいたけど。
そんなにこの体が気に入ったのかね?
確かに超絶美少女だし、中の具合も聞いた感じ極上のものらしいし残念だと思うのも仕方ないのかもしれないね。
とはいえ既に決定したのだから諦めてもらうしかないな。
「さて、そろそろいいかな…」
3人が寝静まった頃を見計らってこっそりと起き出し、そのまま亜空収納の中へ。
やる事はもちろんえっち……ではない。
いや、それはそれで大変魅力的だけど今回はそれ目的ではない。
『ラン、誰か来た時のために代わりに寝ててくれ』
『おっけー』
『リンは相手頼むよ』
『まかせて』
実はこれはずっと考えていた事。
俺の力は所詮貰い物でしかなくて、いつ無くなるかも分からない物だ。
例えば、転生担当した自称神様がチートをくれたけど、それは実はやっちゃだめな事で上司とかに叱られて力を取り上げるとかあるかもしれない。
それが無くても、スキル封じのダンジョンとかあるかもしれない。
貰い物の力しかない俺ではそうなった時に何も出来なくなってしまう。
だから、もしもそうなった時にちゃんと動ける様に訓練がしたいと思っていた。
何もない亜空収納内でリンと向かい合う。
ステータスは同じ。
ただ、俺は弱くてコンティニューの効果で戦闘に関するスキルは全て0の状態だ。
どうやら分身は作成時のステータスが参照されるようで、後から変化したとしても分身の方に影響は及ばないらしい。
「しかしあれだな……スキル全部封じた途端何をどうすればいいのかまるで分からなくなるの怖いな……」
「そうなんだ」
「もしかしたら俺自身にスキルを身につけて鍛えていく過程が無いからそうなってるのかもしれないけどな」
「あー、それは可能性としてはあるかもね。それでどうする?」
「まずは素手かな。何もない状態で武器を使うのは怖いしね」
「おっけー。こっちはいつでもいいよ」
よし、いくぞ。
駆け出して、リンの前で止まり、拳を突き出す。
イメージの中では完璧な正拳突き。
「全然だめ。体幹も悪いし腕だけで殴ってる。そんなんじゃろくなダメージを与えられないどころか逆に体痛めるよ」
「ぐあっ!」
腕を取られて合気の要領で後ろへと転ばされてしまう。
「くっそー。イメージの中では完璧なんだけどなぁ……」
「所詮はイメージだからねぇ。そんなんで出来たら誰も苦労しないって。それよりもほら、続き続き」
「ああ!」
蹴り。
踏ん張れなくて防がれたらそのままバランスを崩して転びそうになるし、技と技の繋ぎもぎこちない。
そしてその繋ぎ目は隙となりリンに突かれていく。
5分くらいだろうか?
リンへと果敢に攻めて行ったが、あしらわれ、蹴散らされ、結局一撃も入れることは出来なかった。
「ああ~……全然だめだ~」
「うん。大体わかったよ。上手く出来ないのは自分のスペックを理解出来てないのが1番の原因かな。自分の身体はどこからどこまで動くのか、どこまで届くのか、どう動かしたら効率がいいのか。重心の位置はどこなのか。その辺を理解出来てない。これまではスキルのおかげでなんとなく出来てたんだろうね」
「あー、まあ、そもそもこの身体自体自分の物じゃなかったからね……理解出来てないのが当然か」
「そうだね」
「で、これからどうしたらいいと思う?」
「んー、まずは自分の身体がどこまで届くのかを理解するのが一番じゃないかな? 目測が誤れば威力が出ないどころか身体を傷める事になるし」
「なるほど。じゃ、早速やっていくか」
まずは柔軟性の確認。
すんごかった。
分かっていたけど、分かった気でいただけなのかもしれない。
長座体前屈だっけ?
座った状態で体を倒すやつ。
あれがもうベターって感じで顔が足につく。
Y字バランス……のつもりでいたけど全然余裕でI字バランスも普通に出来た。
「うわ……えろっ……」
「リン……どこ見てんのさ」
「どこって、パンツ? ぷりっとした尻肉とそこから繋がるうっすらと浮かぶ筋が大変眼福です」
「さよけ……」
こっちはそんなつもり無かったのに、全くリンはどこでも発情しやがって……。
これ以上はブーメランになるから考えないけどさ。
自分の身体がものすごく柔軟性に富んでいるという事は分かったが、まだまだ理解したとは言い難い。
まだ体感した段階で実感したとまではいかないからね。
「ふっ! やっ! はぁっ!」
ハイキックを中心にどこまで攻撃出来るのかを実際に体を動かして、覚えこませていく。
脚を上げる度にリンからの熱い視線が身体の一部というか、恥部に向かっているのを感じるが、無視してひたすらに繰り返していく。
「まだバランスが悪いねぇ。それじゃあ蹴った反動で転ぶよ? 身体の確認も大事だけど、一回一回を大事にしてどうすればしっかりと蹴れるのか、威力を出す事が出来るのか、バランスを崩さずに済むのか、その辺も意識しないと」
「確かに……」
さっきも危なかったしねぇ。
それに闇雲に脚を振り回すよりもしっかりと意識した方がいいのは間違いない。
というわけで早速、一回一回しっかりと蹴り、その度にどこが良いのか、悪いのかを考える。
リンにも遠慮なく意見を言ってもらってその都度修正していく。
もちろん、自身の身体の理解も進めていく。
まだまだ完全にとは言い難いけど、届く距離、届く高さをなんとなくではあるが把握出来るようになったが、その頃には大分時間が経っていた。
「って、そういえば今何時だ!?」
「いや、時計なんかないから分かるわけないだろ」
「それはそうなんだけど、明日は大事な……いや、もう今日なんだけど、大事な日なのは知ってるだろ!?」
「そのためにランが代わりをしてるんじゃないか。それに、そう思うならさっさとクールダウンして、体を綺麗にして寝た方がいいんじゃないか?」
「そ、そうだな。悪い、リン。助かった」
「ま、気持ちは分かるからねぇ」
軽く柔軟……って良くないんだっけ? あれ? どうだっけ?
日本にいた時にアニメでそんな感じのことやってた気がするけど、どうなんだろ?
まあ、いいや。
軽く解した後汗を拭う。
ここに居るのはリンだけだし周りを気にする必要もないから一旦服全部脱いじゃえ。
ふぅ。
やっぱり服脱ぐと爽快感あるなぁ。
濡らした手拭いで汗を拭っている間もリンからの視線を感じる。
リンもしかして結構溜まってる?
いや、この身体なら誰もがそうなるのも仕方ないし、気にしないでおこう。
「ぷぁっ……それじゃあ俺は明日に備えて寝るけど、睡眠の邪魔さえしなければ自由にしてていいから。というわけで、おやすみ」
おっと、でもその前に弱くてコンティニューの設定を戻しておかないとな。
……これでよし。
さて、寝るとしますか。
明日はちゃんと見送りしたいしね。
まあ、若干名が嘘だろぉぉぉぉ! と頭を抱えながら叫んでいたけど。
そんなにこの体が気に入ったのかね?
確かに超絶美少女だし、中の具合も聞いた感じ極上のものらしいし残念だと思うのも仕方ないのかもしれないね。
とはいえ既に決定したのだから諦めてもらうしかないな。
「さて、そろそろいいかな…」
3人が寝静まった頃を見計らってこっそりと起き出し、そのまま亜空収納の中へ。
やる事はもちろんえっち……ではない。
いや、それはそれで大変魅力的だけど今回はそれ目的ではない。
『ラン、誰か来た時のために代わりに寝ててくれ』
『おっけー』
『リンは相手頼むよ』
『まかせて』
実はこれはずっと考えていた事。
俺の力は所詮貰い物でしかなくて、いつ無くなるかも分からない物だ。
例えば、転生担当した自称神様がチートをくれたけど、それは実はやっちゃだめな事で上司とかに叱られて力を取り上げるとかあるかもしれない。
それが無くても、スキル封じのダンジョンとかあるかもしれない。
貰い物の力しかない俺ではそうなった時に何も出来なくなってしまう。
だから、もしもそうなった時にちゃんと動ける様に訓練がしたいと思っていた。
何もない亜空収納内でリンと向かい合う。
ステータスは同じ。
ただ、俺は弱くてコンティニューの効果で戦闘に関するスキルは全て0の状態だ。
どうやら分身は作成時のステータスが参照されるようで、後から変化したとしても分身の方に影響は及ばないらしい。
「しかしあれだな……スキル全部封じた途端何をどうすればいいのかまるで分からなくなるの怖いな……」
「そうなんだ」
「もしかしたら俺自身にスキルを身につけて鍛えていく過程が無いからそうなってるのかもしれないけどな」
「あー、それは可能性としてはあるかもね。それでどうする?」
「まずは素手かな。何もない状態で武器を使うのは怖いしね」
「おっけー。こっちはいつでもいいよ」
よし、いくぞ。
駆け出して、リンの前で止まり、拳を突き出す。
イメージの中では完璧な正拳突き。
「全然だめ。体幹も悪いし腕だけで殴ってる。そんなんじゃろくなダメージを与えられないどころか逆に体痛めるよ」
「ぐあっ!」
腕を取られて合気の要領で後ろへと転ばされてしまう。
「くっそー。イメージの中では完璧なんだけどなぁ……」
「所詮はイメージだからねぇ。そんなんで出来たら誰も苦労しないって。それよりもほら、続き続き」
「ああ!」
蹴り。
踏ん張れなくて防がれたらそのままバランスを崩して転びそうになるし、技と技の繋ぎもぎこちない。
そしてその繋ぎ目は隙となりリンに突かれていく。
5分くらいだろうか?
リンへと果敢に攻めて行ったが、あしらわれ、蹴散らされ、結局一撃も入れることは出来なかった。
「ああ~……全然だめだ~」
「うん。大体わかったよ。上手く出来ないのは自分のスペックを理解出来てないのが1番の原因かな。自分の身体はどこからどこまで動くのか、どこまで届くのか、どう動かしたら効率がいいのか。重心の位置はどこなのか。その辺を理解出来てない。これまではスキルのおかげでなんとなく出来てたんだろうね」
「あー、まあ、そもそもこの身体自体自分の物じゃなかったからね……理解出来てないのが当然か」
「そうだね」
「で、これからどうしたらいいと思う?」
「んー、まずは自分の身体がどこまで届くのかを理解するのが一番じゃないかな? 目測が誤れば威力が出ないどころか身体を傷める事になるし」
「なるほど。じゃ、早速やっていくか」
まずは柔軟性の確認。
すんごかった。
分かっていたけど、分かった気でいただけなのかもしれない。
長座体前屈だっけ?
座った状態で体を倒すやつ。
あれがもうベターって感じで顔が足につく。
Y字バランス……のつもりでいたけど全然余裕でI字バランスも普通に出来た。
「うわ……えろっ……」
「リン……どこ見てんのさ」
「どこって、パンツ? ぷりっとした尻肉とそこから繋がるうっすらと浮かぶ筋が大変眼福です」
「さよけ……」
こっちはそんなつもり無かったのに、全くリンはどこでも発情しやがって……。
これ以上はブーメランになるから考えないけどさ。
自分の身体がものすごく柔軟性に富んでいるという事は分かったが、まだまだ理解したとは言い難い。
まだ体感した段階で実感したとまではいかないからね。
「ふっ! やっ! はぁっ!」
ハイキックを中心にどこまで攻撃出来るのかを実際に体を動かして、覚えこませていく。
脚を上げる度にリンからの熱い視線が身体の一部というか、恥部に向かっているのを感じるが、無視してひたすらに繰り返していく。
「まだバランスが悪いねぇ。それじゃあ蹴った反動で転ぶよ? 身体の確認も大事だけど、一回一回を大事にしてどうすればしっかりと蹴れるのか、威力を出す事が出来るのか、バランスを崩さずに済むのか、その辺も意識しないと」
「確かに……」
さっきも危なかったしねぇ。
それに闇雲に脚を振り回すよりもしっかりと意識した方がいいのは間違いない。
というわけで早速、一回一回しっかりと蹴り、その度にどこが良いのか、悪いのかを考える。
リンにも遠慮なく意見を言ってもらってその都度修正していく。
もちろん、自身の身体の理解も進めていく。
まだまだ完全にとは言い難いけど、届く距離、届く高さをなんとなくではあるが把握出来るようになったが、その頃には大分時間が経っていた。
「って、そういえば今何時だ!?」
「いや、時計なんかないから分かるわけないだろ」
「それはそうなんだけど、明日は大事な……いや、もう今日なんだけど、大事な日なのは知ってるだろ!?」
「そのためにランが代わりをしてるんじゃないか。それに、そう思うならさっさとクールダウンして、体を綺麗にして寝た方がいいんじゃないか?」
「そ、そうだな。悪い、リン。助かった」
「ま、気持ちは分かるからねぇ」
軽く柔軟……って良くないんだっけ? あれ? どうだっけ?
日本にいた時にアニメでそんな感じのことやってた気がするけど、どうなんだろ?
まあ、いいや。
軽く解した後汗を拭う。
ここに居るのはリンだけだし周りを気にする必要もないから一旦服全部脱いじゃえ。
ふぅ。
やっぱり服脱ぐと爽快感あるなぁ。
濡らした手拭いで汗を拭っている間もリンからの視線を感じる。
リンもしかして結構溜まってる?
いや、この身体なら誰もがそうなるのも仕方ないし、気にしないでおこう。
「ぷぁっ……それじゃあ俺は明日に備えて寝るけど、睡眠の邪魔さえしなければ自由にしてていいから。というわけで、おやすみ」
おっと、でもその前に弱くてコンティニューの設定を戻しておかないとな。
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