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仕事はしてても暇です
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~ハイネ視点~
百合が花を摘みに行ってからなんか様子がおかしい。
戻ってくるのが少し遅い気がしたけど、ちょっとだけ遠くまで行ったのかなとその時は思ったものの、何があった?
しきりに、「私は普通のはず……私はおかしくない……」と呟いたかと思えば、突然顔を真っ赤にして頭を振り乱したりしてる。
どう考えても変。
「百合大丈夫?」
「分かんない。私も気になってたんだよね。んー、ちょっと聞いてみるね」
「任せた」
ルセアちゃんも百合の様子が気になっていたようなので、私が代表して聞いてみる事にする。
「さっきからどしたの?」
「え、いや……ね、ねぇ、ハイネ。この世界ってさ、ハイネみたいなのが普通なの……?」
「え? 何が?」
「その、さっきトイレに行った際に、何人かの女性冒険者が、魔物相手に、せ、性欲処理を……してて、そういうのって、この世界では普通なのかなって……?」
「え、あー……」
ヤってる所見ちゃったのか。
百合ならこんな感じになるのも仕方ないか。
慣れれば気にしなくなるだろうけど、まだ無理か~。
こっそり指の隙間から見てるのは知ってるけど。
「ウサギ狩りしてたのか……。なるほど、それで」
「ウサギ? いや、相手はマッドラットだったんだけど……」
「そういう事じゃなくて、ウサギ狩りってのは女性冒険者における隠語かな。用を足すときは花を摘むとか言うでしょ? それと似た感じでウサギ狩りって言ってるの。普通にラビット系の魔物を狩りに行く時はラビット狩り、えっちする時はウサギ狩りって使い分けてる感じかな~」
「あー、そういう意味ね……。そして、隠語が普通に使われる程度にはよくある事、と」
「そうだねー。ちなみに、ウサギ狩りって言う理由は弱い魔物で扱いやすく、それでいて絶倫だから遊ぶ相手としてよく選ばれるかららしいよ」
「いや、その情報いらないから……。でもそっか……普通なのか……」
「珍しくはないってだけで、全員がしているわけじゃないよ。ま、無理せず慣れてこ」
「あ、うん。そうね……」
まあ、手っ取り早いのはレンちゃんと経験する事だけどねぇ。
「と、そんな感じらしいよ」
「なるほど。私達は第二陣だけど、第一陣はそれなりの期間だし、溜まってる人もいるんだろうね」
「だろうねぇ」
「……あ」
「どうしたの?」
「いや、その、レンも、溜まってるんじゃないかなって……」
「え? いやいや、毎晩楽しんでるよね?」
「精神的にじゃなくて、物理的に。レン、しばらく出さないでいると、物凄く粘っこくて塊状のものを出すから……」
「……それ本当? というか、どのくらい?」
「妊婦くらいにお腹が膨れてても一切出てこないくらい」
「うーわー……こりゃ後が大変そうだ」
「本当に……」
なんか、自然に相手する前提で言っちゃったな。
自分の中ではまだ未確定のはずなんだけど……うーん?
まだ恋をした事ないからこの感情が恋愛感情なのかどうか……まあ、そのうち分かるはずだし、今は仕事に集中しよう。
休憩も終わり、再びの巣穴捜索。
適度に気を張りつつ、適度に気を抜いて、疲れないようにしながら探すがなかなか見つからない。
まあ、午前中の時点でいくつか潰してるし、たくさんの通り道があると混乱するからそこまで多くないって可能性もあるから見つからなくてもおかしくはないんだけど、どうなんだろうね?
単純に無いのか見落としてるのか……あ。
「敵襲! 左からゴブリン! 数は5!」
私よりも先に他の人が報告し、それを聞いた事で即座に全員が警戒体制へ。
とはいえ、所詮はゴブリン。
奇襲される前に察知できた以上遅れをとるはずもなくあっさりと殲滅させられる。
……また出番なかった。
ん~悔しいー!
来てからずっとこれだよ!
そりゃ隊列を乱すのは良くないってのは分かるけどさ、こうまで何もできないでいると何しに来てるんだろう? ってなるんだよ!
あーもー!
何でもいいから仕事させろー!
◇
結局今日は何もできなかった……。
途中で2つ追加で通り道を潰し、その近くにある大きな穴の位置を把握することになったけど、それも私は特に関わることはなく、ただ周りを見てることしかできなかった。
見張は大事な仕事……でも消化不良なのは変わらない。
「皆、聞いてくれ。さっきの会議で正式に明日巣の殲滅をする事が決定した。そして今日持ち込まれた情報から作戦を立てた。といってもそう複雑な物ではない。今日の組分けをベースに見つけた大穴全てに部隊を配置して退路を断った後、精鋭部隊が巣を襲撃。おそらく精鋭部隊の襲撃によって大穴から逃げ出そうとするからそこを迎え撃ち、殲滅する。通り道全てを潰せていない可能性もあるだろうが、それは無視して構わない」
ここで様子を見る代表者。
理解出来てるかどうかを見てるのだろう。
まあ、私のする事は多分大穴を塞いで迎撃するって事になるだろうし、それだって割と後方で漏れ出たのを倒すって所だろうな。
「よし、全員理解しているようだな。それとは別に通達事項だ。本日の夜の奉仕は無しとなった」
「「「ええええええええ!!」」」
「えーじゃない! 今朝の腑抜け具合を考えろ! 明日万全の状態にするために禁止に決まってるだろ! 詳しい班分けは明日改めて通達する! 以上、解散!」
あー、まあ、あの様子ならなぁ。
レンちゃん……じゃなかった。
ランの方だったか。
随分と搾り取ったもんだ。
「ただいま~」
「おかえり」
「ついに明日なんだね~」
「そうだね。まあ、俺は相変わらずここでちまちまと雑用係なんだけどねぇ……心配するしか出来ない事の歯痒さよ……」
「まあ、どうせ私達はそんな危険な事は無いでしょうけどね。ランク低いし」
「そうかもだけど……あー、心配だー!」
ふふっ。
なんか、ここまで心配されるのは少々こそばゆいけど、嬉しいもんだね。
「大丈夫だって。いざとなったら私が2人を守るからさ」
「……心配なのはハイネちゃんもだからね。むしろ、前衛だからこそハイネちゃんの方が心配なんだから、本当に無茶はしないでね」
「……うん。分かった」
3人無事に、帰ってこないとね。
百合が花を摘みに行ってからなんか様子がおかしい。
戻ってくるのが少し遅い気がしたけど、ちょっとだけ遠くまで行ったのかなとその時は思ったものの、何があった?
しきりに、「私は普通のはず……私はおかしくない……」と呟いたかと思えば、突然顔を真っ赤にして頭を振り乱したりしてる。
どう考えても変。
「百合大丈夫?」
「分かんない。私も気になってたんだよね。んー、ちょっと聞いてみるね」
「任せた」
ルセアちゃんも百合の様子が気になっていたようなので、私が代表して聞いてみる事にする。
「さっきからどしたの?」
「え、いや……ね、ねぇ、ハイネ。この世界ってさ、ハイネみたいなのが普通なの……?」
「え? 何が?」
「その、さっきトイレに行った際に、何人かの女性冒険者が、魔物相手に、せ、性欲処理を……してて、そういうのって、この世界では普通なのかなって……?」
「え、あー……」
ヤってる所見ちゃったのか。
百合ならこんな感じになるのも仕方ないか。
慣れれば気にしなくなるだろうけど、まだ無理か~。
こっそり指の隙間から見てるのは知ってるけど。
「ウサギ狩りしてたのか……。なるほど、それで」
「ウサギ? いや、相手はマッドラットだったんだけど……」
「そういう事じゃなくて、ウサギ狩りってのは女性冒険者における隠語かな。用を足すときは花を摘むとか言うでしょ? それと似た感じでウサギ狩りって言ってるの。普通にラビット系の魔物を狩りに行く時はラビット狩り、えっちする時はウサギ狩りって使い分けてる感じかな~」
「あー、そういう意味ね……。そして、隠語が普通に使われる程度にはよくある事、と」
「そうだねー。ちなみに、ウサギ狩りって言う理由は弱い魔物で扱いやすく、それでいて絶倫だから遊ぶ相手としてよく選ばれるかららしいよ」
「いや、その情報いらないから……。でもそっか……普通なのか……」
「珍しくはないってだけで、全員がしているわけじゃないよ。ま、無理せず慣れてこ」
「あ、うん。そうね……」
まあ、手っ取り早いのはレンちゃんと経験する事だけどねぇ。
「と、そんな感じらしいよ」
「なるほど。私達は第二陣だけど、第一陣はそれなりの期間だし、溜まってる人もいるんだろうね」
「だろうねぇ」
「……あ」
「どうしたの?」
「いや、その、レンも、溜まってるんじゃないかなって……」
「え? いやいや、毎晩楽しんでるよね?」
「精神的にじゃなくて、物理的に。レン、しばらく出さないでいると、物凄く粘っこくて塊状のものを出すから……」
「……それ本当? というか、どのくらい?」
「妊婦くらいにお腹が膨れてても一切出てこないくらい」
「うーわー……こりゃ後が大変そうだ」
「本当に……」
なんか、自然に相手する前提で言っちゃったな。
自分の中ではまだ未確定のはずなんだけど……うーん?
まだ恋をした事ないからこの感情が恋愛感情なのかどうか……まあ、そのうち分かるはずだし、今は仕事に集中しよう。
休憩も終わり、再びの巣穴捜索。
適度に気を張りつつ、適度に気を抜いて、疲れないようにしながら探すがなかなか見つからない。
まあ、午前中の時点でいくつか潰してるし、たくさんの通り道があると混乱するからそこまで多くないって可能性もあるから見つからなくてもおかしくはないんだけど、どうなんだろうね?
単純に無いのか見落としてるのか……あ。
「敵襲! 左からゴブリン! 数は5!」
私よりも先に他の人が報告し、それを聞いた事で即座に全員が警戒体制へ。
とはいえ、所詮はゴブリン。
奇襲される前に察知できた以上遅れをとるはずもなくあっさりと殲滅させられる。
……また出番なかった。
ん~悔しいー!
来てからずっとこれだよ!
そりゃ隊列を乱すのは良くないってのは分かるけどさ、こうまで何もできないでいると何しに来てるんだろう? ってなるんだよ!
あーもー!
何でもいいから仕事させろー!
◇
結局今日は何もできなかった……。
途中で2つ追加で通り道を潰し、その近くにある大きな穴の位置を把握することになったけど、それも私は特に関わることはなく、ただ周りを見てることしかできなかった。
見張は大事な仕事……でも消化不良なのは変わらない。
「皆、聞いてくれ。さっきの会議で正式に明日巣の殲滅をする事が決定した。そして今日持ち込まれた情報から作戦を立てた。といってもそう複雑な物ではない。今日の組分けをベースに見つけた大穴全てに部隊を配置して退路を断った後、精鋭部隊が巣を襲撃。おそらく精鋭部隊の襲撃によって大穴から逃げ出そうとするからそこを迎え撃ち、殲滅する。通り道全てを潰せていない可能性もあるだろうが、それは無視して構わない」
ここで様子を見る代表者。
理解出来てるかどうかを見てるのだろう。
まあ、私のする事は多分大穴を塞いで迎撃するって事になるだろうし、それだって割と後方で漏れ出たのを倒すって所だろうな。
「よし、全員理解しているようだな。それとは別に通達事項だ。本日の夜の奉仕は無しとなった」
「「「ええええええええ!!」」」
「えーじゃない! 今朝の腑抜け具合を考えろ! 明日万全の状態にするために禁止に決まってるだろ! 詳しい班分けは明日改めて通達する! 以上、解散!」
あー、まあ、あの様子ならなぁ。
レンちゃん……じゃなかった。
ランの方だったか。
随分と搾り取ったもんだ。
「ただいま~」
「おかえり」
「ついに明日なんだね~」
「そうだね。まあ、俺は相変わらずここでちまちまと雑用係なんだけどねぇ……心配するしか出来ない事の歯痒さよ……」
「まあ、どうせ私達はそんな危険な事は無いでしょうけどね。ランク低いし」
「そうかもだけど……あー、心配だー!」
ふふっ。
なんか、ここまで心配されるのは少々こそばゆいけど、嬉しいもんだね。
「大丈夫だって。いざとなったら私が2人を守るからさ」
「……心配なのはハイネちゃんもだからね。むしろ、前衛だからこそハイネちゃんの方が心配なんだから、本当に無茶はしないでね」
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