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行動開始……といっても裏方です

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今ある依頼をストップしての緊急依頼として人を集めているみたいで、組合の中は騒がしくなっている。
緊急性自体は高いものの、相手がマッドラットという事もあってランク問わずという扱いみたい。
しかしこれは……ちょっと見通しが甘かったかも。
時間との勝負だしそんなに人を集められないだろうと50人で考えていたけど、100人近くいないかこれ?
ま、まあ、それだけ事態の収束に使える人員が多いって事だし時間も半分くらいでいけるよね?
いけると信じよう。

話し合いをしていた支部長達が姿を表し、そのまま指揮を取って今いる人員を5つに分けていく。
そうこうしているうちに食材等の準備が整ったと報告が来た。
予算自体はたくさん貰えたらしく、まずは50人分。
そして早期解決の為に追加で人員募集して第二陣を2日後に派遣する予定らしく、その時に更に補給するとか。
結構、お金あるんだなぁ。

「レン。この者達がお前の下につく。上手く使ってくれ」
「まだガキじゃないか!?」
「うるさい。黙れ。支部長の決定だ。文句言うな」
「なっ……!?」
「まあまあ。彼女は本当に優秀だから。あなたはハーピィの時は外出禁止だったから知らないでしょうけど、手際は鮮やかだったし回復魔法の技量も確かなものだったわ」
「さて、では改めて自己紹介を。俺の名はレン。今回の事態に際してサポート班のトップを任された者だ。異論がある者もいるだろうが、すでに決定した事だ。時間もないのでここは素直に従ってもらうぞ」

一応威厳のありそうな言い方をしているが、果たしてどれだけ効果があるのやら。

「知っている者もいるかもしれないが、今回は異常発生しているマッドラットの討伐だ。細かな事は追って連絡があるかもしれないが、我々サポート班のやる事にそう影響はないだろう。事態解決の為に尽力を尽くしてほしい。よろしく頼む」

出発までまだ少し時間があるみたいだったので、サポート班を調理班と拠点の設営班、そして拠点の防衛班に分ける。
設営班は拠点が出来上がったら雑用班になる予定。
回復魔法が使える人は俺の下についてもらって基本は俺と一緒に各班の手伝いをしてもらって、治療が必要な時にはそっちを優先する形になるかな。

「色々と粗はあるだろうが、まずは一日これで回して問題点があれば後で修正していく」

ぶっちゃけ何が得意かとか、性格の相性とか他にも色々分からない事だらけだからねぇ。
粗があるのは仕方ない。

そうこうしている内に準備が整ったようで、出発の時間となった。
組合の馬車に物資を載せ、余ったスペースに人が……といきたいが流石に全員が乗れる程ではないので後衛職やサポート班なんかの足が遅い人達が優先的に乗り込み、残った人達は徒歩で向かう事に。
そして俺は子供で歩幅が小さいからという理由で馬車移動。
これは楽でいいやと思ったがががが。
ゆ、揺れる……。
踏み均されてはいてもしっかりと舗装されているわけではないので、ガタガタと揺れる揺れる。
これじゃ俺のプリッとしたかわいい小尻がボコボコになっちゃうよ。
繋がった状態だとこの揺れで予想外の刺激がきて気持ち良さそうとふと思ったけど、今は相手がいないのでこの揺れはただただ不快なだけだ。
というわけで替えの服をクッション代わりにお尻の下に敷く。
痛みは減ったけど揺れは変わらないねこれ。
そんなこんながありつつ拠点予定地に到着。

「よし。では小休止の後、討伐隊は指定された場所でマッドラットの掃討に移ってくれ」

討伐隊の方は徒歩移動の人が多かったので小休止を挟むようだ。

「こっちは馬車に乗せてもらったんだから疲れてるなんて言わせないぞ。速やかに行動開始だ」

馬車は馬車で疲れもするが、歩いてきた人達に比べたら全然マシだろう。
それでこっちも休憩~なんて言おうものなら徒歩組全員に怒られる。
というわけですぐに行動開始する。
あ、馬車に酔って吐いている人達はそっちで休んでていいから。
そんな状態で手伝われても足手纏いにしかならないし。

「ああ、休んでていいけど、ちゃんと出したもん片付けておいてね」

歩いていたら足元から酸っぱい匂いが……なんてやだからねぇ。

馬車酔いの人達を除いたメンツで拠点の設営と調理場の確保をしていく。
馬車に積み込まれた必要な物を必要な場所に移動させて適切な手順で組み立てていく……と、言葉にすれば簡単だが実際にちゃんとした労力が必要となる。
俺が亜空収納を使って運べばかなりの時間短縮になるけど、それをすると楽になりすぎる。
ちゃんと仕事をさせないと反感を買っちゃうだろうからやらないでおく。
それに沢山入ると知られると面倒な事になりそうだしね。

運び出し終わっていざ次の行程へって所で小休止が終わったようで、冒険者達は続々と森の奥へと進んでいく。
あれだけ居た人が居なくなると物悲しさを少し感じるね。
普段は生徒がいっぱい居る教室をふと放課後に見てその静けさに少し悲しくなるような感じだ。

「さて、それじゃあ各自の班毎に分かれて作業に当たってくれ。俺達は一応治療するための場所を準備しよう」

数が多くても相手はマッドラットだ。
それにこちらはひとパーティやそこらならともかく、各班3パーティくらいはいたと思うので数的不利は無いと思うから治療が必要という事にはそうそうならないだろう。
不測の事態とかもあるだろうから、念の為場所は作っておくけど。
何事も絶対はないし予想外な出来事も意外と起きるものだし。
突然死んだりTSさせられたり、ね。

そして拠点の設営が完成したらそのままお昼の準備だ。
もうお昼近くだから簡単に作れるものでお肉と葉物野菜とかを挟んだサンドウィッチとスープでいいかな。
討伐に出た人達がお昼を食べに戻ってくるかは分からないけど、これなら多少時間が経っても食べられるからお昼に適した料理と言えよう。
ちゃちゃっと作っていくと最初は懐疑的だった調理班の面々だが、自分達よりも倍以上の速さで仕上げる俺の技量を認めてくれてようで、渋々といった感じから納得した上でって感じで指示に従ってくれるようになった。

メインで関わるのは多分ここだろうし、認めてもらえて良かった。
後は、何事もなく終わればいいんだけど。
あれ?
これなんかフラグっぽくね?
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