75 / 130
夜這い・デザート
しおりを挟む「あの、すみませんでした…」
「僕こそ、ぐっすり寝ちゃってごめんね。」
次に獅音さんが起きた頃には、すっかり日が沈んでいた。
その間拘束され続けた私も、あの後二度寝した。
今日は夜、眠れないかもしれない。
時間は19時。
ご飯でも食べていってもらおうか。
「何か作ります。
良かったらご飯食べていってください。」
「体調は大丈夫なの?
何かデリバリーしようよ。」
「でも…」
「いいから、こっちおいで。
一緒に見よう。」
獅音さんが携帯を取り出してアプリを開く。
「何にしよう。
温かいものがいいよね。お粥とかあるけど…
何か食べたいものある?」
「へぇ~…お粥もデリバリーできるんですね。
だけどお粥だと獅音さん物足りなくないですか?」
「僕のことは気にしなくていいよ。
う~ん…ここはどう?」
「美味しそうですね…この、梅雑炊がいいです。」
「はーい。僕は鳥雑炊にしよっと。」
さっと注文を終えて、獅音さんが机に携帯を置いた。
「さて、それじゃあ奏ちゃん。おいで。」
私たちは今、ラグに横並びで座っている。
「…どこに…」
「ここ。」
ここ、と言って獅音さんは自分の太ももをぽんぽんと叩いた。
「はい?!」
「ぎゅっとしたいから、ここに来て。」
「上に乗れと?!」
「そう。
今日一緒に寝たし、もう慣れたでしょ。」
「それとこれとは別では…?!」
「いいから来て。」
流石に獅音さんの太ももの上に乗るのは、自分の体重も気になるしちょっと…
押し問答の末、獅音さんの足の間に座るということで合意した。
なんだこれ。
「こっち見て。」
「顔が近くて恥ずかしいので無理です」
「え~…」
そのまま固まっていると、急に伸びてきた獅音さんの両手が私の頭と腰を自分の方へぐっと引いた。
獅音さんの胸の中にぽすっと倒れこむ。
「わぁ、あ、ごめんなさいっ、」
離れようとするがまたも抱き締められたまま拘束される。
「このまま」
今日、ずっとこの体勢の気がする。
腕の中で固まってると、獅音さんが私の髪を弄り始めた。
「…毎月、今日みたいにしんどいの?」
「…暑い時期は多少マシかな、と」
「これから寒くなるよ。」
「そう、ですね…」
「奏ちゃんが嫌じゃないなら、体調悪いときは呼んでほしい。
一人で辛い思いしてほしくないの。
分かった?」
「…はい。」
「あと、もっと甘えてほしい。恋人だから。」
「それは、」
「僕以外に甘える相手が居るの?
僕以外にあんなところ見せてるの?」
急に変わった雰囲気に戸惑う。
いつもと同じ喋り方なのに、何かが違った。
「そんなわけないじゃないですか…」
「…そう。」
「…怒ってますか?」
獅音さんからネガティブな感情を感じたことは無い。
実際、いつもどおり優しい声で会話は続いている。
でも、
「怒ってないよ。」
これは嘘だ、と思った。
11
お気に入りに追加
510
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる