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オークの死体を組合に持ち込みました

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「はい?  え、今なんと?」

酔っ払いを捨てた後、組合の受付でオークの集落があった事とその集落を殲滅した事、そしてその際にオークキングなんかも討伐した事を報告した際の受付嬢の最初のセリフがこれだ。
まあ、俺だってこんな超絶美少女にオークに襲われたではなくて襲って殲滅したなんて言われたら驚くだろうし疑ってしまうだろう。
でも、事実なんだよなーこれが。
証拠としてオークキングの死体を見せれば辺りは騒然となり、慌てた受付嬢さんに組合の奥へと連れ込まれる。
変な意味はないよ。

組合長室。
そう書かれたプレートが打ち付けられた扉を開けた先へと案内される。
そこにはスタイル抜群の美女が座っていた。
あー、ここの組合長はそっちでしたか。
厳ついおっさんか事務職っぽい人、あるいはロリババアかなと思ってたんだけど。

「おうどうした?  今日は何も無かった筈だが?」
「この子がオークの集落を殲滅したとの事でして……」
「はぁ?  そんな小さな子が?」
「はい。オークキングの死体も持っていたのでおそらくは本当のことかと」
「そう、か……」

なんて話している組合長と受付嬢。
俺はそれを黙って聞き流しつつ、組合長のおっぱいを眺めてる。
真祖化した俺よりも大きい……流石にルセアちゃんよりかは小さいが、それでもかなりのボリュームだ。
そんなおっぱいを強調するような服を着てる。
襲われたりしないんだろうか……。
まあ、組合長になるくらいだし返り討ちに出来るくらいには強いんだろう。

「それで、オークの集落があったのはどの辺りなんだ?」

地図を広げて場所を聞いてきたのでその場所を指さす。
だけど。

「最も、今見に行っても何も無いですよ。全部焼き尽くしたんで」
「何?  だが、そんな情報は入ってないぞ?」
「結界で隠してましたから。じゃないと騒ぎになるので」
「何!?」
「それよりも、こちらを」
「これは……?」
「これらは、オークの集落で発見した遺体の遺品です。持ち主が分かるのなら、遺族の人達に渡してください」
「こんなにか……。こんなに、死んだのか……」
「はい。遺体が無造作に積み上げられていましたから……。一応、遺体は埋葬しておきました。場所はこの辺りです」
「分かった。持ち主が分かり次第、遺族に渡しておこう」
「お願いします」
「しかし、これだけの犠牲者がいた集落があったとはな……。最近オークの目撃情報が増えていたからどこかに集落なり巣があるのだと思っていたが……はー。もっと早く行動を起こしていれば……、ここまで犠牲者が出ずに済んでいたのに……」

悔やむように椅子の背もたれに体を預けて天井を眺める姿は……正直に言っておっぱいが強調されてエロいです。

「おっと。情けない所を見せたな。それで、オークキングの死体も持っているんだってな。買取希望か?」
「はい。集落にいたオークは全部殺したんでそれらも買い取ってもらえるとありがたいです」
「ぜ、全部か……。分かった。買い取らせてもらおう。だが流石に査定に時間がかかるだろう。査定が終わり次第連絡するから滞在場所を教えてくれ」
「ああ、それならこれを見てください」
「領主の紋章……本当にどうなってんだよ……………なるほどな。じゃあ、終わり次第連絡するよ」
「お願いします」
「ああ。じゃあ、解体所へ案内してやってくれ」
「分かりました」

案内された解体所でオークを出していくが……まさか100匹を超えていたとは。
全然気付かなかった。
で、そんなにあってしかも上位種も結構居たという事もあってかなり驚かれた。
解体所に居た職人さんにはランクアップ間違いなしだろうと言われた。
その辺の話はしてなかったけど、これを見ない事には判断が出来なかったんだろう。
多分買取金を受け取る時にその辺の話があるんじゃないかな。
あ、ついでにナイトハンターの死体も出しておいた。
組合長には何も言ってなかったけど……まあ、いいよね。
別に何か悪さしていたわけじゃないし。

~第三者視点~

レンが立ち去った後の解体所では年端もいかない……それどころかここにいる人間の何人かはレンと同じくらいの子供がいたりする。
なので、そんなレンがゴブリンと共に女性に嫌われている魔物であるオークを山になるほど狩って来たという事実に驚き、手を動かさずに口を動かしていた。

「あの子、ウチの子と年齢大して変わらないんだけど……」
「ウチのもだよ。それなのにこの差は一体……こないだなんか、隣の家の娘さんの入浴を覗こうとして殴られてたぞ?」
「馬鹿すぎだろその子……」
「真剣に将来が心配なんだよなぁ……それに引き換え……」
「ああ、受け答えはしっかりしてるし、言葉遣いは丁寧で真面目な良い子だったな」
「おまけに信じられないくらいかわいいし……正直嫁と代えて欲しい」
「おいおい、いくらなんでもそれは……悪くないな」
「だろ?」

といった感じ。
というか、子供と同じくらいの子供を嫁にしたいと言う辺り、血の繋がりとは恐ろしいものだと感じさせてくれる。
そんな解体所に組合長がやってくる。
どの程度の規模の集落だったのかを確認する為だ。

「うおっ!?  なんだぁ、こりゃぁ……おい、これは本当にあいつが置いてったのか?」
「はい。間違いなく」
「マジかよ……ん?」
「どうかしましたか?」
「いや……」

何かに気付いた組合長はオークの山を切り崩して気付いた物の正体を確かめようとする。
そうして出て来たのは狼のような頭に特徴的な四本の腕を持つ魔物、ナイトハンターだ。

「ナイトハンターまで倒してたのかよ……それにこの傷跡、もしかして素手か?」
「いやいや、まさかそんな……いくらなんでも素手は無理でしょうよ!  あんな細腕じゃ絶対折れますって!」
「だよなぁ……」

そのまさかなのである。
なんだったら、ライジングでドラゴンな感じに軽々と貫いていたまである。
金髪超絶美少女の謎が深まった瞬間である。
その一方で組合長は1つ忘れていた事を気付く。
その少女の冒険者としてのランクだ。
これだけの成果を上げた以上はランク上げの提案なりするべきなのだが、肝心の相手のランクが分からない。
そもそも素性自体よく分かっていなかった。
そのことに気付いた組合長は心の中で頭を抱えるのであった。
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