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百合ちゃんへの教育が甘い

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朝食を終え、2人の分の朝食を持っていく。
ちなみに2人の分のご飯代と宿泊代はやっぱり持ってかれた。
いやまあ、泊めた以上はそれも仕方ないんだけどさ……これはちょっとミスったかも。
情報なんてものは知られない方がいいに決まってる。
場合によっては知らせた方がいいこともあるけど、今回は知られない事が重要。
誰が……という部分までは分からなくても、イケおじを捕まえた4人組が2人分追加で宿泊費を払ったとなると、ある程度予想される可能性がある。
今度からはその辺も慎重にいこう。

「朝ごはん持ってきたよー」
「あ、ありがとうございます」
「お手数おかけします」
「いいっていいって。それで、どうするか決めた?」
「はい。やはり殺すのは流石にやり過ぎというか、難しいと思うのでまずは領地に帰ろうと思います」
「でもそうすると後で殺されるかもしれないんだよ?  それに、君の兄弟やお父さんが死んだのはその四男が原因の可能性も十分にある。それを分かって言ってるの?」
「分かってます。なので、牢屋にでも放り込んでおこうかと。幸い、我が家にはおあつらえ向きの地下牢もありますし。それに、万が一私に何かあった時に血を残す為にもおじ様には生きていてもらわないと困りますので」
「つまり飼い殺しって事ね……可愛い顔してえげつないこと言うね~」
「レンさんがそれを言いますか……」
「ほえ?」
「まあ、それはいいとして、その為にも証拠が欲しいです。母を説得する為の証拠が。おじ様が悪人であり監禁するに足る理由だという証拠が」
「それって、これの事?」
「それは!  燃えてしまったと思ったのに……」
「ジュリアちゃんが大事に抱えていたから確保しといたんだよ」
「ありがとうございます!  それがあればなんとかなると思います」

なんとか、なるかねー。
追放くらいならまあ出来るだろうし、継承権剥奪もギリ出来るだろうけど……うーん。
監禁はどうだろう?
まあ、不正の証拠なのは間違いじゃないしイケおじの証言もあればいける……かも。
ちなみに不正の内容だけど領地の税金の私的利用だが、その額と内容がまあ酷い。
酒に賭博に娼館と男を駄目にする酒金女の3種をフルコンプだドン!  っていうね。

「でも領地に帰るにしてもどうするの?  生きてる事を知られると邪魔をされるかもしれないよ」
「はい。なので、皆さんには引き続きお手伝い願えればと思っています」
「いいよ。手伝ってあげる」
「ありがとうございます」
「で、報酬は?  これまではただの善意。でも今からはジュリアちゃんが手伝ってくださいというお願い。だから報酬は必要だよね?」
「ちょっ、レンちゃん……」
「はい。分かってます。報酬内容は全て終えてから要相談という形になりますが、出来る限り要望には応えたいと思っています」
「それでいいよ。まあ、だからといって今すぐ領地に向かいますってわけにもいかないし、まず2人はご飯食ないとね。俺達はその間に色々準備しておくから」
「ありがとうございます」
「あ、無いとは思うけど念の為に護衛としてルーナを置いておくから」
「何から何まですみません」
「いいっていいって。じゃあルーナ、お願いね。流暢に話せるのがルーナしかいないから、つい任せちゃうけどごめんね」
「いえ、頼っていただけるというのであれば、それだけで光栄ですので」
「また何かお礼を考えておくね」

そう言って部屋を後にする。
しかし、なんだね。

「ジュリアちゃん、なんか急に覚醒してない?  あんな聡明だったっけ?」
「元からああなのか、もしくは覚悟を決めて一本芯が通ったとか?」
「それはあるかもねー。覚悟を決めた相手ってのは恐ろしいものがあるし。まあ、ひょっとしたらコーネリアさんが色々と考えていたのかもしれないけどね」
「ああ、その可能性もあるね」
「それよりも、なんで報酬なんて要求したのよ?」
「ハイネちゃん。ちゃんと百合ちゃんを教育しなきゃ駄目じゃない」
「私、自主性を大事にする方針なので」
「子供扱いしないで!」
「子供でしょ?  だから、意図を理解出来ていない。ルセアちゃんは分かる?」
「なんとなくは」
「ハイネちゃんは?」
「私は多分これかなってのはあるよ。言っていい?」
「どうぞ」
「じゃあ言うけど、あれは多分体裁の為だね。私達は頼まれればなんでも言う事を聞くと思われない為、そして向こうは命を助けてもらった相手に礼を尽くさない無礼者として思われない為」
「うん。大体そんな感じかな。相手は貴族だからねー。評判とか体裁とかはとても大事な事だし、俺達にしたって……いや、俺達だけじゃなく冒険者にとっても報酬を貰うのは大事な事なんだよ。報酬無しで仕事をしちゃうと他の人が同じような状況になった時、前の人は報酬無かったのに……って言われれば気分は悪いだろうし、揉めたりするだろうからね。それを避ける為にも報酬の交渉は必要なんだよ」
「そうだったのね……私、何も知らないのに文句言おうとして、ごめんなさい」
「いいっていいって。次同じ失敗しなきゃそれでいいよ」

ここで話を終えてジュリアちゃんの領地へと向かう準備をする。
移動は……飛んでいけばいいかな?
馬車なんて持ってないし借りたら高いだろうし。
歩きは論外。
時間がかかり過ぎる。
メルネレス領に向かう護衛依頼に同行というのも、面倒事に巻き込む可能性があるから難しいだろう。
精々輸送依頼くらいなら受けられるだろうが、どのみち馬車移動は無理。
お金に余裕はないもん。
あー、でも空を飛ぶにしたって俺がルセアちゃんを抱えて、ツバサとルーナが百合ちゃんとハイネちゃんを抱えて飛ぶ事になるけど、途中で魔物に襲われたらどうしよう?
手が塞がってるもんなー。
ミハネから何人か護衛を借りようかな?
もしくは亜空収納に入っててもらって俺が飛んでいくか……どっちにするかは後で決めてもらおう。

「とりあえず移動に関しては後にするとして、先に細々としたものを終わらせようか。俺は移動中に食べる食料調達をしておくから、ルセアちゃんはポーション類の確保。何があるか分からないから解毒出来るのとかもお願いね」
「任せて」
「百合ちゃんとハイネちゃんは装備品の点検と補充」
「分かったわ」
「はーい」
「それが終わったらまたここに集合って事で」

そうして3人と分かれ、俺も自分のやるべき事をやっていく。
適当に食材や調味料を買い込み亜空収納へと放り込んでいく。
んー、とはいえ移動中に調理するのってどうなんだろうなー。
魔物とか誘き寄せそうだし……って、結界を使えばいいんだ。
匂いとか音を遮断しておけばバレないだろう。
いや、本当に便利だな空間支配。

目利きなんて鑑定様の前では無力。
傷んでるの、痛む直前のを避けて質の良いのをさっさと選んで、後は買って放り込むだけの簡単な作業。
あっという間に終わってしまったよ。
さて、帰ろうかね。
他のみんなはもう終わってるのかな?
そう思いながら宿へと帰還するのであった。
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