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おや、エルフの様子が……?

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食事処は長居する所じゃないし、そろそろ移動しようかなと思っていた所、どうやらそう思っていたのは俺だけじゃないようで、百合ちゃんにタイミングよく店を出る提案をされた。
断る理由はないのでその提案の通りにお店を出る。
支払いはもちろん俺とルセアちゃんだ。

「さて、それじゃあこれからどうする?  俺としてはこれから宿も一緒にしたわけだしより一層の連携を取れるように親睦を深めたいなって思ってるんだよね。意訳すると、遊びたいだけど」
「意訳しすぎでしょ……」
「でも私は賛成ー。一応特訓の後は休息日にしてもらってるけど、実際は疲労やらなんやらであんまり遊びに行けてないからストレス発散とかしたいんだよねー」
「ボクもお互いの好きな事とかを知るいい機会だと思うな」
「別に反対してるわけじゃいし、いいんじゃない?」
「やった!  それじゃあ早く行こう!」

どこから行こうかなー。
せっかくの3人とのデートなんだし、女の子が喜ぶ所がいいよなぁ。
今は俺も女だけど。
ん、女?
となればあれが出来るじゃないか!
いや待て……確かに今は女だから一緒に服を見て楽しむ事が出来るけど、元男の俺に服の良し悪しなんて分かるはずもない。
分かるのなんて可愛いかどうかだ。
選ぶなんて出来る気がしない。
んー、なら下着か?
でも俺の服も下着も全部亜空収納内に入っていた汚れず破けずなチートな代物だからいきなり普通の下着というのちょっと不安だ。

「どこ行くー?」
「とりあえず中央広場に行ってそれから考えようか」
「それもそうだねー。この辺は食事処くらいしかないしねー」

なんて考えている間にどこに行くか決まってしまったので、遅れないようについて行く。
むむ、意見を言う暇がなかった。
というか、そもそも俺にデートの経験なんて無かった。
どうしよう?

とりあえずでの中央広場へ。
そして速攻でナンパされる俺達。
いやー、可愛いというのは罪ですねー。
なんてふざけてる場合じゃない。
百合ちゃんが先頭に立って断ってはくれているけどこいうのは大概しつこいし、何よりこんな世界だから簡単に犯罪的な行動に出ないとも限らない。
ここは男として(TS済み)俺が出るべきだ。

「すみません、今友達と一緒なんで」
「その友達も一緒でいいからさー。俺らいい店知ってるんだ」
「へー、どんなお店なんですかー?」
「ん?  ああ、いい所だぜ。隠れた穴場ってやつでそこの料理はなんでも美味いんだ」
「そんなんですねー。でもぉ、私達さっきご飯食べたばっかりなんですよねぇ。だからごめんなさい。それに、お兄さん達なら私達みたいな子供じゃなくて、もっと色気のある大人な女性の方が似合うと思うなぁ」
「そ、そうかぁ?」
「そうですよー。私達みたいな子供を相手にしていたらお兄さん達の面子に関わりますよー」
「そ、それもそうだな」
「あ、ああ。悪いな、迷惑かけて」
「いえいえー、お兄さん達みたいな大人に声をかけられて私達も嬉しかったですよー」
「そ、そうか。じゃあ、俺達は行くな」
「はい。きっともっとふさわしい女性に出会えますよ」

とにかくおだててみたが、存外ちょろかったな。
ナンパ慣れてないのか?
チャラい見た目も形から入るタイプなのかも。
助かったし今となってはどうでもいいけど。

「レンちゃん、今の何……全然キャラ違ったし、声も……」
「えー、あれくらい普通じゃないですかー?  それに、百合ちゃんとかも人によっては声を高くしたりしませんー?」
「それやめて……違和感が半端ないから」

俺なんて言ったら可愛さが半減しちゃうからね。
まあ、それでも天元突破した俺の可愛さなら半減してても十分すぎる火力を持ってるけど、念には念を入れてね。
それに、男は竿役としては価値を見出せても恋愛対処としては価値を見出せないんだよね。
元男なんで。
だからナンパはノーセンキュー。
巨根とか絶倫とかショタとかの付随する属性があれば案外簡単について行っちゃうかもだけど、今回のはチャラいという要素しかなかったから全く惹かれなかった。

「まあ、それはともかく、さっさとどこか行こうよ。ここに留まっててもまたナンパされるだけだろうしさ」
「……そうね」

まあ、アテはないけどとりあえずまずはここを離れよう。
そうして少し離れたところでふと視界に一軒のお店が目に入る。
そのお店は一言で言えば地味。
看板がかかっていなかったらお店だとは分からないだろう。
それくらい地味なのだが、そのお店は俺を惹きつけた。

「ねぇ、ここ寄っていいかな?」
「ここって普通の民家じゃ……」
「よく見て。看板かかってるでしょ?」
「あ、ほんとだー。素材屋?」
「そうみたい。最近はポーション作成とかもやったりしてるし他にも何か作れないかなって思ってさ。ね、お願い」
「んー、まあ、少しくらいなら」
「そうだね」
「やった!  ありがとう!」

お店の中へと入った俺をお出迎えしたのは大量の薬草だった。
しかしただの薬草ではなくて幾つか種類がある感じで、それぞれに薬効が違うのだろう。
店に入ってすぐのところにあるのはインパクトが小さくて入店してすぐに回れ右をされないようにという配慮なのだろう。
奥の方には容器の中に浮かぶ何かの目玉とか心臓とかがあるし。
その辺はまだいいかなー。
触るのには抵抗があるし、俺には早すぎる代物だ。
この辺の薬草類から選ぼう。

「んー、これは月涙草?  あれ、他のは月光草なのになんで?  もしかして間違えて入れちゃった?  すみませーん!」
「んー、どうかしたかいお嬢ちゃん」
「あ、エルフ……」
「そうさね。それがどうかしたかい?」
「あ、いえ、初めて見たので」
「そうかい。こんなおばさんでよければいくらでも見ていってくれ」
「おばさんって、全然若いじゃないですか!」
「これでも200は越えてるよ。十分おばさんさね」

200越えっていうけど、どう見ても16かそこらなんですが……。
流石エルフ。
まあ、俺もそのくらいは余裕で生きそうだけど。

「それで、どうかしたかい?」
「ああ、これが月光草の中に紛れていたので」
「ん?  ただの月光草じゃ……って、ちょっと待って!  これ、月涙草じゃない!  うわ、あっぶなー!  気付かずに売ってたら大損するところだったじゃない!」

あれ?
口調が……。

「ありがとー!  これ月光草の変異種なんだけど、月光草の10倍の効果があるのになかなか手に入らないからかなり値が張るのよねー。いや、本当に危なかったわ」
「あの、口調が……」
「へ?  ああ!  またやっちゃったー!  うぅ……もう200越えてるんだしもっと落ち着けってパパとママに言われてるのにー!」

なんだろう、このポンコツ臭。
エルフってもっと落ち着いていて神秘的な存在だと思っていたけど……。

「クスッ……」
「ああ、子供に笑われたー!」
「あ、すみません。なんか、可愛くてつい……」

適当に立ち寄っただけだったけど、面白い店見つけたかも。
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