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お引っ越し(宿から宿へ)とそのお祝い

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レンちゃん襲撃未遂事件についてちょっとだけ。
あ、実際の名前は冒険者襲撃未遂事件だけど、被害者である俺の名前が入ってる方が分かりやすいから個人的にそう言ってるだけ。
で、事件についてだけど、あの後、事件の主犯である馬鹿は除名処分と共に犯罪者として牢屋行きとなり、馬鹿の口車に乗せられた奴らは罰金と降格処分。
そいつらに関してはクロウさんが頑張ったらしい。
途中で逃げた奴らは1人が逃走途中に魔物に襲われて行方しれずになり、残りの連中は他の連中と同じく罰金と降格処分。
その罰金は全部こっちの懐に入らずこの町の領主に持っていかれる。
結果だけ見れば奴らが原因による被害は無かったんだけど、少し釈然としない。
慰謝料とかせびっとけば良かったよ。

聴取の際に馬鹿の奴は『あいつは魔物の仲間だ!  だから俺は罪にならないはずだろ!』とかのたまっていたらしいく、未だに俺のことを人だと思わず自分は正義の行いをしようとしたと信じているらしい。
思い込み激しすぎだろ。
亜人排斥派閥とかあったら簡単に乗っかりそうだ。
他の連中は俺が美少女だからおこぼれに与ろうとしただけらしい。
いやー、可愛いというのも罪なもんだねー。

で、最後にクロウさん。
彼は別の街で仲間を募り再スタートをするつもりとのこと。
今度は仲間運に恵まれるといいね。
今度何かあったらその時はクロウからラクに名前を変えるように進言しようかな。

「で、結局最初のきっかけって何だったの?」
「森の中で眷属達とピクニック?  まー、あれだね。考えをコロコロ変えるのはどうかと思うけど、逆に考えをなかなか変えないというのも問題だね。いい反面教師になったよ」
「それは確かにそうね。自分の考えを信じるのも大事だけど、意固地になったら周りとの軋轢も生むし、今回みたいな暴走をしてしまうかもしれないし、ちゃんと人の話を聞くようにならないといけないわね」
「それで思ったんだけどさー、百合」
「何?」
「そろそろ宿屋をレンちゃん達と一緒にしない?  今回はレンちゃんが気付いていたからいいけど、そうじゃなかったら危なかったわけじゃない?  だから離れ過ぎてるのも問題があると思うんだよねー」
「それは確かにそうかもしれないけど……」

そう言いながら百合ちゃんはこっちをちらちらと。
俺、そんなに信用ない……?

「安心してよ。俺は無理強いはしない主義だからさ。無理矢理ヤられるのは構わないけど」
「いや、構いなさいよ!」
「あはは、まあ、それは半分冗談だけどさ」
「半分は本気なんだ……」
「レン」
「あ、うん。あの時は本当にごめん。反省してます」

ルセアちゃんが自分を指さしてる。
あの時は初めてで我慢出来なかったんだよ~……。

「それは置いといて、百合ちゃんが嫌がる限り本当に何もしないからさ」
「嫌がらなかったら?」
「美味しくいただきます!」
「そういう所が安心出来ないのよ!」
「それだって百合ちゃんが嫌がれば何もしないんだから逆に安心出来るじゃないかな?」
「確かにそうだよねー」
「うっ……はぁ……。分かったわよ。移す。移します」
「そうこなくっちゃ!」
「それじゃあ早く行動しないとだね」

ようやく百合ちゃんが折れてくれたので今日は百合ちゃん、ハイネちゃんのお引っ越しです。
といってもまあ、荷物自体はそんなにあるわけじゃないし、その荷物だって俺の亜空収納に仕舞っちゃえば手ぶらで済むからたいした労力ではないんだけどね。
そんなわけで2人の荷物を早々に仕舞い込むとすぐに俺とルセアちゃんが使っている宿に向かう。
4人部屋は百合ちゃんが嫌がると思うから2人部屋を新たに取って、そこで生活という形になる。
部屋の場所はお向かいさん。
隣の部屋から艶かしい声が!  ってなって百合ちゃんが寝不足になる心配もないわけだね。
もっとも、声を外に漏らさないようにしてるから要らない心配だけど。

「これで全部かな?」
「そうね。ありがとう、手伝ってくれて。物自体は少ないけど、やっぱり手に持つと大変だから助かったわ」
「どういたしまして。それでこの後どうする?  なんならささやかながら引っ越し祝いにどっか食べに行く?  奢るよ?」
「ええ!?  そんな悪いわよ!」
「そうだよ!  私達と同じ依頼してるんだからそんな余裕ないでしょー?」
「この前の蜘蛛が結構いい値で売れたんで余裕はあるんだよなー、これが。まあ、眷属達のご飯も用意しないといけないから気をつけないとすぐに無くなるんだけどね……」
「誘われ辛いわ……」

ぶっちゃけ未だに素手なのはそれが原因だったりします。
宿代と食費にあとは細々としたものを買えばそれだけで依頼のお金がほとんどなくなる。
一応ある程度は残しているけど、それでもね……。

「ま、まあ、今日はお祝いだしさ……」
「ボクも出すから安心してよ。レンと違ってそこまで散財してないから」
「でも悪いし……」
「まあまあ、ここまで言ってくれてるんだし今回は奢ってもらおうよ」
「……そうね。じゃあ、今回はご相伴にあずかろうかしらね」

というわけで2人に奢るためにお店へと向かう。
今回向かうのはパーティを結成するきっかけになったあのお店。
2人はがっつりお肉を食べたいそうでトンテキ定食とチキンカツ定食を選んでいた。
今回は俺もがっつりお肉な気分なのでトンカツ定食。
ルセアちゃんは唐揚げ定食。
前にハイネちゃんが食べていたのを見て美味しそうで今度来た時は食べたいと思っていたとのこと。
まあ、今回も箸じゃなくてフォークで食べてるけど。
うん、かわいい。

「衣がサクサクで、中のお肉もジューシーで美味しい!  あ、ルセアちゃん。その唐揚げ1つちょうだい。こっちのトンカツ一切れ食べていいからさ」
「いいよ」
「んー!  唐揚げも下味がしっかりしてて噛むだけで肉汁が溢れて来て、これも美味しい!」
「これもお肉が柔らかくて美味しいね」

がっつりお肉でお腹も心も満たされたよ。
やっぱお肉は美味しいよね。
元男としてはこういうがっつりお肉は大好物です。

「今日は奢ってくれてありがとうね。今度は私達に奢らせてね」
「うん、期待しておくよ。まあ、その前にもっと弓が上達してからだけどね。まだまだ甘い所があるしね」
「うぅ……こんな時にダメ出しはやめてー」
「「あははは」」
「笑ってるけど、2人もだからね」
「うわっ、飛び火したー」
「頑張る」

さてと、それじゃあこの後どうしようかな?
まだまだ時間はあるし、このまま親睦をさらに深めていくのもありかな。
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