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面倒事は続けてやってくる

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無事に眷属達のテイム登録も済んで一応連れて歩く事が出来るようになった。
なったんだけど、ゴブリンとハーピィなので多分街の人の反応は悪い。
なのでこれからも亜空収納に巣食っていてもらおう。

そこから更に1週間ほど過ぎた頃、事件は起こる。
というよりも、ここ1週間ずっと俺を付け狙っている奴らがいる事には気付いていたんだけどね。
そして、そいつらが何者なのかもおおよそ見当はついている。
例のクロウの仲間連中だ。
どうやら躾に失敗したみたい。
今日は依頼の日なのに……はぁ、めんどくさい。
いや、いっそ依頼先にまで誘き出してそこで始末した方がいいか?
でも殺すのは流石になぁ……それで組合の査定に悪影響が出ると困るし……。
うーん。
ここは組合に助けてもらおうかな。
最悪、殺す事になっても正当防衛だと理解してもらおう。

「どうしたの?」
「いや、何でもないよ。それよりも早く組合に行こう」
「うん」

組合に行き、適当な依頼……まあ、いつものゴブ退治だけど。
これが1番稼げるからね。
依頼を受理してもらう際に付け狙う輩が居る事と、何故そうなったかの経緯を伝えると、護衛として冒険者を付ける事を提案してきた。
今のところは確証がなく実際に犯行を行なっていないので組合としても手が出せないそうだ。
護衛に関しては雇う金も無いし、突然人が増えると向こうも警戒してしまう可能性もあるので断った。
ただ、襲われた際は反撃して、最悪死なせてしまうかもとは言ったら、仮にそうなっても正当防衛って事になるように動かせていただくと言われたので一安心。

そしていつものように森の中へ。
尾けられている事をさっき初めて知ったルセアちゃん達には人質として利用されないようにと眷属達をつける。
ルセアちゃんにはボブとごぶいちを、ハイネちゃんにはごぶたろうとごぶのすけを、百合ちゃんには翼とルーナをそれぞれつけておく。
俺?
俺は囮というか向こうの本命だから護衛なんかつけたら怪しまれるよ。
一応みんなへ眷属達をつけたのは連携の確認という名目だ。
向こうに通じるかは分からないけど。

単独行動をしてのんびりとゴブリンを倒していく。
蹂躙してるとみんなにターゲットを移されるかもしれないから見つけたゴブリンを魔法でこっそりと倒していく。
そして、囮となるようにここ1週間は魔法メインで特訓をしておいたからきっと誤解してくれてるはずだ。
空間支配は自身の周囲の空間把握も容易く行える。
倒すゴブリンの位置はもちろん、今も俺の様子を窺っている連中のことも把握している。
まだ動かないか。
ならもう少し魔法を使って、疲れたような演技をしよう。

そう思っていたんだが、その必要もなさそうだ。
俺の周りを囲む奴らが8人、そしてその8人の更に周りに6人。
でもこの6人は敵じゃない。
どうやら、俺の出番はなさそうだね。
適当な木にもたれながら座り込む。
そうして休憩しているような体制になれば8人は動こうとして、そして周囲から鈍い打撃音が響いてくる。
2人程こちらに近づいてくるけど、足元に5cm四方の小結界を張るだけであっさりと躓いて転んでくれる。
後は6人がこっちにくるのを待つだけ。

「お疲れ様。ありがとね」
「気付いていたのか」
「当然。それで、アリーダさん達はどうしてここに?」
「いや、組合で変な奴らがあんたを尾けてるのを見かけてね、それで様子を見てたら襲おうとしてたから止めたってわけ。必要あったかは分からないけど」
「いやいや、自分で手を下さなくて済んだから助かったよ」
「そうかい」

ん?
なんかこっちに近づいてくる人がいるな。
これは……ああ、あの人か。

「誰か来る……」
「ああ、その人はいいよ」
「そうなのか?」

そう言ってすぐにその人は来た。
馬鹿どものパーティメンバーであるクロウさんだ。
というかもはや苦労さん?

「ああ、なんて事だ……まさか本当に……」
「クロウさんはどうしてここに?」
「組合でうちの連中が何やらよからぬ事を考えてるって聞いて慌ててきたんだが……この様子だと、遅かったみたいだな……」
「まあ、未遂ですけどね。それでも十分問題なのは分かってますよね?」
「ああ……」
「被害はなかったわけですけど実行しようとしてたんですからこの人達は組合に引き渡します」
「そうか……」
「それでクロウさんはこれからどうしますか?  パーティメンバーとか」
「そうだな……まあ、気長に探すしかないかな」
「ならこの人達はどうですか?」
「こいつは……新人食いのアリーダじゃないか」
「新人食い?」
「ああ、新人をパーティに誘って油断したところを食うって噂だからな。まあ、知ってる奴は知ってるってレベルだがな」
「それはもうやめたよ。今は被害者達への詫びを入れる為に金策中だよ」
「どういう心境の変化だ?」
「何、天使のような奴がいてな」

それって俺ですかね?
天使じゃなくてただの快楽の求道者なんだけどね。

「とはいえ、詫びたとして許されるとは限らない。だからその提案は受けられない。すまないな」
「こっちもそんな連中の仲間だと思われたくないから元々入るつもりはないっての」
「こりゃ手厳しいね」

ま、そりゃそうか。
誰が好き好んで性犯罪者達の仲間になるっていうだか。
俺単体なら臨時で組むくらいなら別にいいんだけどね。
せっかくの天然巨根ふたなりさんだし仲良くなりたいじゃない?
それはともかく、もう事件は解決かな。
後は組合の人達に預けるだけだし。

「そういえば……おいグラム、テッドの奴はどうした?  それにキースも」
「……2人ならそいつの仲間の所だよ。見張りだけど人質になるかもしれないと、ひょっとしたら捕まえてるかもしれないけどな」
「なんだと!?」

そっちは眷属達をつけたから多分大丈……夫じゃない!?
今、眷属支配を通して誰かが怪我をしたような、そんな感覚が伝わってきた……。
誰だ……?
これは、ツバサとルーナ!?
そんな馬鹿な!?
あの2人は眷属の中でも特に強いし、何よりルーナは新種の魔物という事でかなりのポテンシャルを持ってるんだぞ!?

「……急用が出来た。後任せたよ」
「え、おい……」

アリーダさんが声をかけてくるが、俺は全部聞く前に転移を使ってツバサとルーナ、そして百合ちゃんの側へと転移する。
座標を眷属を通して把握出来ているからこそ出来る芸当。
通常ならまずは座標を出す事から始めないといけないからな。

転移してすぐに目の前に黒い何かが迫る。
咄嗟に俺はそれを弾き飛ばす。
その時にそれが黒い蜘蛛だという事を知った。
その蜘蛛は2mくらいありそうな巨大で、凶悪な顔とそこから生える鋭い牙が特徴的な魔物だった。
そいつの動向を空間把握で確認しながら振り返ってツバサとルーナ、百合ちゃんの様子を窺う。

「レン……ちゃん?」
「そう、レンちゃんです。百合ちゃんは大丈夫?」
「う、うん……」
「それは良かった。百合ちゃんは2人を回復させておいて。前にポーション渡しておいたでしょ?」
「わ、分かった……って、レンちゃん危ない!」
「大丈夫、気付いているから」

蜘蛛が飛ばして来た闇魔法を光魔法を使って相殺し、黒と白の光が辺りに弾ける。

「安心して、すぐに終わらせるから」

さて、さっさと片付けるとするか。
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