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レンちゃん先生の魔法講座。後魔力操作
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午後からは後衛陣の近接訓練といきたい所だけど、百合ちゃんが使い物にならないし、ハイネちゃんのお願いという事もあって魔法講座となった。
「まずハイネちゃんに聞くけど魔法を使うのにおいて1番大事なのは何か分かる?」
「え? そんなの、詠唱じゃないの……?」
「ぶっぶー、外れです。正解は魔力操作です。魔法を使うにしたって魔力操作が巧みな人と稚拙な人じゃ同じ魔法を使うにしても、結果に差が出来るからね。巧みな人が魔力5を使って威力10の魔法を使うのに対して、稚拙な人は威力10の魔法を使うのに魔力50使ったりするからね。更に言うなら魔力操作が上手くなれば魔法発動までに掛かる時間を短縮出来るし、魔力を直接操作して魔法を発露させたり、新たな魔法を作ったりも出来るからね。だから1番大事なのは魔力操作なわけ。ルセアちゃんには今その魔力操作を練習してもらってるんだよね」
「うん。でもまだ魔法の発動が少し早くなった程度で使い物にならない」
「ちゃんと成果が出てる時点で十分だとは思うけどね。それと、魔力纏いにも効果あるよ。あれも魔力を扱う技術だからね。ハイネちゃんも魔力操作が得意じゃないのか集まるのに時間かかってたし、覚えて損はないよ」
「そっか。なら今度から意識してみるよ」
「とまあ、そんなわけでまずは魔力操作が重要なわけ。魔法発動に関しては個人差もあるし、学校とかで学んだりしたわけじゃないからあまり変な事言えないんだけど、それでもあえて言うのなら、大事なのは理解する事かな」
「理解?」
「そう。自分が使う魔法がどういう魔法なのか、どういう効果なのかを理解する事でより効率よく魔法を発動出来るし、そこから魔法を強化・発展させる事も出来るからね」
例えば、炸裂する火の魔法があったとする。
炸裂する部分を強化すれば爆裂する火の魔法になる。
火の部分を強化すれば魔法の範囲が広がる。
でも、魔法の事を理解していなければどこをどう強化すればいいかも分からないから素の魔法でしか使えない。
そんな応用力のない魔法使いと応用力のある魔法使い。
重宝されるのはどっちかなんて、言うまでもないだろう。
「とまあ、簡単な説明はこのくらいにして、何か質問はある?」
「はい」
「はい、百合ちゃん。何かな?」
「魔法の使い方の説明がそもそもないんだけど……」
「あー、俺結構感覚でやってるから説明するのがねー……勉強とかも割と独学だし……そういうのはどちらかというとルセアちゃんの方がいいかな。というわけで百合ちゃんへの魔法指導お願いね。魔力使ってるから特訓も出来ないしちょうどいいよね。それに人に教えると理解力が増すって言うし」
「分かった。頑張る」
「とまあ、そんな感じで説明はこのくらいにして、この後は実践に写ろうか。百合ちゃんはルセアちゃんとマンツーマンで、ハイネちゃんは俺とマンツーマンって事で」
万が一のことも考えてそれなりに離れて指導をする。
百合ちゃんはきっと日本人だから。
俺の願望も入ってるのかもしれないけど、日本人だと思う。
低ランク冒険者で戦い慣れてない感じからしてこの世界に来てからはまだそんなに経ってないはず。
なら、魔法の扱いが不得手でもおかしくはない。
流れ弾を警戒するに越したことはないだろう。
俺?
チートですが、何か?
「で、ハイネちゃんは魔法はどんな感じ?」
「まあ、簡単な現象を起こすくらいならかなー。こんな感じで……火よ」
ーーボッ
ハイネちゃんの掌の上に炎が灯る。
「ショボいね」
「言わないで……自覚してるからさ」
「んー、ハイネちゃんは狐火とか使えないの?」
「あっはっはー、使えたらいいんだけどねー……残念ながらそっち方面はからっきしでさー、だからこうして色々と教わろうと思ってるわけ」
「なるほどねー。種族固有の能力だから何とも言えないけど、さっきも言った通り大事なのは理解する事。どういう能力なのか、どのように発動するのかを理解していればそれは実際に発動する手助けになると思うよ」
「そうだね。私も色々と試してみるよ。でも今は……」
「うん。魔力操作だね」
魔力支配と鑑定を併用してハイネちゃんの魔力の流れを見ていく。
ハイネちゃんは魔力纏いを使えるからなのか手に魔力を集めるのは出来ている。
でもそこまでで属性へと変換させるのが不得手な模様。
狐火自体がどういう能力なのか実際に見た事ないので解析する事も出来ず教える事は残念ながら不可能。
なので今回はとにかく魔力操作の習熟度を高めてもらう事にする。
ハイネちゃんは手に魔力を集める事は出来ているけど足に集める事は出来ないので全身に魔力を巡らせる事を意識してもらう。
実際に手足に纏わせるのを見せたり、魔力の流れを口頭で説明したりする。
そうしている間に魔力をハイネちゃんは魔力を使い切り特訓する事が出来なくなった。
手合わせの時にも魔力を使っていたからしょうがない。
今日はここまでかな。
~ルセア視点~
「じゃあ、まず魔法について説明する。魔法とは世界の理に魔力で干渉し具現化する技術の事。詠唱は魔力を込めた言葉、即ち言霊で世界に訴えかけて望んだ現象を引き起こすのに使う」
「え、でもレンちゃんは詠唱してなかったよね?」
「……レンは規格外だから。無詠唱は一流の魔法使いが使う技術。ボクも使えないし使い方が分からないから教えられない」
「あ、そうなんだ。……なんか、ごめんね」
「別にいい。使えないのは事実だから。まずは簡単な火を起こす魔法からやってみて。詠唱は『火よ、灯れ』。慣れると『火よ』だけで出来たり、詠唱が要らなくても出来るようになったりする」
「分かった、やってみる……。すーはー……火よ、灯れ」
百合の掌の先に、火が灯らなかった。
ボクはレンと違って魔力の流れが分からないので何も指示も指摘も出来ず、根気よく実践してもらうしか出来ない。
そうしているとハイネの魔力が尽きたからとこっちの様子を見に来たので、そのまま百合の魔力の流れを見てもらう。
「う~ん……言い難いんだけど、百合ちゃんは魔力の流れが凄く悪いみたい。だから発動まで持っていく事が出来ていないんだ。まずは魔力が流れるようにする所から始めないとダメみたいだね」
「そんなぁ……」
「毎日コツコツと地道に頑張るしかないね。雨垂れ石を穿つって言うしさ」
?
よく分からない言葉だけど、話の流れ的に多分努力は実るとかそういう意味なんだと思う。
今日はこのまま魔力の流れをレンに見てもらって終わった。
百合の魔法は発動しないままだったけど。
「まずハイネちゃんに聞くけど魔法を使うのにおいて1番大事なのは何か分かる?」
「え? そんなの、詠唱じゃないの……?」
「ぶっぶー、外れです。正解は魔力操作です。魔法を使うにしたって魔力操作が巧みな人と稚拙な人じゃ同じ魔法を使うにしても、結果に差が出来るからね。巧みな人が魔力5を使って威力10の魔法を使うのに対して、稚拙な人は威力10の魔法を使うのに魔力50使ったりするからね。更に言うなら魔力操作が上手くなれば魔法発動までに掛かる時間を短縮出来るし、魔力を直接操作して魔法を発露させたり、新たな魔法を作ったりも出来るからね。だから1番大事なのは魔力操作なわけ。ルセアちゃんには今その魔力操作を練習してもらってるんだよね」
「うん。でもまだ魔法の発動が少し早くなった程度で使い物にならない」
「ちゃんと成果が出てる時点で十分だとは思うけどね。それと、魔力纏いにも効果あるよ。あれも魔力を扱う技術だからね。ハイネちゃんも魔力操作が得意じゃないのか集まるのに時間かかってたし、覚えて損はないよ」
「そっか。なら今度から意識してみるよ」
「とまあ、そんなわけでまずは魔力操作が重要なわけ。魔法発動に関しては個人差もあるし、学校とかで学んだりしたわけじゃないからあまり変な事言えないんだけど、それでもあえて言うのなら、大事なのは理解する事かな」
「理解?」
「そう。自分が使う魔法がどういう魔法なのか、どういう効果なのかを理解する事でより効率よく魔法を発動出来るし、そこから魔法を強化・発展させる事も出来るからね」
例えば、炸裂する火の魔法があったとする。
炸裂する部分を強化すれば爆裂する火の魔法になる。
火の部分を強化すれば魔法の範囲が広がる。
でも、魔法の事を理解していなければどこをどう強化すればいいかも分からないから素の魔法でしか使えない。
そんな応用力のない魔法使いと応用力のある魔法使い。
重宝されるのはどっちかなんて、言うまでもないだろう。
「とまあ、簡単な説明はこのくらいにして、何か質問はある?」
「はい」
「はい、百合ちゃん。何かな?」
「魔法の使い方の説明がそもそもないんだけど……」
「あー、俺結構感覚でやってるから説明するのがねー……勉強とかも割と独学だし……そういうのはどちらかというとルセアちゃんの方がいいかな。というわけで百合ちゃんへの魔法指導お願いね。魔力使ってるから特訓も出来ないしちょうどいいよね。それに人に教えると理解力が増すって言うし」
「分かった。頑張る」
「とまあ、そんな感じで説明はこのくらいにして、この後は実践に写ろうか。百合ちゃんはルセアちゃんとマンツーマンで、ハイネちゃんは俺とマンツーマンって事で」
万が一のことも考えてそれなりに離れて指導をする。
百合ちゃんはきっと日本人だから。
俺の願望も入ってるのかもしれないけど、日本人だと思う。
低ランク冒険者で戦い慣れてない感じからしてこの世界に来てからはまだそんなに経ってないはず。
なら、魔法の扱いが不得手でもおかしくはない。
流れ弾を警戒するに越したことはないだろう。
俺?
チートですが、何か?
「で、ハイネちゃんは魔法はどんな感じ?」
「まあ、簡単な現象を起こすくらいならかなー。こんな感じで……火よ」
ーーボッ
ハイネちゃんの掌の上に炎が灯る。
「ショボいね」
「言わないで……自覚してるからさ」
「んー、ハイネちゃんは狐火とか使えないの?」
「あっはっはー、使えたらいいんだけどねー……残念ながらそっち方面はからっきしでさー、だからこうして色々と教わろうと思ってるわけ」
「なるほどねー。種族固有の能力だから何とも言えないけど、さっきも言った通り大事なのは理解する事。どういう能力なのか、どのように発動するのかを理解していればそれは実際に発動する手助けになると思うよ」
「そうだね。私も色々と試してみるよ。でも今は……」
「うん。魔力操作だね」
魔力支配と鑑定を併用してハイネちゃんの魔力の流れを見ていく。
ハイネちゃんは魔力纏いを使えるからなのか手に魔力を集めるのは出来ている。
でもそこまでで属性へと変換させるのが不得手な模様。
狐火自体がどういう能力なのか実際に見た事ないので解析する事も出来ず教える事は残念ながら不可能。
なので今回はとにかく魔力操作の習熟度を高めてもらう事にする。
ハイネちゃんは手に魔力を集める事は出来ているけど足に集める事は出来ないので全身に魔力を巡らせる事を意識してもらう。
実際に手足に纏わせるのを見せたり、魔力の流れを口頭で説明したりする。
そうしている間に魔力をハイネちゃんは魔力を使い切り特訓する事が出来なくなった。
手合わせの時にも魔力を使っていたからしょうがない。
今日はここまでかな。
~ルセア視点~
「じゃあ、まず魔法について説明する。魔法とは世界の理に魔力で干渉し具現化する技術の事。詠唱は魔力を込めた言葉、即ち言霊で世界に訴えかけて望んだ現象を引き起こすのに使う」
「え、でもレンちゃんは詠唱してなかったよね?」
「……レンは規格外だから。無詠唱は一流の魔法使いが使う技術。ボクも使えないし使い方が分からないから教えられない」
「あ、そうなんだ。……なんか、ごめんね」
「別にいい。使えないのは事実だから。まずは簡単な火を起こす魔法からやってみて。詠唱は『火よ、灯れ』。慣れると『火よ』だけで出来たり、詠唱が要らなくても出来るようになったりする」
「分かった、やってみる……。すーはー……火よ、灯れ」
百合の掌の先に、火が灯らなかった。
ボクはレンと違って魔力の流れが分からないので何も指示も指摘も出来ず、根気よく実践してもらうしか出来ない。
そうしているとハイネの魔力が尽きたからとこっちの様子を見に来たので、そのまま百合の魔力の流れを見てもらう。
「う~ん……言い難いんだけど、百合ちゃんは魔力の流れが凄く悪いみたい。だから発動まで持っていく事が出来ていないんだ。まずは魔力が流れるようにする所から始めないとダメみたいだね」
「そんなぁ……」
「毎日コツコツと地道に頑張るしかないね。雨垂れ石を穿つって言うしさ」
?
よく分からない言葉だけど、話の流れ的に多分努力は実るとかそういう意味なんだと思う。
今日はこのまま魔力の流れをレンに見てもらって終わった。
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