上 下
39 / 126

レンちゃん先生の魔法講座。後魔力操作

しおりを挟む
午後からは後衛陣の近接訓練といきたい所だけど、百合ちゃんが使い物にならないし、ハイネちゃんのお願いという事もあって魔法講座となった。

「まずハイネちゃんに聞くけど魔法を使うのにおいて1番大事なのは何か分かる?」
「え?  そんなの、詠唱じゃないの……?」
「ぶっぶー、外れです。正解は魔力操作です。魔法を使うにしたって魔力操作が巧みな人と稚拙な人じゃ同じ魔法を使うにしても、結果に差が出来るからね。巧みな人が魔力5を使って威力10の魔法を使うのに対して、稚拙な人は威力10の魔法を使うのに魔力50使ったりするからね。更に言うなら魔力操作が上手くなれば魔法発動までに掛かる時間を短縮出来るし、魔力を直接操作して魔法を発露させたり、新たな魔法を作ったりも出来るからね。だから1番大事なのは魔力操作なわけ。ルセアちゃんには今その魔力操作を練習してもらってるんだよね」
「うん。でもまだ魔法の発動が少し早くなった程度で使い物にならない」
「ちゃんと成果が出てる時点で十分だとは思うけどね。それと、魔力纏いにも効果あるよ。あれも魔力を扱う技術だからね。ハイネちゃんも魔力操作が得意じゃないのか集まるのに時間かかってたし、覚えて損はないよ」
「そっか。なら今度から意識してみるよ」
「とまあ、そんなわけでまずは魔力操作が重要なわけ。魔法発動に関しては個人差もあるし、学校とかで学んだりしたわけじゃないからあまり変な事言えないんだけど、それでもあえて言うのなら、大事なのは理解する事かな」
「理解?」
「そう。自分が使う魔法がどういう魔法なのか、どういう効果なのかを理解する事でより効率よく魔法を発動出来るし、そこから魔法を強化・発展させる事も出来るからね」

例えば、炸裂する火の魔法があったとする。
炸裂する部分を強化すれば爆裂する火の魔法になる。
火の部分を強化すれば魔法の範囲が広がる。
でも、魔法の事を理解していなければどこをどう強化すればいいかも分からないから素の魔法でしか使えない。
そんな応用力のない魔法使いと応用力のある魔法使い。
重宝されるのはどっちかなんて、言うまでもないだろう。

「とまあ、簡単な説明はこのくらいにして、何か質問はある?」
「はい」
「はい、百合ちゃん。何かな?」
「魔法の使い方の説明がそもそもないんだけど……」
「あー、俺結構感覚でやってるから説明するのがねー……勉強とかも割と独学だし……そういうのはどちらかというとルセアちゃんの方がいいかな。というわけで百合ちゃんへの魔法指導お願いね。魔力使ってるから特訓も出来ないしちょうどいいよね。それに人に教えると理解力が増すって言うし」
「分かった。頑張る」
「とまあ、そんな感じで説明はこのくらいにして、この後は実践に写ろうか。百合ちゃんはルセアちゃんとマンツーマンで、ハイネちゃんは俺とマンツーマンって事で」

万が一のことも考えてそれなりに離れて指導をする。
百合ちゃんはきっと日本人だから。
俺の願望も入ってるのかもしれないけど、日本人だと思う。
低ランク冒険者で戦い慣れてない感じからしてこの世界に来てからはまだそんなに経ってないはず。
なら、魔法の扱いが不得手でもおかしくはない。
流れ弾を警戒するに越したことはないだろう。
俺?
チートですが、何か?

「で、ハイネちゃんは魔法はどんな感じ?」
「まあ、簡単な現象を起こすくらいならかなー。こんな感じで……火よ」

ーーボッ

ハイネちゃんの掌の上に炎が灯る。

「ショボいね」
「言わないで……自覚してるからさ」
「んー、ハイネちゃんは狐火とか使えないの?」
「あっはっはー、使えたらいいんだけどねー……残念ながらそっち方面はからっきしでさー、だからこうして色々と教わろうと思ってるわけ」
「なるほどねー。種族固有の能力だから何とも言えないけど、さっきも言った通り大事なのは理解する事。どういう能力なのか、どのように発動するのかを理解していればそれは実際に発動する手助けになると思うよ」
「そうだね。私も色々と試してみるよ。でも今は……」
「うん。魔力操作だね」

魔力支配と鑑定を併用してハイネちゃんの魔力の流れを見ていく。
ハイネちゃんは魔力纏いを使えるからなのか手に魔力を集めるのは出来ている。
でもそこまでで属性へと変換させるのが不得手な模様。
狐火自体がどういう能力なのか実際に見た事ないので解析する事も出来ず教える事は残念ながら不可能。
なので今回はとにかく魔力操作の習熟度を高めてもらう事にする。
ハイネちゃんは手に魔力を集める事は出来ているけど足に集める事は出来ないので全身に魔力を巡らせる事を意識してもらう。
実際に手足に纏わせるのを見せたり、魔力の流れを口頭で説明したりする。
そうしている間に魔力をハイネちゃんは魔力を使い切り特訓する事が出来なくなった。
手合わせの時にも魔力を使っていたからしょうがない。
今日はここまでかな。

~ルセア視点~

「じゃあ、まず魔法について説明する。魔法とは世界の理に魔力で干渉し具現化する技術の事。詠唱は魔力を込めた言葉、即ち言霊で世界に訴えかけて望んだ現象を引き起こすのに使う」
「え、でもレンちゃんは詠唱してなかったよね?」
「……レンは規格外だから。無詠唱は一流の魔法使いが使う技術。ボクも使えないし使い方が分からないから教えられない」
「あ、そうなんだ。……なんか、ごめんね」
「別にいい。使えないのは事実だから。まずは簡単な火を起こす魔法からやってみて。詠唱は『火よ、灯れ』。慣れると『火よ』だけで出来たり、詠唱が要らなくても出来るようになったりする」
「分かった、やってみる……。すーはー……火よ、灯れ」

百合の掌の先に、火が灯らなかった。
ボクはレンと違って魔力の流れが分からないので何も指示も指摘も出来ず、根気よく実践してもらうしか出来ない。
そうしているとハイネの魔力が尽きたからとこっちの様子を見に来たので、そのまま百合の魔力の流れを見てもらう。

「う~ん……言い難いんだけど、百合ちゃんは魔力の流れが凄く悪いみたい。だから発動まで持っていく事が出来ていないんだ。まずは魔力が流れるようにする所から始めないとダメみたいだね」
「そんなぁ……」
「毎日コツコツと地道に頑張るしかないね。雨垂れ石を穿つって言うしさ」


よく分からない言葉だけど、話の流れ的に多分努力は実るとかそういう意味なんだと思う。
今日はこのまま魔力の流れをレンに見てもらって終わった。
百合の魔法は発動しないままだったけど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

ちゅー
ファンタジー
なんの変哲も無いDVDプレーヤー それはAVの世界へ転移させられる魔性の快楽装置だった 女の身体の快楽を徹底的に焦らされ叩き込まれ心までも堕とされる者 手足を拘束され、オモチャで延々と絶頂を味わされる者 潜入先で捕まり、媚薬を打たれ狂う様によがる者 そんなエロ要素しかない話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...