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ハーピィ戦終了

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まさしく野戦病院といった感じの、治療しても治療しても次から次に怪我人が運び込まれる嵐のような時間が過ぎ去り、なんとかかんとか一息つく暇を得ることができた。

「やっと一息つける……」
「お疲れ様、レン」
「ルセアちゃんもお疲れ様~」
「レンほどじゃないよ」

怪我人が運び込まれてこないという事は戦いは終わりそうって事だよね?
そう思って外に出てみると、確かに戦いは終盤ではあるんだろうが、そこにあった光景は優勢とはとてもいえなくて、お互いに数を減らし合ってどちらも残っているの10人居るかどうかというもの。
こっちは囮の護衛とかを動員すれば倒し切れるかもしれない。
でも、移動の間に囮の人達が捕まるかもしれない。
そのせいで動けないんだろう。

なら俺が行けば……。
目立ちたくはないし、楽しくえっちに自由に過ごしたいとは思うが、だからって今も戦っているあの人達を見捨てるのはなんか違う。
というか男共は何をしてんだよ。
攫われるつっても、もうこんだけ消耗させてんだから問題ないだろこれ。
さっさと戦って、そんで倒した方が安全じゃねーのかよ?
それでもちんこ付いてんのかよ!

そう思いながら見ていると、女冒険者の1人が1匹のハーピィを倒す。
その人に続けとばかりにもう1匹、更にもう1匹と倒された所でハーピィ達が逃げていった。
勝った……のか?
そうか……あの人達、勝ったのか……。

「行くよ、ルセアちゃん」

英雄達の凱旋が傷だらけの血塗れなんて良くない。
あの英雄達は女の子なんだから。

「大丈夫ですか?  怪我をしている人は診せてください」
「君達は……?」
「サポート部隊です。俺は治療魔法が使えるので遠慮なく言ってください」
「なら、こいつを頼む!  こいつ腕の骨折ってんだよ!  それなのに、あんな無茶を……」
「それを言うならリエリィだって脇腹を……」
「うるさい。アタシは大丈夫だ!  それよりも、マーサを頼む……」
「はいはい、痴話喧嘩はいいですから、さっさと傷口を見せてください。全員治しますから」

リエリィと呼ばれた女性の脇腹は抉られたのかのような傷跡で、どうしてこれで戦えたのか不思議に思えるくらい酷いものだ。
ルセアちゃんに頼んで傷口の汚れを流してから怪我を治していく。
抉れていた傷口が塞がるが流した血は戻ってこないので、しばらくは安静にするように伝える。
脇腹の傷以外にも怪我はないかと確認して行くが……結構、いい腹筋してるし、くびれも……いやいや。
今はそれどころじゃない。
他の人達も治療待ちだ。
脇腹以外には細かな傷だけだったのでリエリィさんの治療は一旦終了として他の人の治療に移る。

マーサさんは骨折だったかな?
なので鑑定で状態を確認しながら骨の位置を調節し、ルセアちゃんに支えてもらいながら治療魔法を使い治す。
他の人達も骨折やら裂傷やらなんやらで結構酷い傷でよくもまあこれで戦えたもんだと思う。
でも、これも英雄の勲章なんだろうな。

「これで、全員終わりです。まだ細かな傷は残ってますが、こっちの方が英雄らしくてかっこいいですよね?」
「英雄って、アタシらが!?」
「そうですよ。最後まで戦い抜いて見事ハーピィ達を撃退したんですから! 間違いなく英雄ですよ!」
「そ、そっか……」

リエリィさん達は恥ずかしそうにしながらも、何処か嬉しげだ。
うん。
俺みたいな、なんかよく分からない内にチートを与えられたような奴ではなく、こういう傷だらけになりながらも必死に歯を食いしばって抗い続けた人達こそ英雄と呼ばれるべきだ。
あの時……飛び出さなくてよかった。
彼女達の頑張りを無駄にしなくて本当によかった。

英雄達の凱旋だ。
1番怪我の酷かったリエリィさんを肩車しながら街の中へと帰って行く。

「ちょっ、まっ、恥ずかしいからやめてくれ!  というか、力強いなお前!?」

まあ、ゴブリン狩りして地味にレベルアップしてますから。
それとちょっと身体強化も使ってるしね。

街の中に入って行くと怪我をして後退して行ったであろう人達がリエリィさん達を讃えたり叩いたりしてくる。
いやいや、彼女達さっきまで大怪我してたからね!?
治したけど、でも叩くのはやめてあげて!
讃えるのならバンバンやっていいからさ!

本当ならこのまま返して安静にしててもらいたいところだけど、組合への報告もあるので組合に行くとそこでもリエリィさん達は称賛される。
しかしここではリエリィさん達だけじゃなくて俺達も褒められた。
よく見れば何人か見覚えのある人達がいるし、多分だけど今褒めてくれてる人達は俺達が救った人達なんだろう。
やばい……嬉しくてちょっと涙出そう。

その後、リエリィさん達が組合の人達に讃えられながらランクを1つ上げてもらう。
このランクというのは良くあるアレである。
この世界の冒険者組合では最初に登録した冒険者はランク1から始め、そこから依頼をこなして実績ポイントを稼いでランクを上げていく。
簡単な依頼を沢山こなせば確実に実績ポイントを稼げるけど、それでは雑魚でもランクが上げられるという事になるのでそれを防ぐために組合から指定された内容をクリアして初めてランクが上がる。
今回は試験をしたわけじゃないが、それに匹敵する功績という事で上がってる。

「よっしゃあああ!  これでギルドが作れるー!!」

ギルドは冒険者組合に登録する1つの集団の事で、簡単に言えばオンラインゲームとかのギルドとかクランとか同盟とかそういう感じの奴で組合の中の一組織。
ギルドリーダーにはランク6以上の者だけがなる事が出来るので俺にはまだまだ関係ない仕組みである。

それと、なんか俺達も上げてもらえた。
まあ、そもそもランクがまだ最初の1だしね。
ゴブリン狩りである程度実績ポイントも溜まっていた所に今回のこれでドドンと稼いだし、俺達によって命を救われた人達も多くおり、それだけの功績なんだとか。

他にも参加していた人達の多くがランクが上がり、上がらなかった人達もたくさんの実績ポイントを貰い、それぞれが今回の報酬を受け取ってこの場はお開き……にならなかった。
硬っ苦しい話はこれで終わりと宴会に突入。
治療したとはいえ怪我人がいっぱいいたんだから休ませろよ!

「まあまあ、そうぷりぷりすんなって。これには死んだ奴らへの弔いの意味もあるんだよ……お前達のおかげでこうして楽しく過ごすことが出来ますっていう感謝を示してるんだ」
「そういう事ならまあ……でも、無理だけはしないでくださいね。後お酒は控えてください。リエリィさんは特に多くの血を失ったんですから」
「マジか……」
「マジです」

献血の後はお酒は控えてってなんかで見たからな。
それ以上に血を失ってる人が飲酒なんてあまり褒められた事じゃないだろう。

「くそっ!  ならせめて美味いもん出来るだけ食ってやる!」
「ちょっ、リエリィがっつきすぎ!」

あはは……まあ、飲酒よりかはマシ……なのかな?
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