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遊戯
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そうして勇輝が決意したタイミングを見計らったかのようなタイミングでドアがノックされた。
そのノックに応じるために雪羅がドアを開けるとそこには盗賊に捕まっていた少女達が揃っていた。
なので雪羅は彼女達の用件を聞くために声を掛ける。
「どうしたの?」
「えっと。お昼ご飯を一緒に食べたいなと思って。それにまだちゃんとお礼もしてなかったから…。」
「そう。それじゃ一緒に食べようね。ちょっと待っててね。今、準備するから。」
「「「「うん。」」」」
元気の良い返事を聞きながら雪羅は勇輝の元へと向かう。
その一方で少女達は雪羅と勇輝の関係についてヒソヒソと話し合っていた。
歳若くともやはり女である。
(一緒の部屋にいたよ。やっぱりそういう関係かなぁ。)
(どうだろう。でも美人だよね。)
(うん。それにお兄ちゃんも可愛い顔してるよね。)
( ( (ね~。) ) )
「あら、こんなところでどうしたの?」
「あ、お姉ちゃん。お兄ちゃんと一緒にご飯食べたいなと思って来たの。」
「そうなの。でも流石にこの人数でこの部屋で食べるのは無理があるから広い所……そうね、庭で食べましょうか。」
「お庭で!いいの?」
「もちろん。」
アリスが少女達と話している間に勇輝が部屋から出てくる。
「あれ? アリスさん? アリスさんも一緒にお昼を?」
「あ、ユウキさん。はい。そう思って来たのですが流石に人数が多いので庭で食べようかと話してたところです。」
「そうなんですか。それじゃ行きましょう。もちろんメイドさん達も一緒にね。」
「わかりました。それでは昼食を庭に運んでください。」
「かしこまりました。少々時間がかかると思いますから先にお庭へと向かってください。」
勇輝がこれまで通りメイドと一緒に食べようと言い、アリスはそれに返事をするとそのまま昼食を持ってきていたメイドに庭へ運ぶように指示を出す。
そしてその言葉には少女達の分も含まれており、それを察しているメイドは時間がかかる事を告げると直ぐに食事を運んでいく。
◇
「いただきます。」
勇輝が手を合わせてそう宣言する。
それを見た少女達の代表格のような少女…シルフィが質問をする。
「お兄ちゃん。そのイタダキマスってなんですか?」
「これはね、料理を作ってくれた人にありがとうっていう感謝とか、食材にあなた達の命のお陰で今日も生きられますっていうお礼とか、そういう意味がある僕の故郷の風習かな。」
「? ? ? 」
「あははは。まあ、要するにいつもご飯をありがとうって事だよ。」
「そうなんだ。じゃあ、せーの。」
シルフィは周りにいる子達へと視線を巡らせて意思を伝えると
「「「「いたたきます。」」」」
「「「い、いたたきます。」」」
一斉にそう宣言した。
それに少し遅れて慌てたアリスとメイド二人が宣言する。
それからは和気藹々と少女達が増えた事によって昨日よりも少しばかり騒々しくも楽しく昼食の時間が過ぎていく。
「そういえばお兄ちゃん。葛さん達は?」
少女達の一人であるリリがそう質問する。
「話したいの?」
「はい。」
「分かった。ちょっと待ってて。『式神召喚、葛、豪鬼。』」
勇輝が召喚するとリリが話しかける。
しかしその所為で食事が疎かになっているからアリスが注意すると今度は先程とは打って変わって一心不乱に食べだす。
それにつられるように他の子達もはぐはぐと食べる。
そしてそれを見た勇輝達はほっこりとした表情で眺める。
食事を終え食休みをしている勇輝達だったが、少女達が一緒に遊ぼうと誘う。
最初は渋るが何度も強請る少女達に根負けし、勇輝、アリス、雪羅、リルカ、メイドのユリネ、葛、豪鬼は少女達と一緒に遊ぶ事にした。
それから、鬼ごっこから始まり、かくれんぼ、勇輝が伝えたドロケイ、影鬼を日が暮れるまで遊んだ。
~執務室にて~
「アリスは仕事を放り出して何をやっているのだ!」
「旦那様。アリス様は子供達と一緒に遊んでいるようですよ。盗賊に捕まり家に帰ることも出来ず、奴隷にされる所だったかわいそうな子達と楽しそうに。今、アリス様が連れて行かれる所を目撃しようものなら攫われた時の恐怖を思い出すかもしれませんね。」
「ぐっ!そのような事を言われれば叱ることも出来ぬではないか。全く、お前という奴は。」
「一応旦那様の幼馴染ですからね。」
「一応は余計だ、バカもの。」
少女達と遊んでいた為に仕事を出来なかったアリス。
その分まで仕事をする事になった父ドレアスだが、窓から見える楽しそうなアリスを慈しむように見ていた。
◇
「あ~、楽しかった。こんなに遊んだのは初めてだ。」
幼き頃より仮契約の過負荷によってろくに運動することが出来なかった勇輝にとって人生で初めての体験だった。
童心に返って遊ぶと言うが、童心で遊べなかった勇輝は初めて童心を満喫した。
この日はそのまま徹底洗浄されて、既に定番となりつつある、アリスとメイド達を交えての食事をし、そして初めての遊びからくる疲労によって気持ちよく眠るのだった。
そのノックに応じるために雪羅がドアを開けるとそこには盗賊に捕まっていた少女達が揃っていた。
なので雪羅は彼女達の用件を聞くために声を掛ける。
「どうしたの?」
「えっと。お昼ご飯を一緒に食べたいなと思って。それにまだちゃんとお礼もしてなかったから…。」
「そう。それじゃ一緒に食べようね。ちょっと待っててね。今、準備するから。」
「「「「うん。」」」」
元気の良い返事を聞きながら雪羅は勇輝の元へと向かう。
その一方で少女達は雪羅と勇輝の関係についてヒソヒソと話し合っていた。
歳若くともやはり女である。
(一緒の部屋にいたよ。やっぱりそういう関係かなぁ。)
(どうだろう。でも美人だよね。)
(うん。それにお兄ちゃんも可愛い顔してるよね。)
( ( (ね~。) ) )
「あら、こんなところでどうしたの?」
「あ、お姉ちゃん。お兄ちゃんと一緒にご飯食べたいなと思って来たの。」
「そうなの。でも流石にこの人数でこの部屋で食べるのは無理があるから広い所……そうね、庭で食べましょうか。」
「お庭で!いいの?」
「もちろん。」
アリスが少女達と話している間に勇輝が部屋から出てくる。
「あれ? アリスさん? アリスさんも一緒にお昼を?」
「あ、ユウキさん。はい。そう思って来たのですが流石に人数が多いので庭で食べようかと話してたところです。」
「そうなんですか。それじゃ行きましょう。もちろんメイドさん達も一緒にね。」
「わかりました。それでは昼食を庭に運んでください。」
「かしこまりました。少々時間がかかると思いますから先にお庭へと向かってください。」
勇輝がこれまで通りメイドと一緒に食べようと言い、アリスはそれに返事をするとそのまま昼食を持ってきていたメイドに庭へ運ぶように指示を出す。
そしてその言葉には少女達の分も含まれており、それを察しているメイドは時間がかかる事を告げると直ぐに食事を運んでいく。
◇
「いただきます。」
勇輝が手を合わせてそう宣言する。
それを見た少女達の代表格のような少女…シルフィが質問をする。
「お兄ちゃん。そのイタダキマスってなんですか?」
「これはね、料理を作ってくれた人にありがとうっていう感謝とか、食材にあなた達の命のお陰で今日も生きられますっていうお礼とか、そういう意味がある僕の故郷の風習かな。」
「? ? ? 」
「あははは。まあ、要するにいつもご飯をありがとうって事だよ。」
「そうなんだ。じゃあ、せーの。」
シルフィは周りにいる子達へと視線を巡らせて意思を伝えると
「「「「いたたきます。」」」」
「「「い、いたたきます。」」」
一斉にそう宣言した。
それに少し遅れて慌てたアリスとメイド二人が宣言する。
それからは和気藹々と少女達が増えた事によって昨日よりも少しばかり騒々しくも楽しく昼食の時間が過ぎていく。
「そういえばお兄ちゃん。葛さん達は?」
少女達の一人であるリリがそう質問する。
「話したいの?」
「はい。」
「分かった。ちょっと待ってて。『式神召喚、葛、豪鬼。』」
勇輝が召喚するとリリが話しかける。
しかしその所為で食事が疎かになっているからアリスが注意すると今度は先程とは打って変わって一心不乱に食べだす。
それにつられるように他の子達もはぐはぐと食べる。
そしてそれを見た勇輝達はほっこりとした表情で眺める。
食事を終え食休みをしている勇輝達だったが、少女達が一緒に遊ぼうと誘う。
最初は渋るが何度も強請る少女達に根負けし、勇輝、アリス、雪羅、リルカ、メイドのユリネ、葛、豪鬼は少女達と一緒に遊ぶ事にした。
それから、鬼ごっこから始まり、かくれんぼ、勇輝が伝えたドロケイ、影鬼を日が暮れるまで遊んだ。
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「ぐっ!そのような事を言われれば叱ることも出来ぬではないか。全く、お前という奴は。」
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