病弱だったから異世界で元気に生活する。(仮)

椎茸大使

文字の大きさ
上 下
22 / 47

魔法

しおりを挟む
「あれ?  どうしたんですか、ユウキ様、アオイ様、アリス?」
「とりあえず城の中を見て回ってその後、魔法の練習でもしようかなと思ってたんだけど、ここに案内されたらたまたまリリアさん達が居たんだよ。」
「そうですか。………随分と吹っ切れた顔をしていますが、何かありましたか?」
「ユウキさんが優しいリリアの事を助けたいって。」
「ちょっ、アリスさん!  なんで言うんですか!?」
「いえ、これから家族になるかもしれないのですから、隠し事はないほうがいいと思って。」
「むー。ゆー君は私のなんだから!」
「……だから僕は誰のものでもないってば。」
「ふふっ。そうですか。私達はこの後使用人達の私室を視ていかないといけませんので手伝う事は出来ませんが、魔法の練習、頑張ってくださいね。応援してますから。」
「うぅ、はい。がんばります。」

「二匹見つけたの。」
「ありがとうございます、白音さん。それではユウキ様、アオイ様、アリス。私達はこれで失礼します。」
「良き修練を。」
「頑張るの。」

リリア達は勇輝達に声をかけるとそのまま次の目的地へと向かった。

「それではユウキさん、アオイさん。次に行きましょうか。」
「「はい。」」

城の案内が再開され、小浴場、貴賓室、王族専用の浴場、武器庫、近衛兵の詰所を案内された後、再び訓練場へとやってきた。

「魔法の練習をすると言ってましたけど、ユウキさんは魔法のことをどの程度まで知ってますか?」
「色んな属性がある。いろいろできる。」
「…………………それだけですか?」
「それだけです。」
「………………………。」

魔法の練習をしようと言った張本人の知識量の乏しさにアリスは思わず絶句する。

「それで、よく練習しようと思いましたね。」

アリスが若干呆れながら言うが、知らないから、ちゃんと使えないからこそ練習するのだと勇輝は言い、更に今迄に使ったことのある魔法(レティアにサポートしてもらってだが)を告げる。

「そうですか。ユウキさんはもちろん、アオイさんも魔法のことは何も知りませんよね。」
「うん。なんか魔力をみゅーってやってグワァーってやるとなんか出る奴だよね。」
「ゆーちゃん……何そのアバウトな表現。」
「漫画とかだとそうじゃない?」
「そうだけど。」
「えーっと、まあ、かなり大雑把に言えば大体そんな感じ……ですね。」
「通じた!?」
「ゆー君ひどい。」
「あ、ごめん。」
「こほん。それでもう少し詳しく説明するとですね。魔法発動に必要なのが魔力。魔法の威力に影響するのが魔攻です。そして魔法には様々な属性があり、人の適正属性は一生変わらないと言われている一方で頑張ったら覚えた、レベルが上がったら増えてたという話を聞いたことがあります。まあ、要するに増えるかどうかは分からないってことですね。」
「いや、分からないならなんで言うの?」
「こういう事はちゃんと言っておいたほうがいいかと思って。それでですね、魔法を使うにはイメージが重要なんです。魔力を元にイメージで魔法を構成して放つって感じです。そして魔力の扱い方なんですが、これもまた様々な意見がありまして、魔力は勝手に使われる、胸の奥から湧き上がる、全身を巡っているのを使う、全身に粒子として存在しそれを集めて使うといった風にまちまちですし、研究も難航しているそうです。ちなみに私は胸の奥から湧き上がるですね。」
「それってつまり……」
「ええ。人それぞれってことですね。あ、でも一度でも成功すれば後は自然とできるようになりますから。」
「わかりました。とりあえずやってみます。」
「私も。」

一度でも成功すればと言われたので、まずは一回自力で成功させようと勇輝と葵は練習を始める。

~勇輝の場合~

そうえいばスキルも魔力を使ってるのに意識しなくても出来るよね。
て事は僕は自然に使われるってことかな?
いや、でもまだそうと決まったわけじゃないし、魔法はレティアに任せてたからなんらかの形で魔力を制御する必要があるってことだよね。
こういう時は瞑想だ。
座禅をして、心を落ち着けて、目を閉じて、呼吸を整えて。

…………………………………!!

胸の奥に何かを感じる。
これが魔力か?
なら、これを使って。

「ダークショット!」

バシュッ!

「出た!」

~葵の場合~

とりあえずそれっぽくやってみようかな。

「はぁ!」

全身に力を入れてこう、身体からオーラのような物が出てるイメージで気合いの声を出してみた。
すると身体の中を巡る血のようなものの流れを感じた。
きっとこれだ。
今なら出来るはず。
あの、超有名RPGの魔法が。

「○ラゾーマ!」

ゴオオォォ!

「出来たー!」

~アリス視点~

「出た!」
「出来たー!」

嘘。
最初に魔法を発動させるまでには普通は一ヶ月。
早くても七日ははかかるはずなのに。
それをこんな簡単に出来るなんて。
これが、勇者。

※注 アリスは三日で出来ました。

~本編へ~

「お二人とも凄いです!!  まさかこんなに早く出来るようになるなんて!」
「そんなに凄いの?」
「凄いなんてもんじゃないですよ。普通なら一ヶ月はかかるはずなのにそれをたった一分で出来るようになるなんて!」
「勇者ってのが影響してるのかもね。」
「そうかも。」
「それでこれからどうしましょうか?  お二人の魔法適性は素晴らしいのですが、その全てをとなると流石に時間が足りませんから。スキルや近接戦闘のことも考えると尚のことですし。」
「そうだなぁ~、じゃあ僕は水と~風で。」
「闇じゃないの?」
「うん。闇はレティアがいるから。」
「そっか。じゃあ、私は火と光で。」
「ところで、さっきのあれ。メ○ゾーマって言った?」
「あ、うん。パッと思いついたから。」
「次からは止めよう。なんか、ス○エニさんに悪いから。」
「じゃあ、ラ○ティーネイルは?  か○はめ波は?」
「鳥山明!  だからそういうのは止めたほうがいいって。」
「なんで?  ここ異世界だよ。著作権無いよ。」
「そうだけど、やっぱりそういうのは良くないよ。」
「わかった。」

ほっ!
どうやら怒られなくてすみそう……じゃなかった。
自身が練習する属性を決めた勇輝と葵は早速練習を始めるのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

女神様の使い、5歳からやってます

めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。 「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」 女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに? 優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕! 基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。 戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

処理中です...