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困惑
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アリシアが去ってからの少しの時間、この場にいた者全てが夢を見ていたかのような、そんな不思議な感覚に襲われていた。
突然神が降臨したのだから仕方ない。
そして、その夢のような感覚から真っ先に我に返ったのはリリアーナだった。
リリアーナは先ず、いつの間にかいた勇輝に声をかける。
「それで、あの、ユーくんさん? あなたは一体誰なんですか? ここは王城の中でもごく一部の人しか入る事を許されていない神聖な場所なんですが。」
「えと、ユーくんさんじゃなくて御神勇輝です。勇輝が名前です。それで、誰かというのと、何故ここにという質問ですけど、その答えは僕が勇者で召喚主であると思われるリリアーナさんに会う為です。」
「えっ!? 勇者様!?」
「はい。一昨日に気が付いたら草原の中でベッドの上で寝ていました。」
「ベッドの上って……。それって大丈夫だったの、ゆー君?」
「うん。雪羅とレティアがいたから大丈夫だったよ。」
「雪羅? レティア? ねぇ、ゆー君。それって誰のことかな? ひょっとして後ろにいる綺麗な二人のコトカナ?」
「ゆー…ちゃん?」
「この二日間。私は突然消えたゆー君を探して街中を探し回っていたのにゆー君は随分と楽しい思いをしていたようね?」
「えとね、ゆーちゃん。後ろの、青銀の髪の人は、僕の式神で、レティアも式神だよ。それに後ろの、金髪の人はアリスさんといって、貴族様の娘さんだよ。だからそんな楽しいだなんて……」
「うふふふ。」
「あ、あははは……」
「そこに正座!!」
「はいー!」
(あの、私は無視ですか?)
会話してた筈が突然割り込んだ葵に呆気にとられるリリアーナに、正座させる勇者に正座する勇者。それを微笑ましそうに見るアリスにナンパするジャクソンに無視する雪羅にどうしたものかと狼狽えるランドルというカオスな光景がしばらく広がっていた。
なんだこれ。
◇
「つまり、ゆー君はあそこにいる和服の人や他の女の人といやらしい関係になったって事でいいかな?」
「なんで!?」
勇輝を正座させた葵はそのままこれまでの事を説明させた。
その上での発言がこれだ。
ちなみにジャクソンは氷像となっており、ランドルはその氷を砕いています。
そして姫王は空気です。
「だってあんな綺麗な人と主従契約なんて、いやらしいじゃない。」
「どこが!? というか僕はその所為で病院生活する事になったって言ったよね。なんでそんな風に考えるの!?」
「だって……昔私と結婚してくれるって言ったのに、イチャイチャしてるし、おまけにあんな綺麗な人のお家に泊まったとか言うし。」
「うぇええ! いや、泊まったって言っても助けたお礼で泊めてもらっただけだし、結婚ってそんなの子供の頃の話じゃん。それに僕はいつまで生きていられるか分からなかったから結婚とかそういうの考えられなかったし。」
「じゃあ、今ならいいよね。だってこの世界では何ともないんだよね。」
「確かにそうだけど、でも、急にそんな事言われても……」
「私のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ。僕が病院で生活するようになっても毎週のように会いに来てくれるし、いろいろな事を教えてくれてすごく楽しかったし。だから嫌いじゃないよ。むしろ好きだよ。」
「じゃあ、結婚でいいよね。相思相愛だし。というわけで決定。あ、でもいきなり結婚は早いよね。じゃあ、まずは婚約者で。」
「えええぇぇーーー!!!」
「おめでとうございます。勇輝様。」
なんでこうなった!?
勇輝はそう思わずにはいられなかった。
そして勇輝は気づいていないが称号欄に「勇者な勇者の婚約者」という称号が追加されていたりする。
「えーと、そろそろいいでしょうか?」
「「あ、はい。」」
「まずは、ユウキさんとアオイさんが勇者という事でよろしいですか?」
「はい。」
「はい? というか突然の事でまだよく分かってないんですけど、勇者ってどういうことですか?」
「あ、そうですよね。説明がまだでしたね。すみません。それでは説明させていただきます。」
「「はい。」」
それからリリアーナの説明が始まった。
その内容は勇輝がこれまでに聞いたり、聞き出したものとほとんど差はなかったが、戦争の仕方については初めて聞くものだった。
その仕方というのが六つの要素からなるものだった。
・兵の数は最大で一万人まで。
・戦う期間は二日間のみ。それを超えて争うのは厳禁。
・期間の後に継戦不可能もしくは降伏した場合決着とする。
・決着がつかなかった場合は精鋭五人による一騎打ちを行い勝利数の多い方の勝ちとする。
・戦争の開始時刻は仕掛けられた国の国境から行軍に必要な時間+三日。
・これらのルールは人族の国家間での戦争のみに適応される。
「あの、なんでこんなルールが決められたんですか?」
「これらは神グランディスが定めたもので、無用な戦死を減らし、出来る限り公平にする為です。人族のみなのも種族によって差がある為です。」
「でも、守らない人もいるんじゃ……」
「それも心配ありません。戦線布告をして、それに応じた時点で契約が成立し、このルールを破った場合に即座に敗北し、相手の要求に応じるよう強制されます。これらは勇者召喚が我々に授けられたのと同時期に定められたとされています。」
「アリシアじゃないんだね。」
「そういえばそうですね。なんででしょう?」
「まあ、神様も一人だけってことはないんじゃない?」
「そうですね。それで、お二人には心苦しいのですが、一騎打ちに参加して欲しいんです。どうでしょうか?」
「私は戦いなんてした事ないですから無理ですよ!」
「殺し合いって事ではないですよね。」
「はい。あくまでも試合ですから回復魔法の使い手が控えて即座に治療出来るようになっております。」
「それなら僕は良いですよ。元々そのつもりで来ましたし。」
「ゆー君!?」
「ありがとうございます。それでもしも戦争に勝つ事が出来たら私は何でもします。何でしたらこの身を捧げましょう。」
「何言ってんの!? ……折角ゆー君と結ばれたのに他所の女が出てくるなんて。私もゆー君と一緒に戦うわ。そしてあんたの押し売りを拒絶するわ。」
「望むところです。」
ただ元気に生きたいと願ってたはずがなんでこんな修羅場になってるのかな? と勇輝は思ったが空気を読んで口にはしなかった。
突然神が降臨したのだから仕方ない。
そして、その夢のような感覚から真っ先に我に返ったのはリリアーナだった。
リリアーナは先ず、いつの間にかいた勇輝に声をかける。
「それで、あの、ユーくんさん? あなたは一体誰なんですか? ここは王城の中でもごく一部の人しか入る事を許されていない神聖な場所なんですが。」
「えと、ユーくんさんじゃなくて御神勇輝です。勇輝が名前です。それで、誰かというのと、何故ここにという質問ですけど、その答えは僕が勇者で召喚主であると思われるリリアーナさんに会う為です。」
「えっ!? 勇者様!?」
「はい。一昨日に気が付いたら草原の中でベッドの上で寝ていました。」
「ベッドの上って……。それって大丈夫だったの、ゆー君?」
「うん。雪羅とレティアがいたから大丈夫だったよ。」
「雪羅? レティア? ねぇ、ゆー君。それって誰のことかな? ひょっとして後ろにいる綺麗な二人のコトカナ?」
「ゆー…ちゃん?」
「この二日間。私は突然消えたゆー君を探して街中を探し回っていたのにゆー君は随分と楽しい思いをしていたようね?」
「えとね、ゆーちゃん。後ろの、青銀の髪の人は、僕の式神で、レティアも式神だよ。それに後ろの、金髪の人はアリスさんといって、貴族様の娘さんだよ。だからそんな楽しいだなんて……」
「うふふふ。」
「あ、あははは……」
「そこに正座!!」
「はいー!」
(あの、私は無視ですか?)
会話してた筈が突然割り込んだ葵に呆気にとられるリリアーナに、正座させる勇者に正座する勇者。それを微笑ましそうに見るアリスにナンパするジャクソンに無視する雪羅にどうしたものかと狼狽えるランドルというカオスな光景がしばらく広がっていた。
なんだこれ。
◇
「つまり、ゆー君はあそこにいる和服の人や他の女の人といやらしい関係になったって事でいいかな?」
「なんで!?」
勇輝を正座させた葵はそのままこれまでの事を説明させた。
その上での発言がこれだ。
ちなみにジャクソンは氷像となっており、ランドルはその氷を砕いています。
そして姫王は空気です。
「だってあんな綺麗な人と主従契約なんて、いやらしいじゃない。」
「どこが!? というか僕はその所為で病院生活する事になったって言ったよね。なんでそんな風に考えるの!?」
「だって……昔私と結婚してくれるって言ったのに、イチャイチャしてるし、おまけにあんな綺麗な人のお家に泊まったとか言うし。」
「うぇええ! いや、泊まったって言っても助けたお礼で泊めてもらっただけだし、結婚ってそんなの子供の頃の話じゃん。それに僕はいつまで生きていられるか分からなかったから結婚とかそういうの考えられなかったし。」
「じゃあ、今ならいいよね。だってこの世界では何ともないんだよね。」
「確かにそうだけど、でも、急にそんな事言われても……」
「私のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ。僕が病院で生活するようになっても毎週のように会いに来てくれるし、いろいろな事を教えてくれてすごく楽しかったし。だから嫌いじゃないよ。むしろ好きだよ。」
「じゃあ、結婚でいいよね。相思相愛だし。というわけで決定。あ、でもいきなり結婚は早いよね。じゃあ、まずは婚約者で。」
「えええぇぇーーー!!!」
「おめでとうございます。勇輝様。」
なんでこうなった!?
勇輝はそう思わずにはいられなかった。
そして勇輝は気づいていないが称号欄に「勇者な勇者の婚約者」という称号が追加されていたりする。
「えーと、そろそろいいでしょうか?」
「「あ、はい。」」
「まずは、ユウキさんとアオイさんが勇者という事でよろしいですか?」
「はい。」
「はい? というか突然の事でまだよく分かってないんですけど、勇者ってどういうことですか?」
「あ、そうですよね。説明がまだでしたね。すみません。それでは説明させていただきます。」
「「はい。」」
それからリリアーナの説明が始まった。
その内容は勇輝がこれまでに聞いたり、聞き出したものとほとんど差はなかったが、戦争の仕方については初めて聞くものだった。
その仕方というのが六つの要素からなるものだった。
・兵の数は最大で一万人まで。
・戦う期間は二日間のみ。それを超えて争うのは厳禁。
・期間の後に継戦不可能もしくは降伏した場合決着とする。
・決着がつかなかった場合は精鋭五人による一騎打ちを行い勝利数の多い方の勝ちとする。
・戦争の開始時刻は仕掛けられた国の国境から行軍に必要な時間+三日。
・これらのルールは人族の国家間での戦争のみに適応される。
「あの、なんでこんなルールが決められたんですか?」
「これらは神グランディスが定めたもので、無用な戦死を減らし、出来る限り公平にする為です。人族のみなのも種族によって差がある為です。」
「でも、守らない人もいるんじゃ……」
「それも心配ありません。戦線布告をして、それに応じた時点で契約が成立し、このルールを破った場合に即座に敗北し、相手の要求に応じるよう強制されます。これらは勇者召喚が我々に授けられたのと同時期に定められたとされています。」
「アリシアじゃないんだね。」
「そういえばそうですね。なんででしょう?」
「まあ、神様も一人だけってことはないんじゃない?」
「そうですね。それで、お二人には心苦しいのですが、一騎打ちに参加して欲しいんです。どうでしょうか?」
「私は戦いなんてした事ないですから無理ですよ!」
「殺し合いって事ではないですよね。」
「はい。あくまでも試合ですから回復魔法の使い手が控えて即座に治療出来るようになっております。」
「それなら僕は良いですよ。元々そのつもりで来ましたし。」
「ゆー君!?」
「ありがとうございます。それでもしも戦争に勝つ事が出来たら私は何でもします。何でしたらこの身を捧げましょう。」
「何言ってんの!? ……折角ゆー君と結ばれたのに他所の女が出てくるなんて。私もゆー君と一緒に戦うわ。そしてあんたの押し売りを拒絶するわ。」
「望むところです。」
ただ元気に生きたいと願ってたはずがなんでこんな修羅場になってるのかな? と勇輝は思ったが空気を読んで口にはしなかった。
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