「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~

卯月ミント

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第49話 修羅場に乗り込め!

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「ただいま」

「おかえりなさいませ」

 リュクレスがイメツィオ邸の玄関を開けると、笑顔のメイドが出迎えてくれた。

「ずいぶんとお早いお帰りでございますね、旦那様」

「ユミリオは?」

「はて、なんのことをおっしゃっておいでなのでしょうか?」

「ふん、女主人に忠実ってことか。……隠さなくたっていい、俺には分かってる。来ているのだろう? どこにいる?」

「わたくしにはさっぱりでございます……」

「じゃあ話を変えよう。ソールーナはどこにいる?」

 矢継ぎ早の質問に、

「とりあえずリュクレス様。どうかサロンにておくつろぎ下さいませ。お茶をお持ちいたしますので……」

 サロンという言葉を聞いて、リュクレスはピンと来た。

 ソールーナたちは応接室にいるのだ。

 客人は応接室にてお茶を飲む……というのが貴族や王族達の習慣である。どうせユミリオもそこに通され、茶でも飲んでいるのだろう。

「いや、応接室に行く」

「ちょっ……旦那様!」

 そこでぶちのめしてやる!

 ……が。メイドの制止を振り切って向かった応接室には、誰もいなかった。
 リュクレスは拍子抜けして辺りを見回した。

「ユミリオは? ソールーナは?」

「ですから、いったいなんの話をしていらっしゃいますので……」

 が、一瞬遅れて身体中の血がざあぁっと音を立てる。

「……そういうことか!」

 叫びながらリュクレスは駆け出す。そのリュクレスが行く方向を見て、メイドは顔を青くした。

「お待ち下さいませ、旦那様、旦那様! いけません! 今行っては……、リュクレス様!」

「ソールーナあああああああ!!!!」

 リュクレスはすらりと剣を抜きつつ走り続けた。……自分たちの寝室に向かって。


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