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第34話 ユミリオとの挨拶
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翌朝。
室内サロンにてフィメリア姫に朝の挨拶をしていると、本日から3日間だけ側仕えをすることになるユミリオ王子がやってきた。
「おはようございます、ユミリオ様。今日からよろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします、ソールーナさん。すまないね、姉上の我が儘に付き合わせてしまって……」
「まあ、聞き捨てならないわね」
弟殿下の言葉を聞きとがめ、フィメリアが可愛らしい眉間にしわを寄せた。
「これは目的があってのことよ。あなたにもちゃんと用向きは話したでしょ?」
弟殿下のほうといえば、どこ吹く風で微笑んでいる。
「えぇ、もちろん聞いていますよ。ソールーナさんとリュクレスの仲を強固なものにする……ですよね。それ自体は賛成なのですが……」
それから姉殿下とそっくりな顔で、彼もまた眉間にしわを寄せた。
「……それはもう、誓いのキスで済んだことではありませんか? これ以上はすでに我々の領分を超えているような気がいたします。我々の領分というのはつまり……」
そこで金色の瞳をついっとソールーナに向ける。
「ご夫婦の問題にこれ以上他人が立ち入るのもいかがなものか、ということです」
「それは薄情というものよ、ユミリオ。私たちはもうここまで入り込んでしまったのだから。最後まで責任を持たなければなりませんわ」
「……姉上。姉上はご婚約の決まった御身です。……他人のことに首を突っ込む暇などないでしょうに……」
ふふっ、と小さく笑いながらフィメリア王女は肩をすくめた。
「二月後に婚約披露パーティーをするためにベルナール殿下がいらっしゃるでしょう? ここだけの話、それまで暇なのよね」
暇。暇だから人の恋路にお節介を焼こうとしているということか……。
ん? 恋路?
(別に恋路じゃない……と思う……)
「おや、ソールーナさん。どうしたんですか? 顔が赤いですが。熱ですか?」
「あらほんと。熱があるなら休んでいいわよ、ソールーナ」
「いえそんな、そんなんじゃないんです……!」
指摘されてさらに顔が赤くなるソールーナである。
「あのっ、全然平気ですので。どうかお気になさらず……」
「そう? じゃあ、話を進めさせてもらいますわね。さっそくだけど、私は用があるからもう行くわ。あとは二人で作戦を練りなさい。いい? ちゃんと仲良くしてリュクレスを嫉妬させるのよ」
「……姉上がそこまでおっしゃるのならば仕方ありません。かしこまりました、姉上。見事リュクレスの嫉妬を煽ってご覧に入れましょう」
「言っておくけど、本当に手を出したらダメだからね?」
この言葉にはさらにソールーナの顔が赤くなる。
「ひ、姫様っ」
「冗談よ、うふふ。じゃあ、私は行くわね。あとはよろしく、ユミリオ」
「ご心配なく、姉上。ソールーナさんは僕の好みではありませんから」
さらっと言い放ち、姉を見送るユミリオ。
(うっ。それはそうだろうけど。はっきり言われるのは結構傷つくなぁ)
ユミリオ王子が姉を敬愛していることくらい、見ていれば分かるけど……。
室内サロンにてフィメリア姫に朝の挨拶をしていると、本日から3日間だけ側仕えをすることになるユミリオ王子がやってきた。
「おはようございます、ユミリオ様。今日からよろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いします、ソールーナさん。すまないね、姉上の我が儘に付き合わせてしまって……」
「まあ、聞き捨てならないわね」
弟殿下の言葉を聞きとがめ、フィメリアが可愛らしい眉間にしわを寄せた。
「これは目的があってのことよ。あなたにもちゃんと用向きは話したでしょ?」
弟殿下のほうといえば、どこ吹く風で微笑んでいる。
「えぇ、もちろん聞いていますよ。ソールーナさんとリュクレスの仲を強固なものにする……ですよね。それ自体は賛成なのですが……」
それから姉殿下とそっくりな顔で、彼もまた眉間にしわを寄せた。
「……それはもう、誓いのキスで済んだことではありませんか? これ以上はすでに我々の領分を超えているような気がいたします。我々の領分というのはつまり……」
そこで金色の瞳をついっとソールーナに向ける。
「ご夫婦の問題にこれ以上他人が立ち入るのもいかがなものか、ということです」
「それは薄情というものよ、ユミリオ。私たちはもうここまで入り込んでしまったのだから。最後まで責任を持たなければなりませんわ」
「……姉上。姉上はご婚約の決まった御身です。……他人のことに首を突っ込む暇などないでしょうに……」
ふふっ、と小さく笑いながらフィメリア王女は肩をすくめた。
「二月後に婚約披露パーティーをするためにベルナール殿下がいらっしゃるでしょう? ここだけの話、それまで暇なのよね」
暇。暇だから人の恋路にお節介を焼こうとしているということか……。
ん? 恋路?
(別に恋路じゃない……と思う……)
「おや、ソールーナさん。どうしたんですか? 顔が赤いですが。熱ですか?」
「あらほんと。熱があるなら休んでいいわよ、ソールーナ」
「いえそんな、そんなんじゃないんです……!」
指摘されてさらに顔が赤くなるソールーナである。
「あのっ、全然平気ですので。どうかお気になさらず……」
「そう? じゃあ、話を進めさせてもらいますわね。さっそくだけど、私は用があるからもう行くわ。あとは二人で作戦を練りなさい。いい? ちゃんと仲良くしてリュクレスを嫉妬させるのよ」
「……姉上がそこまでおっしゃるのならば仕方ありません。かしこまりました、姉上。見事リュクレスの嫉妬を煽ってご覧に入れましょう」
「言っておくけど、本当に手を出したらダメだからね?」
この言葉にはさらにソールーナの顔が赤くなる。
「ひ、姫様っ」
「冗談よ、うふふ。じゃあ、私は行くわね。あとはよろしく、ユミリオ」
「ご心配なく、姉上。ソールーナさんは僕の好みではありませんから」
さらっと言い放ち、姉を見送るユミリオ。
(うっ。それはそうだろうけど。はっきり言われるのは結構傷つくなぁ)
ユミリオ王子が姉を敬愛していることくらい、見ていれば分かるけど……。
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