年下王子の猛愛は、魔力なしの私しか受け止められないみたいです

＊WEB連載版

第38話 閑話:トランクに詰め込んで（イリーナside）

「……よいしょっと」

　イリーナはトランクに荷物とを詰め込むと、ぎゅむっと閉じ込めた。

　ドレスに、アクセサリーに、化粧品に、靴に、宝石箱に、手紙に、ハンカチに、ティッシュに、化粧水に、ハンドクリームに、リップに、香水に、その他もろもろ。必要なものも必要でないものも一通りあるはずだ。

　……ちなみにそのなかに妊婦に必要なものなど一切ない。というか、イリーナの体型はどこも妊婦らしくなどなかった。

「よし！　準備完了！」

　イリーナはパンッと手を叩いて気合いを入れる。
　さあ、出発の時間である。

「待っててね、お姉さま。今度こそわたくしがお姉さまのすべてを奪ってさしあげますわ」

　イリーナはニヤリと笑うと、トランクを持って部屋を出ていった。