年下王子の猛愛は、魔力なしの私しか受け止められないみたいです

卯月ミント

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*WEB連載版

第34話 突然のダンス

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 食堂に着いた。

 カーテンが閉め切られていて、妙に薄暗い……と思ったら。

「えー、本日はお日柄もよろしく……」

 誰かの声がして、はっとしてそちらを向くと……、何故か即席の舞台があったのだ。しかも舞台の袖にはクライヴくんがいて……。

「え? なに?」

 何が始まるというの?

 クライヴくんは深く一礼する。

「アデライザ先生、ようこそおいで下さいました。我らがロゼッタによる華麗なる水芸、どうかとくとお楽しみ下さいませ!」

「は?」

 なんなの!?

 戸惑う私をよそに、スポットライトが舞台袖を照らしだした。

 そこにはメイド服姿のロゼッタさんがいた。スポットライトに照らされながら舞台中央まで出てくる。

 彼女は舞台上で深々とお辞儀をすると、腕を頭上でクロスさせた。

 音楽が聞こえてくる……、見てみると、それぞれに楽器を持った館の使用人たちが物陰から出て来たではないか。

 舞台上、ロゼッタさんが両手に持ったセンスをバッと広げた。

「え? え?」

 どういうことなの?
 舞台の上ではセンスを持ったロゼッタさんがくるくると踊りはじめる。
 それはそれは華麗で見事なものだけど……、なんだ、これ?

 くるくると踊り続ける彼女。ひるがえるメイド服のスカート、リズムを刻むパンプス、盛り上がる音楽。

 やがて、ロゼッタさんはピタッと止まり、音楽が「ジャン♪」と締められる。ロゼッタさんは音楽に合わせて両手を大きく開いた。

 その瞬間、ロゼッタさんの後ろから水流が翼を広げた天使の羽のように何本も沸き上がり、華麗に空を舞い――そして天井から垂れ幕が降ってきたではないか。

『ルベルド殿下、アデライザ先生、ご婚約おめでとうございます!』

「……え?」

 こ、婚約?
 なんのことか分からない私は呆然と立ち尽くしたのであった。

 ていうかこれ婚約おめでとうの舞!?

 けどロゼッタさんの水芸は綺麗だった……、うん。それは確実に綺麗だったわ。ちょっとしか水飛沫飛んでこなかったのは、やっぱり魔法で制御してるんだなーという感じだったし。





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